六甲全山縦走その1(須磨浦公園~鵯越)

2016年6月4日(土)


須磨浦公園から宝塚までの六甲全山縦走。随分前にマップを購入しながら、なかなか全長56kmと言われる長丁場に挑む決心がつかなかったが、ついに本日決行。職場には、大会に参加して、半日ほどで完歩した強者が何人もいるが、足腰に古傷を多数かかえた58歳メタボの体力に見合うよう、全山を何回かに分けて縦走したい。



スタートポイントの山陽電車須磨浦公園駅を午前8時前に出発する。駅前には、六甲全山縦走のマップを持ったハイカーが何人も見られる。まずは、須磨浦公園駅からロープウェイも運行している鉢伏山、旗振山を目指して歩き始める。



勇んで出発したものの、いきなり急な登り階段が続く。何度も立ち止まり、ロープウェイ終点の鉢伏山の展望台では早速大休憩。1ラウンドでいきなりダウンを食らったボクサーのような気分になる。



鉢伏山から10分ほど歩いて旗振山頂へ。曇り空ではあるが、須磨の町の向こうに、明石海峡大橋や淡路島がしっかりと見渡すことができる。以前、交野の旗振山にも登ったが、こちらの方が四方に眺望が開け、江戸時代の米相場の通信中継点のイメージが沸きやすい。



続いては、樫や椎の林を抜けて鉄拐山に向かう。階段が無い道がしばらく続くとホッとする。



鉄拐山頂。わずか234mの標高、出発してから未だ1時間も経たないというのに、この疲れようは何なんだ? 今日のゴールは菊水山、あわよくば摩耶山まで歩こう、と思って出発したが、前途は極めて多難だ。



高倉山から、一気に階段を下っていく。次なる目標は前方に見える栂尾山。六甲縦走といっても、その西半分ほどは山に登ったり下りたりを繰り返すことになる。鬱陶しいことだ。



高倉山と栂尾山の間に開発された高倉台団地で、巻き寿司や飲料を購入して、再出発。体力も少々回復したと思いきや、いきなり数百段はあると思われる、そそり立つような階段。右足上腿部に違和感を感じ、何度も休憩をとる。



階段をようやく登り切り、歩いてきた須磨、旗振山、鉄拐山を振り返る。旗振山は、一の谷合戦の際の義経の逆落としで有名なんだけど、その場合、北方から神戸に攻め込むのにわざわざ旗振山に登ったことになる。高倉台の元の地形が判らないが、個人的には、もう一つの候補、鵯越説を支持したい。



栂尾山頂。右上腿部が攣ってしまう。こんな時は無理せず休憩するしかない。ということで数十分、ボーっとしていた。歩き始めて、半分くらいの時間は休憩しているんではなかろうか、とさえ感じる。



標高312mの横尾山頂までやってきた。ここからが、須磨アルプスと呼ばれる六甲全山縦走序盤のハイライトとなる。もっとも長い休憩にも関わらず足の具合は、芳しくない。それどころか、右足を庇っているせいか、左足までおかしくなってきた。



須磨アルプスと呼ばれる岩稜地帯にやってきた。 おっかなさそうなところだが、歩行路はしっかり整備されている。普段なら元気が出てくる風景なんだけど、両足の違和感と、身体全体を包み込む疲労感のため、さほどテンションは上がらない。



さほど市街地から遠くもないところに、このような岩稜地帯が広がっていることに改めて驚きながら、足元をしかり確かめながら、ゆっくりと前に進んでいく。



馬の背。 風化した岩の上の細い尾根道だ。トレイルランナーたちが、この細い尾根を走り抜けていく。こちらは、痛む足を引き摺りながらランナーたちの何倍もの時間を掛けて進んでいく。



須磨アルプスから東山山頂を経て、妙法寺の住宅街に下りてきた。振り返ると、苦労して制覇した横尾山の岩肌が見えるが、完全に下山して、また振り出しに戻ったような気分になる。ここから次なる高取山を目指すか、それとも妙法寺から地下鉄で帰宅するか、悩む。



足は痛いが、意を決して次に進むこととする。住宅街を抜けて、標高328mの高取山に登ることにする。この2月に長田区のイベントで登ったばかりだが、その際には全く疲れを感じなかったものだが、今日は既に疲労困憊。



2月に登った南からの道ではなく、西側からの登山路で高取山頂に到着。祭神は、雷や剣の神様、タケミカヅチなのに、稲荷社のように白い狐が祀られている。もっとも調べる元気もなく、軽くお参りをして本殿を後にする。



神戸の街並みを見下ろす絶景ポイントでもあるのだが、景色を楽しむ余裕もない。



六甲全山縦走の標識だけを見ながら、山を下っていく。麓近くにある巨大な砂防ダムまでやってきて、2月に高取山から下った際にも同じ道を歩いていたことに気付く。



長田区丸山の市街地に下りてきた。次に登る山はコース中もっともキツイと言われる菊水山。しかし住宅街の緩やかな登り路にさえウンザリするようでは、とても先に進めそうにない。



住宅街に入ると、道が複雑に入り組んでいるせいか、六甲全山縦走路の標識の数が増える。電柱はもちろん、商店の壁とか、ネットフェンスとか、ガスメーターにまで、案内標識が取り付けられている。山歩きに興味の無い人にとっては目障りかもしれないが、方向音痴のハイカーにとっては、この標識が頼りなので、有り難いことだ。



不本意ながら菊水山制覇は諦めて、神戸電鉄の鵯越(ひよどりごえ)駅で、本日はお終いとする。山腹から鵯越大仏が、まあ次回がんばれ、と励ましてくれているように思える。



鵯越駅。今日はお終いと思うと、さらに足がおかしくなってきた。右足と左足の双方が交互に軽く攣るような症状が現れる。ボクシングに喩えるならば、第一ラウンドから毎ラウンドでダウンを奪われ、結局7ラウンド目あたりでTKO負け、といった感じだ。



今日の歩行記録。え~っ、12kmしか歩いとらんのかぁ?公式ガイドマップによれば16km以上歩いているはずなんだが・・・。曲がりくねった道を端折ってカウントしているのだろうか。



標高グラフ。これも低めにカウントされているようだ。苦手な階段ばかりのアップダウンのせいか、事前の予想を遥かに超える疲労困憊で明日の完全休養は確定的だ。



次回は、かつて六甲に対する苦手意識を決定的なものにしてくれた菊水山。3日で全山制覇するには六甲山記念碑台あたりまでは歩きたいところだが、まるで自信が無くなった。続きを歩くのは一体いつのことになるのだろう。