秋華祭スタンプラリー(神戸市中央区)

2016年10月15日(土) ②


神戸北野の異人館街を巡るスタンプラリーを終えた後、中央区で開催されている秋華祭に足を運ぶ。お祭りそのものは市民祭のようなもので、あまり興味はないのだが、葺合地区に伝わる民話の登場する動物などの石像を巡るスタンプラリーが面白そうだ。以前から気になっていた像が多いので、これを機にひと巡りする。




まずは、秋華祭のメイン会場となっている生活学習支援センター、コミスタこうべにやってきた。会場では様々なステージイベントが繰り広げられ、屋台も並んでいたが、これらには目もくれず、スタンプ台紙をゲットして、石像巡りに出発する。



コミスタ神戸の傍には、大きなガスタンクが2つ並んでいる。球形タンクの表面に、不思議な影が写っている。タンクの手すりの影のようだが、どうすればこのような影ができるのか、長い間見入ってしまった。



ひとつめの石像は「こころやさしい天狗」。娘を思うあまり村を水浸しにした天狗が心を入れ替えて、村々を仲良くさせて、豊作にした・・・、といったように民話のダイジェストが説明文に書かれている。像の方はいいんだけど、話は端折られ過ぎていてピンと来ない。



二つ目は春日野道商店街にある「五郎太の木」。親孝行のお話のようだが、親に何もしなくてよいようにするのではなく、親ができること、したいことは、やらせてあげる方が親孝行だ、という、なかなか意味深なお話だ。それにしても、スタンプをペタペタ押されて、像が赤く染まっている。



春日野道商店街を、さらに歩くと、新たな「五郎太の木」とスタンプが出現した。こちらの方が、スタンプ台紙にピッタリ嵌まる大きさだ。さきほどのは先代の像が汚れたものの、捨てるに忍びず残してあるということなのだろうか。



阪急春日野道駅の北側に、「市の猫」の像がある。何もできない猫のテツだが、各地の商人を招くお使いを任されて、賑やかな市場ができた、というお話。招き猫の始まりなんだそうだ。う~ん、お話がかなり短縮されていて、これまたピンと来ない。



アチコチの像を巡るのは、大阪福島区の「ななとこまいり」にも似ていて楽しい。それっぽい像が路傍にあると、近寄ってしまうが、居酒屋のマスコットだったりする。




「でっぱり石のおんがえし」。いたずらばかりしていた少年が、懲らしめに石にされてしまったが、豪雨の際に周りの石と協力して自ら堤防になって、この地、大日の村を守ったというお話。う~ん、石にされたのに、村に恩返しするとは、心の広い少年だ。



東西に伸びる大日6商店街。西日を避けるためだろうか、やけに長い日除けの垂れ幕が掛かっていて、商店街の中が窺い知れないほどだ。




かすがの坂に、「気のいいなまず」がいる。隣の説明板には、大切な髭を4本とも困った人にあげてしまった、といったことが書かれている。ということで、このナマズには髭が無い。ネットで調べると、長くて深~い、いい民話だ。



「かすがの坂」の入口に、ナマズの絵が飾られているのだが、こちらには髭があるように見える。


秋華祭のパレードがやってきた。太鼓を先頭に、区内の様々な団体が、思い思いの仮装をしている。まさに手作り区民祭だ。



国香通の公園にある「こくがのとげ抜き石」の像。悪い赤鬼が、村人に懲らしめられて指の棘が刺さってしまい、その棘を国香(今ではクニカと読むようだ)の刺抜き石に抜いてもらったんだそうだ。刺抜き石って、どんなもんだろう。



サンロードクニカのアーケードには、鬼と刺抜き石のマンホールがある。随分と古く傷みが激しいものだが、他にも市の猫や、気のいいナマズのマンホールも、それぞれの像の近くに見つけることができた。葺合地区の民話をもとに地域を活性化しようとする活動は随分と長く続いていることが判る。



大安亭市場に葺合地区の民話の代表とも言える「ロダンの狸」の像がある。熱心に芝居の修行に励み、人気役者になった淡路島出身の狸の話だ。ここには昔芝居小屋があったらしい。




ロダンの狸は、商店街のマスコットキャラクターにもなっていて、商店街のアチコチに登場している。




生田川を西に渡って、三宮方面に戻る。この道はかつて西国街道だったようで、橋柱には昔の旅人の姿が描かれている。




三宮の近くに別の「ロダンの狸」がいる。大安亭のものとは、笠の形が少し違う。ロダンとは、彫刻家とは関係なく、中国の成句「魯之男子」に由来するらしい。賢人の行動を真似るのではなく、その精神を学ぶことに意味がある、ということなんだそうだ。



JRの北側にある二宮市場にやってきた。今も残っているところは少なそうな、古いタイプの公認市場だ。



市場のなかに「おイネ狐」の像がある。キツネに優しくして幸せになった若者の話のようで、この像を拝むと良縁に恵まれるそうだ。そのせいか、他の像よりも格段に有難いものとして祀られている。



三宮駅前にある花の妖精の像。あまり日本の民話っぽくない像だ。



これで終わり、と思ったら、ひとつ取り忘れていた。地図の北東端にあって見落としてしまった「筒井舞」の像。今さら戻る気にもならず、今日はこれでお終い。コミスタ神戸に戻れば、抽選会に参加できるようだが、これも遠慮しておく。



本日の歩行軌跡。前半は、北野・神戸の妖精スタンプラリー、後半は葺合の秋華祭スタンプラリーだ。