金剛三市回遊スタンプラリー

2012年10月6日(土)



河内長野(大阪府)、橋本(和歌山県)、五條(奈良県)の、府県を異にする3市によるスタンプラリーに出掛けた。各市に数ヶ所ずつあるポイントのうち2つずつを廻れば良い、という甘~いルールだが、広大な市域に散在するポイントの全てを徒歩で廻りきれるはずもない。

しかも三市の中央には、金剛山系が聳えたっているため、6つのポイントをどう選んでも、歩いて廻るとなると、山道中心の30キロ超になる。甘いルールにも関わらず、さらに軟弱なことだが、今日は五條と橋本の二市を廻ることにして、河内長野はまた別の機会としよう。



橋本からJR和歌山線に乗り換えて五條へ。大阪近郊区間とは思えないローカル路線だ。1時間に1本しかないし、ICOCAは使えないし、当然単線だ。草が生い茂る線路はとても長閑だ。



五條駅から南下して、まず金剛寺に向かう。
鮎が川を遡上するイメージでデサインされたと思われるクールな街灯を発見。



吉野川を南に渡る。和歌山県(紀州)では紀ノ川だが、きっと奈良県では紀の川という名称に面白くないものを感じているんだと思う。海から60キロ地点とある。



30分ほど歩いて、金剛寺に到着。牡丹で有名なお寺だ。
去年の6月に来た際には、門前を素通りしただけなので、全く記憶が無い。スタンプだけください、というのも失礼だし、時間もあるので、有料だが室内を見せてもらった。立派な薬師如来像があり、テープ解説も含めて、丁寧に案内していただき、30分ほども長居してしまった。



再び吉野川を北に渡り、江戸時代の面影が漂う旧紀州街道(新町通り)を歩く。天誅組とか五新鉄道跡とか、見どころの多い町だと思うんだけど、秋の行楽シーズンにも関わらず、観光客は少ない。電柱が無ければ、さらにいい町並みになるのになぁ・・・。




新町通りにある、まちなみ伝承館。もとは、この建物は明治初期の医院だったそうだ。2つめのスタンプをゲット。でも何だか、金剛寺のスタンプとそっくりなんだけど・・・。



松倉重政の碑。江戸時代初期、五條藩主としてこの町の発展に大いに力を尽くしたとのことだ。しかし、松倉重政といえば、その後、島原城主に転じて島原の乱を引き起こす苛政と搾取を行ったことで有名。司馬遼太郎は、これほど酷い大名はいなかった、と手厳しい。

1万石の五條藩から、4万3千石の島原藩に大栄転して、松倉重政は何が変わってしまったんだろうか。出世して人格が変わるというのは、今もありそうな話だが、実に興味深い人物だ。



五條と新宮を結ぶ予定だった五新鉄道の遺構。太平洋戦争で建設中止されたが、吉野川の手前までの高架は今も残っている。去年、川の南にある、鉄道になるはずだった道を歩いた。




大和二見と隅田の間の「犬飼」というところにある、転法輪寺に立ち寄る。四国八十八ヶ所の「砂踏み霊場巡り」がある。空海にゆかりの深い古刹だ。

京を出て、修行の地を探し求めて旅をしていた空海は、この地の狩人に借りた二頭の犬の道案内のおかげで高野山に辿りつくことができたそうだ。犬飼という地名と併せて興味深い。


彼岸花が多いところだ。空がもう少し青ければ、緑の林、黄金色の稲穂、そして田んぼの畦道の赤い彼岸花・・・、より凄いコントラストになったろう。



赤、ピンク、白のコスモスも咲き乱れている。



柿もタワワに実っていた。もうすっかり秋だ。



近畿自然歩道を歩いていたので、県境表示も無く、いつの間にか和歌山県に入っていた。

JR隅田の駅が凄いことになっている。ローカル路線の小さな駅舎が、まるでクレープ屋のような乙女チックなペイントで塗りつぶされている。駅舎の壁面に萌えキャラが溢れかえっている。


凄い、凄い。
地元の中学校の美術部の生徒が画きあげたものだそうだ。一見派手だが、描かれている中学生キャラたちは、服装も振る舞いも、とても明るく真面目で微笑ましいもの。地元の名所や祭礼などが爽やかに紹介されている


駅の中も凄いぞ。イラストが駅名表示を取り囲んでいる。観光名所としての要件を十分に備えていると思う。この地に住む皆から愛される存在であるとともに、この駅を訪れる人々の心を和ませてくれる、素晴らしい作品だ。県境の小さな駅だけど、この「萌えおこし」の力は凄まじい。



いいねぇ。静かな町の駅舎をこのような漫画で埋め尽くすことに眉を顰める人もいるかもしれないけど、若さ溢れる伸びやかなエネルギーをビンビン感じる。おじさんは熱烈応援しちゃうぞ。こんなことをやらせるJR和歌山線の度量にも感服した。



新町通りから100分、駅舎のイラストにも描かれていた、第3ポイントの隅田八幡神社にやっと到着。祭礼のため、大勢の人が集まっていた。神輿が練り歩く合間を縫って、なんとか拝殿に辿りつき、スタンプを押印できた。



消防車や救急車のサイレンがすると思っていたら、神社から橋本に向かう方向に火災らしき煙。最初は黒煙だったが、放水が始まったせいか、しばらくすると白煙に変わった。祭礼に集まった人たちは「XXさんの家やないか」とか、「いや△△のおっちゃんのトコや」などと皆心配顔。



決して野次馬根性でわざわざ見に行ったのではなく、たまたま火災が進行方向で起こっていたのだ。消防署員や自警団の人たちによる、懸命の消火作業が行われていた。



橋本駅前にある観光案内所で、4つめのスタンプを押してもらって、今日のウォーキングは終了。



今日集めたスタンプは4つ。市ごとに同じスタンプじゃぁないのか?五條の方は、良く見ると小さな数字が付いているが、橋本の方は色違いにしかみえない。恐る恐る観光案内所のお姉さんに「ひょっとして同じスタンプ?」と聞くと、笑いながら「そうなんです」と言われてしまった。

な、な、なんという手抜きだ。大胆過ぎる。アチコチ廻る意味が無いじゃないか、とも思うが、この大らかさが、この地域の良さなんだろう。さて河内長野はどうなっているのか、今から楽しみだ。



五條駅の近くの踏切脇にある「まことちゃん地蔵」。簗漁のポスターにも、まことちゃんが使われている。訝しく思って、まちなか伝承館の方に聞いたところ、楳図かずおは、この五條の出身だそうだ。まことちゃんのモデルになった楳図かずおの友人が、今も五條に住んでいるそうだ。



橋本駅の前にも、まことちゃんがいる。橋本も、きっと楳図かずおとの所縁が深いのだろう。


 

まとめ


歩行距離   約13km
所用時間   240分 (見学時間などを含む)
歩数      22900歩 (しっかり 18500歩)