鳴尾山(西脇市)

 2024年6月29日


旗振山(須磨)→御茶山(神戸市北区神出)→城山(加古川市志方)と巡ってきた旗振り通信の中継所となっていた旗振山だが、今日は城山の次の中継所となる西脇市の鳴尾山に登ってみる。「なるお」ではなく、「なき」やま、と呼ばれるらしい。



西脇市駅の南側にある山塊は、見る角度によって全く違う様相となる。先の写真は西からの写真で、双耳峰に見える右が鳴尾山山頂、左が鳴尾山城跡となっているけれど、北側に回りこむと明らかなように、西や北からはかなり勾配が厳しいようだ。



山塊を半周して東側まで回り込むと、ようやくポンコツハイカーでも登れそうな山に見えてきた。30分ほど歩くだけで同じ山とは思えない山容の変化に驚かされる。概ね晴れてはいるのだけれど、城山の方向(南側)に雲が立ち籠めているのが気になる。



駅から50分、比較的登りやすそうな東側の登山口までやってきたけれど、草が生い茂っていて、進入することが少々躊躇われる状態。それよりも気になるのが、途中購入するつもりだった飲料を買い忘れたこと。ペットボトル1本強では不安だけれど強行するしかない。



生い茂った草を掻き分けるように登山道にはいると、思っていたよりも整備された道がある。木々が日射しを遮ってくれることは有難いのだけれど、湿気が高い。それ以上に厄介なのが蚊の多さだ。



さらに蜘蛛の巣の多さに辟易とさせられる。トレッキングポールの先にはすぐに蜘蛛の糸がビッシリと付着する。ちょっと油断でもしようものなら、顔や口が蜘蛛の巣の直接攻撃を受ける。もう正午過ぎだけれど、おそらく朝から誰もこの道を歩いていないことが知れる。



かなりウンザリさせられたけれど、なんとか鳴尾山城跡まで登ってきた。戦国時代には上原氏という豪族の居城だったようだけれど、その後南播磨の別所氏に攻め滅ぼされたようだ。



北側は急峻な崖になっていて、西脇の市街地の先に、次の旗振り山となる氷上(丹波市)の石戸山方面を見通すことができる。紙地図とコンパスなどを頼りに石戸山の同定を試みたけれど、蚊がまとわりつき、ただでも邪魔くさい作業を邪魔され続ける。



ここが旗振山でも良いように思えるけれど、残念ながらここからでは城山方面を臨むことができない。やはり山頂方面に歩くしかないのか…。邪魔くせ~。



城跡に説明板もなく、まわりはブッシュに覆われているため容易には城の遺構のようなものは見つからない。草の上に放置されているような「水場跡」とか「堀切跡」といった案内板だけが目に入る。



城跡から山頂までは、さほどアップダウンのない尾根道のようだけれど、相変わらず蚊と蜘蛛の巣の攻撃は止まない。モチベーションは低下する一方だ。



虻が現れた。これって、スズメバチやオニヤンマにも負けない、昆虫界最強とも言われるシオヤアブではないか。最強の余裕か、恐る恐るカメラを向けても逃げることさえしない。こいつは人を襲うのか? シオヤアブから一旦少し離れてネット検索をする。



水の残量も不安だし、シオヤアブを理由に撤退しようと考えもしたけど、しばらくすると姿が見えなくなった。しゃあない、もう少し進むとするか…。大したこともない尾根道なんだけど、疲れと気力低下のためヨロヨロと進んでいく。



右も左も崖という尾根道だけれど、足場は十分な広さがあり、危なっかしさは感じない。暑さもそれほどでもない。それでも水を飲むのを節約しているせいだろうか、かなり体は重い。



あれが山頂だな、と思って進むけれど、いわゆる偽ピーク。等高線では大したアップダウンではないはずなんだけど、ちょっとした登りが随分と辛い。



今度こそ、ホンモノの山頂のようだ。その証拠に山頂の向こうに鉄塔が見える。でも深い樹々に覆われた山頂だ。眺望はあるのかぁ?



たった236mの鳴尾山の山頂。随分と疲れてしまったけれど、やはり眺望などまるで無い。もう少し見晴らしの良いところまで進むしかなさそうだ。



山頂を越えて鉄塔までやってきた。ここまで来ると南側に向けての眺望が一気に広がる。が、ここで加古川志方の城山を探すのが大変。紙地図、コンパス、YAMAP地図、Google Map、さらにはGoogle Earthまで動員する。



どうやら赤矢印の山が城山だ。直線距離で17㎞。まっすぐ見通すことはできるけれど、100年以上も前の望遠鏡で、あの山で振られる畳大の旗を識別していたことに改めて驚かされる。黄色でマークした写真左の社町の取引所でも城山からの旗信号を受信していたそうだ。



鳴尾山の山頂手前で北を望めるところがあったので、次の中継所があったと言われる氷上の石戸山を確認する。鳴尾山山頂が木々に覆われていなければ、南北ともに視界が広がっていたはずだ。



水不足が深刻になってきた。来た道を戻るのが無難ともいえるけれど、一刻も早く下山したいので、地図では破線扱いの南側への道を進む。幸い、覚悟していたよりも歩きやすい。



途中で道を見失い、工事現場のようなところに出てきた。ここから飲料の自販機を発見するまで、かなり難儀させられた。



距離7.1㎞とはいえ、7割程度は平地の舗装道歩き。その割には随分と疲れた…。獲得標高は274m、所要時間は4時間20分。