2014年1月5日(日)
年が明けて、洲本、中書島と偶然脇坂安治ゆかりの土地を連続して訪問した。年末に歩き回った高取も短い期間ではあるが、脇坂安治に与えられていた。昨年は賤ヶ岳にも登っている。さして思い入れのある武将でもないのだが、さらに脇坂繋がりで、そうだ、龍野に行こう。ちょうど「西はりまスタンプラリー」も開催中だ。
西播磨の11市町にある各2ヶ所のスタンプポイントから、合計4つのスタンプを集めれば景品に応募できる。そこで、たつの市と、隣の太子町に狙いを付けて、JR本竜野駅から歩き始める。
本竜野駅は、いつの間にか美しく改装されていた。駅前ロータリーは歩行者優先で、徹底したバリアフリーが施されている。車道に横断歩道があるのではなく、歩道に横断車道が設置されている。天気も良く、新装間もない駅の写真は、まるでCGのようだ。
龍野市は、10年ほど前、新宮町、揖保川町、御津町と合併して、「たつの市」となった。龍野の町は、揖保川の清流に育まれた、播磨の小京都と呼ばれる美しい町。見どころも多く、もっと観光地としてスポットライトを浴びてもいいと思う一方、あまり賑やかになってほしくないとも思う。
龍野は、童謡の里としても知られる。この地に生まれた三木露風の「赤とんぼ」に因んで、町中のアチコチに赤とんぼを見ることができる。
マンホールのデザインも勿論赤とんぼ。
道路の側溝の蓋にも赤とんぼ。町のシンボリックな風景やデザインがあるというのは、町のイメージアップ、ブランドアップにとって大いなる強みだ。
龍野には、ヒガシマルなど、いくつもの醬油工場がある。残念ながら休館していたが、ヒガシマル醬油の本社は、うすくち龍野醤油資料館として開放されている。
醬油工場の白壁が美しい。以前訪問した際には、醬油の香りが満ち溢れていたように記憶しているが、正月休みのせいか、醬油の香りは感じなかった。
醬油もろみ販売機を発見。一見、どこにでもありそうなヤクルトの自販機なのだが、ヤクルトの飲料と並んで、醬油などを販売しているようだ。年末年始のためか、醬油やもろみが並んでいたと思われるところには商品が入っておらず、数百円の値札だけが空しく貼られていた。
そして、龍野5万3千石の殿様である脇坂氏の居城、龍野城址にやってきた。ここが西はりまスタンプラリーの一つ目のスタンプポイントになる。
残念ながら、城跡には近年再建された本丸御殿があるだけ。上段の間が再現されている。外様大名でありながら、江戸時代後期には老中にまで抜擢された脇坂氏の栄華を感じることができる立派な造りだ。
龍野城の城門の傍に、三木露風の生家があって、内部も公開されている。かつて赤松氏と並ぶ播磨の名門として勢力を誇っていた三木氏の末裔なのだろうか。
龍野公園の中に、小さな動物園がある。猿とかアヒルのような身近な小動物だけではなく、ツキノワグマなんかもいる。もっともネグラに籠っているようで、糞だけが転がっていて、姿は見ることはできなかった。
2つめのスタンプポイントになっている龍野公園の横にある食堂で、龍野名物の素麺を食べる。手延素麺、揖保乃糸だ。
龍野は、宮本武蔵が修行した場所としても有名。一説には、武蔵の生誕地は美作ではなくて龍野だともいう。龍野御坊とも呼ばれる圓光寺は、武蔵が剣の修行で少年時代を過ごした場所。その後、関ヶ原の戦いの後や、吉岡一門との決闘の後など、度々この地に戻ってきたようだ。
龍野城、醬油、素麺、赤とんぼ、白壁、童謡、宮本武蔵、と観光の目玉がテンコ盛りなんだけど、さらに、美しい町並み作りのため、あちらこちらに工夫がなされている。公衆トイレには暖簾がかって、小洒落た銭湯のような造りになっている。
驚いたのは、姫路信用金庫の龍野支店川西出張所。看板の文字は右から左に書かれているし、純和風な造りでおよそ銀行らしく見えないが、自動ドアになっていて、中にはチャンとATMなんかもある。歴史の町、龍野に見事溶け込んでいる。
さんざん寄り道ばかりした龍野を離れて、太子町に向かう。かつては出雲街道と呼ばれた旧道だが、今は国道179号線。通常、国道というのは歩きにくいものだが、緑色に塗られた自転車道があって歩きやすい。自転車もほとんど走っていないし、歩道のような段差も無いのだ。
林田川を渡ると、「赤とんぼ歩道橋」なるものが出現した。橋や階段の両側に植栽が施されている。
いよいよ太子町に入る。大阪の太子町と同様に、こちらも聖徳太子ゆかりの町だ。かつて聖徳太子の所領があったところだそうだ。
斑鳩寺にやってきた。聖徳太子が自身の所領に創建したものだと伝えられる。塔は三重だが、どことなく法隆寺に似た雰囲気を感じる。
ここが、西はりまスタンプラリーのポイントなんだけど、ポスターやパンフレットはあるものの、肝心のスタンプが見当たらない。おそらく、この納経所の窓口にスタンプがあると思われるが、年始のためか窓口は閉まっている。寺務所なども覗いてみたが、人の気配が無い・・・。
スタンプ一つを目当てに歩いてきたのに、スタンプが見当たらず、むなしく斑鳩寺を後にする。ウォーキングスタンプラリーには、よくあることなんだけど、ダメージは少なくない。
このあたり、寺の名前は斑鳩だが、地名は鵤。
太子町の2つめのスタンプポイントは、太子町立文化会館。無事スタンプはゲットできた。少年時代を太子町で過ごしたことから、名誉町民となっている宇宙飛行士、野口聡一さんのイラストが描かれた大凧が飾られていた。
太子町には鉄道の駅がなく、バスの便も1時間に1本ほどしかない。仕方なく、最寄り駅と思われるJR山陽線の網干駅まで歩く。歩いてみて初めて分かったが、網干駅のすぐ間際が姫路・太子の境界だった。
斑鳩寺でスタンプを取り損ねて、西はりまスタンプラリーは、残念ながら未完。近く黒田官兵衛絡みのイベントが多い姫路を訪ねる予定なので、その際にでも最後のスタンプを取りに行くことにしよう。
まとめ
歩行距離 約12km
所要時間 238時間 (3時間58分)
歩数 20900歩 (早歩き17100歩)
「早歩き」は、以前の万歩計の「しっかり」より甘く計測されるようだ