布引ダム&市章山・錨山(神戸)

2017年5月1日(月)


GWの連休には六甲山系のトレッキングに出掛けたいと考えていたが、しばらく山歩きをしていない。ということで、今日は神戸市街地のすぐ北側、布引の滝から市章山・錨山に至る軽めのハイキングで、足慣らしすることにしたい。ネットで入手した阪急ハイキングのマップを手に、三宮から出発する。



三宮からブラブラ歩いて北に進むと、あらためて新神戸駅が山の間際に造られた駅だということが良く判る。駅舎の下を流れる生田川が、まず目指す布引の滝に繋がっているはずだ。



新幹線駅の高架下を通って、北側の山に向かう。新幹線の駅も数多いが、下車して即、山道ハイキングという駅も、そうそう無かろう。



新幹線から下車して歩き始めたとしても5分ほどでこんな自然豊かなところに達することができる。不動産屋さんなら駅の端っこから距離を勘定するのだから、駅徒歩1分と表示できるところだ。



少し登っていくと、布引の滝(雌滝)が現れる。滝の幅の割には水量は豊かだ。100万都市の新幹線駅のすぐ近くとは思えないほど水は清く澄んでいる。滝の横には、レンガ積みの取水堰堤があり、神戸の水源のひとつになっている。



雄滝には、さらに山道を登っていかねばならないが、早くも少し息が上がりそうになる。道の脇にいくつもある平安時代に布引の滝を詠んだ歌碑を見ながら、ゆっくりと坂を上っていく。



雄滝。雌滝より、さらにスケールがでかい。滝壺も立派で、落差もとても大きい。もっとも、この落差分を遥かに超えた高さまで登っていかなければならないと思うと、少々ウンザリする。まだハイキングは始まったばかりというのに、先が思いやられる。



川沿いの道にはゲートが設けられている。布引水系は、不純物が少なく低く、まろやかな味の布引の水は、神戸市民ばかりか、船員の間でも「赤道を越えても腐らない」と高く評価される貴重なものだ。この山道も水道局がしっかり管理しているのかもしれない。



六甲山系は、2種類の花こう岩で形成されているらしい。左の白っぽいものが「布引花こう閃緑岩」、右の黒っぽいものが「六甲花こう岩」というそうだ。



阪急のハイキングマップに示された道を少し外れて、布引貯水池(ダム湖)に向かう。ダム湖が溢れた時だけ出現するという「五本松の隠れ滝」が、勢いよく水しぶきをあげていた。ちょっとラッキーなのかもしれない。



布引貯水池。以前来たことがあるような、無いような・・・、曖昧な記憶を確かめるために、ここまで寄り道したが、記憶には残っていない景色だ。初めて来たのかもしれない。



布引貯水池から、本来のコースに向かって、来た道を戻る。新神戸駅の近くから、標高400mの布引ハーブ園までを繋ぐロープウェイが頭上を行き来している。渓谷の上には、念のための金網が下に張られているようだ。



猿のかずら橋。徳島県の祖谷のかずら橋に似ているが、橋そのものは、金属とコンクリートでしっかり作られて、揺れもしない。橋桁に巻き付けれられた蔓は、あくまで景観を保つためのもののようだ。



橋を渡ると、長い丸太階段が続く。標高たかだか三百数十メートルの山に登っているはずだが、足は思うように上がらない。これは、相当体が鈍っているぞ。



見上げると、樹の枝葉を通して、手の届きそうなところをロープウェイが走っている。ロープウェイから、ヨタヨタ歩いている熟年ハイカーの姿が見られているかも、と思って、ちょっと頑張って歩く。



道の脇のところどころに見られる「神水」の文字の入った石柱。神様の水、というような宗教的なものかと思ったが、おそらく「神戸市水道局」の略称ではなかろうか。



山頂には城跡があるはずなんだけど、全然辿りつかない。山城って、造るのも大変だし、籠るのも大変だが、攻めるのはもっと大変だ、と、ごく当たり前のことをおもながら、歩を進める。



ようやく瀧山城の城跡に到着する。赤松則村とか松永弾正などがここを根城にしたことがあるようだ。山陽道に睨みを効かせるとともに、急峻な尾根に配置された曲輪との連携も良く、南北朝時代や戦国時代にも、攻め落とされたことは無い堅固な城郭だったようだ。



城山からは平坦な道が続き、ようやく一息つく。ドライブウェイに沿った道をテクテクと歩きながら、少しずつ高度を下げていく。



市章山にやってきた。夜になると神戸の街に向けて、Cの字を2つ重ねたような神戸市の市章を光を放つ壮大な電飾があることで知られる。が、山の上から見る限り、市章を想起することは難しい。



市章山のすぐ下に、風力発電所がある。どうやら市章山の電飾に要する電気をここから供給しているようだが、これって、どうやって発電するんだろう・・・。何かパーツが足らないような気がしてならない。



市章山に続いて錨山にもやってきた。市章と並んで山肌のイルミネーションを構成するイカリの電飾がある山だ。が、山の上からはイカリの図柄が想像できない。もっとも、神戸市街を見下ろす絶景は十分に楽しめた。



ビーナスブリッジ。ここまで来れば、市街地は、すぐそこだ。ドライブウェイを跨ぐ8の字型歩道橋だ。景色も抜群だが、ビーナスブリッジというロマンチックな名前が、長らく若いカップルの人気を集めてきた理由になっているように思う。



王子動物園ができるまでは、動物園もあったという諏訪山公園。今は子供の遊具がたくさん並んでいる。階段で下りるより、長い滑り台を滑ろうかと思ったが、あらためて見ると滑り台って結構恐そうだ。結局階段を歩く。



10km強のハイキングを終えて、出発点の三宮に戻る。久しぶりの山道で結構疲れたんだけど、歩行軌跡を見ても、なんだか神戸市街地の街歩きのようなルートに見えてちょっと寂しい・・・。