ニューヨーク散策

2015年8月9日(土)


ワシントンDCから、メリーランド、サウスカロライナをまわり、約30年ぶりのニューヨークにやってきた。忙しないスケジュールだが、今日はオフ。次の訪問地に向かう夕刻のフライトまで、ニューヨーク市内をたっぷりと散策したい。レキシントンアベニュー・50thストリートのホテルから、まずはマンハッタンの南端のバッテリーパークを目指して歩きはじめる。



国内外を問わず、多くの町でレンタル自転車が整備されている。マンハッタンって、自転車では走りにくいイメージがあるのだが、次々と自転車が借りられていく光景を目の当たりにする。



レキシントンアベニューから、ひとつ西側のパークアベニューに出て、謎が解けた。土曜日の恒例なのか、今日が特別な日なのかは分からないが、広い通り全体が歩行者天国になっている。いや歩行者天国というより、自転車天国と呼ぶ方が適当な自転車の数だ。



34thストリートで、自転車駐輪設備やごみ箱に、"34th Street Partnership"とのロゴがある。どうやら、近年ニューヨークなどで成功を収めているBID(Business Improvement District)のようだ。多めの税を払う代わりに、その分を街の治安や美化に使う権限を地域に与えるという街づくり政策のひとつだ。日本での導入議論も盛んだが、どうなるだろうか。



歩行者天国(自転車天国?)ということで、パークアベニュー沿いでは、さまざまなイベントや出店がにぎやかに開催されている。



ケンネルクラブの催しにも、多くの人(と犬)が集まっていた。自慢の愛犬の訓練度を競う、トンネルやハードルなどが多数設置された障害物競争も開催されていた。なかなか思い通りに犬たちが動かず、大声で命令したり、エサで釣ったりで、苦労しつつも、飼い主も見学者も皆楽しそうだ。



世界に名だたる証券街、ウォールストリートにやってきた。世界経済への影響力とは裏腹に、地下鉄の出入口は、とてもレトロで可愛い。



ウォール街のシンボル、チャージングブル。ブラックマンデーで気落ちするウォール街を元気づけるため、設置されたものらしい。牛というのは、アゲアゲ相場のシンボルだというが、それにしても凄い人気だ。100人以上の観光客がチャージングブル像を取り囲んで記念撮影している。牛の股間にもご利益があるのか、多数の人が撫でている。



ニューヨークが、世界経済の中心であるとともに、世界的な大観光地であることを実感する。次から次へと、二階建てのツアーバスがやってくる。目立つせいもあるのかもしれないが、道行く車の2割以上はツアーバスだと感じる。



歩き始めて2時間半ほどで、マンハッタンの南端、バッテリーパークにやってきた。スタテンアイランドまでのフェリー乗り場がある。このフェリーの乗客の多くは、スタテンアイランドに行くためではなく、航路の途中にある自由の女神像を間近に見ることを目的にしていると思われる。自由の女神像があるリバティ島への船もあるのだが、大変な混雑のようだ。



バッテリーパークから望む自由の女神像。ちょっと遠いが、それでも独特の立ち姿に神々しさが感られる。



バッテリーパークのカモメ? 写真を撮ろうと近づくと、正確にほぼ3mの距離を保ちながら移動する。多くの観光客を相手にしたうえで、最適な距離を身に付けたのだろう。



マンハッタンの西側、ハドソン川の河口付近にやってきた。美しいマリーナだ。



911の航空機テロにより破壊されたワールドトレードセンタービルの跡。2つの巨大な池が造られ、真ん中の深みに静かに水が流れ込む仕掛けになっている。巨大な鎮魂のモニュメントだ。池の淵石に名前を刻まれた犠牲者の多さに今更ながら心が痛む。



911の犠牲者を悼み、救難活動に全力を尽くした消防隊員を讃えるメモリアルホールには、長蛇の列。その一方で、新ワールドトレードセンタービルの建設も進められている。



ワールドトレードセンター跡から、ハドソン川に近いグリニッジアベニューを北上する。オフィスビルや商店が立ち並ぶパークアベニューなどと異なり、落ち着いた生活感のある道だ。道沿いには、心和ませるオブジェも見られる。



小学校の校庭。都会の小学校のせいか校庭はさほど広くない。トラックもユニークだ。バスケットゴールが多く設置されているのも、アメリカらしい。



グリニッジヴィレッジ。芸術家の町と呼ばれ、同性愛運動発祥の地でもある時代の先端を行く人々が暮らす街とのイメージが強かったが、最近は高級住宅化が進んでいるらしい。とても落ち着いた街並みだ。



ガンズヴォート・ストリートにやってきた。マンハッタンのウエストサイドを走っていたハイラインと呼ばれる高架鉄道の廃線跡が遊歩道になっていて、とても楽しいよ、と知人に勧められていたところだ。廃線跡ファンとしては、ニューヨーク訪問にあたって外せないポイントだ。



ひどく人が多いが、鉄道の橋梁の下からワクワクしながら階段を上っていく。



ムムムッ。思っていた風景とは全然違うぞ。鉄道跡の雰囲気はあまりなく、自然豊かな空中遊歩道という感じだ。



とにかく人が多い。鉄道跡とは思えないほとに、凹凸を排除した完全バリアフリーのため、乳母車を押すお父さん、お母さんも数多く、ちっとも前に進まない。道沿いには数多くのベンチが設置され、ビルの下を潜るあたりには売店も立ち並んでいる。



それでも、よく見れば、故意で残したのか、たまたまなのかは判らないが、レールの跡も見て取れる。



しかし多くのレールは、観光資源化されることなく、自然の中に埋もれこんでいる。



ハイラインを歩くのに、予想以上に時間がかかってしまった。フライトの時間が近づいているため、セントラルパーク方面まで行くことは諦めて、最短距離でホテルに戻ることにする。7thアベニューのマジソンスクエアガーデンの前も、急ぎ足で通り過ぎる。




ビルの隙間から、エンパイアステイトビルが見える。築80年以上というのに、最近竣工した西日本一高いビル、あべのハルカスを100m以上上回っているということは驚異だ。911でワールドトレードセンタービルが崩壊してから、つい最近まではニューヨークで一番高いビルに返り咲いていたそうだ。



タイムズスクエア。想像はしていたものの、凄い人出だ。



映画などのプロモーションなのか、お店への呼び込みなのか、あるいは素人のパフォーマンスなのかは不明だが、アニメや映画のキャラクターに扮したぬいぐるみなども、見えただけで30体は登場していた。



スマホの記録によると、5時間半かけて24.5km歩いたことになる。朝食の残りのバナナ1本と水だけで、休憩らしい休憩も取らずに歩いたのだが、そんなに歩いたとは思いもしなかった。それだけ、刺激的な街並みに疲れも忘れていたということだろう。



ニューヨークのマンホール。大したデザインのものは見当たらない。それにしても不思議なのは、NYC SEWERと同じ大きさの文字で、MADE IN INDIAとあること。マンホールがインド製だとしても、ここまでデカデカと描くものだろうか。



バッテリーパークのマンホールにも、MADE IN INDIA。



一方で、気になったのは、ひどくすり減ったマンホールが多くみられること。もはや文字も模様も無くなり、何のマンホールかさえ判別できない。それに、こんなにツルツルになったら、滑りやすいのではなかろうか。



慌ただしく荷物をホテルからピックアップし、かつて留学していた大学を訪問するため、ラガーディア空港に向かう。