北条鉄道スタンプラリー

2018年8月13日(月)


兵庫県小野市の粟生駅と加西市の北条駅を繋ぐ北条鉄道のスタンプラリーに出掛ける。旧国鉄の3セクにありがちな苦しい経営のなか、あの手この手で収益改善を図っているが、スタンプラリーに参加して少しでも応援したい。



スタンプポイントは北条鉄道の8つの駅、ということだが、何故か粟生駅と法華口駅は、列車内で押印できるとのこと。ところが、肝心のスタンプ台紙が無い!一人で改札・運転・物品販売(なぜか車内でドーナツなどを打っている)までをこなしている忙しい運転手さんに尋ねるが、無くなっちゃったとのこと・・・。のっけからピンチだ。止む無く、手元のチラシの裏面にスタンプだけを押印する。



粟生を出て最初の駅、網引駅で下車。イチョウの大木の根元に、小さな無人駅舎がある。スタンプはあったが、やはり台紙は無い・・・。終戦直前、近くにあった鶉野飛行場からの海軍機の墜落による軌道破損で列車が転覆し併せて12名が犠牲となった、航空機と列車の複合災害が起こった現場だ。



さあ、スタンプ台紙は無いけれど、予定通り、網引駅から北条駅までは電車を使わず、線路沿いを歩いていくこととする。強く照り付ける太陽の光を遮るものなど何もない田園地帯をテクテクと進む。



続いての駅は田原駅。かつて田原俊彦ファンの間では聖地化されていたこともあるらしいが、今や人影もない。調べてみると一日の乗降人数は20~30人。それにしては、ベンチの数が多い。



ガマの穂がたくさん見られる。見れば見るほど、不思議な形だ。



法華口駅。駅舎のなかで営業しているパン屋さんがボランティアで務めていたマドンナ駅長に会うために多くの人が訪問していた駅だったが、昨年退職してしまったらしい。一昨年ここを訪問した際も、電車にいつまでも手を振って笑顔で見送ってくれたのを思い出す。残念なことだ。



まだ真夏だというのに、早くも道には栗の実が散乱している。



播磨下里駅。駅のホームは、何やら石庭風になっている。どうやら、ここのボランティア駅長さんは、近くのお寺の住職さんらしい。



おそらく旧国鉄時代のものがそのまま残っているのだろう。古い駅名表示板だ。よく見ると、もともとは右から左に「はりましもさと」と書かれていたのが判る。



駅の待合室でしばし休憩。誰もいないのだけど、クーラーが効いているのが嬉しい。もともとは石炭ストーブでも置かれていたのだろう。天井に換気のための煙道が見られる。



待合室のなかには、乗客が自由に記載できるノートが置かれているのだが、キレイなイラストが多いことに驚いてしまう。鉄道むすめのスタンプを思わせるようなものも見られる。



田園地帯のなかを鉄道は走っている。踏切など設置されていないところも多く、「線路を渡らないでください」の看板だけが立っている。



とはいっても、踏切のあるところまで迂回するのは、日常の生活でとても不便そうだ。この神社など、線路を渡らずにお参りする気にはならない・・・。



この辺りは、かつて赤穂藩の所領(飛び地)だったこともあって、赤穂義士ゆかりの地が多い。線路の横に、小野寺十内親子の碑があった。



後藤又兵衛もまた、この地ゆかりの人物らしく、アチコチの幟が建てられている。加西市で生まれたんだそうだ。



長(おさ)駅。大正4年開業当初からの駅舎なんだそうで、随分古いものだ。ここまでレトロな駅舎だけに、電話ボックスや電信柱が目障りにさえ思える。どうしたことか、駅舎内には結婚相談所などがあったりする。



自然豊かな風景のなかを列車は走っている。草が覆い茂っているため、まるで草原に列車が放置されているようにさえ見える。



播磨横田駅。古い駅舎の横に「ギャラリー」と書かれた真新しい建物が隣接している。4年前、神戸市在住の川田倭子さんの寄付によるものだそうだ。内部はとてもお洒落な待合室になっていて、川田さんの絵が飾られている。



経営難に苦しむ北条鉄道では、北条駅以外はすべて無人駅になっているのだが、近隣からボランティア駅長さんを募っているようだ。ボランティア駅長さんは、駅舎やホームで、それぞれ鉄道や地域を盛り上げる個性的な活動を行っているようだ。



ここまで、どの駅にもなかったスタンプラリー台紙だが、ついにこの播磨横田駅で発見。時すでに遅しの感もあるが、台紙に一つ目のスタンプを押す。



播磨横田駅の周辺では、「ラジオ体操の町」という幟が目立つ。調べてみると、幟にも描かれているこの町出身の大谷武一さんが、全国津々浦々に普及しているラジオ体操の考案者なんだそうだ。この農村公園でも、毎朝ラジオ体操が行われているのだろうか。




終着駅の北条駅に到着。ほぼすべてのスタンプは、チラシの裏に無秩序に押されたものなんだけど、スタンプ台紙が無かったことを駅員さんにアピールしたところ、快くコンプリートを認めていただいた。



スタンプラリーコンプリートの賞品は、なんと北条鉄道のチョロQ。随分張り込んだ賞品だ。缶バッジも付けてくれた。



1編成が北条と粟生の間を行ったり来たりしているように思えたのだが、北条駅では3編成の列車が停まっていた。メンテナンスや故障のための予備に必要なのだろう。鉄道の維持・運営って、なかなか大変そうだ。



本日の歩行軌跡。網引駅から北条駅まで、ほぼ鉄道に沿って12kmほど。炎天下の12kmウォーキングは、春や秋の20km以上に相当する。