有馬富士(三田市)

2024年5月15日


朝から小雨模様なので比較的簡単そうに思える有馬富士に登ってみることにする。もっとも標高は低くても、結構な岩場もあって油断ならない山だと記憶している。新三田駅から北へ、登ったことがない金比羅山の登山口から山に入る。



小雨は未だ止まないけれど、さほど気になるほどではない。暑いよりはよほどマシだ。でも路面が意外にも泥濘んでいて、水溜まりも多い。



大昭和製紙の社有地との看板が立っている。雑木林で製紙の材料になりそうな木もなさそうだし、この辺りに製紙工場などあったかなぁ…。そもそも大昭和製紙って、高価な絵画を買ったりで経営破綻したはず。今はダレの林なんだろう…。



グチョグチョになった路面が多いことを除けば、比較的平坦で静かな林を抜ける尾根道が続いていたけれど、金比羅山に近づくにつれて上り坂が厳しくなってきた。



金比羅山(356m)。金比羅宮との扁額が掲げられた鳥居がある。海から遠く離れたところだけれど、海運関係者の信仰を集めている金毘羅さんの系列のはずだ。もっとも本殿に見える建物はトタンで封鎖された倉庫のようになっていて、その傍らに小さな祠があるだけだ。



金比羅宮から少し歩いて、岩場の展望台にやってきた。おそらく前方に見えるのが有馬富士に向かう道の近くにある城ヶ岡(330m)だと思う。随分な急坂だというけれど、遠目にはさほど尖った山には見えない。



有馬富士は、正面奥に見える尖がった山。随分と遠く見える。なんだか歩くのが急に鬱陶しくなってきた。



金比羅山から一旦大きく下っていく。小雨はいつの間にか止んで、急に蒸し暑くなってきた。



かなり危なっかしい岩場もある。ロープはあるものの、ちょっと濡れた岩場は滑りやすそうで、登るのも下るのも要注意だ。



城ヶ岡への分岐が現れた。有馬富士はまだまだ遠そうだし、そもそも雨上がりに登るような坂ではないようにも思えるけれど、さほど遠くもないので、ちょっと寄り道していこう。



と思って、登り始めたけれど、これがかなりの急坂。補助ロープはあるものの、これは止めといた方が良さそうだ。登るのはともかく、今日の路面状態では下りがヤバイ。



城ヶ丘登頂を諦めて、気持ちの良い林道を有馬富士に向けて進んでいく。まだまだ距離はありそうだけれど、平坦で歩きやすい道なのが有難い。



クロアゲハがツツジの蜜を吸っている。余程美味しいのか、カメラを向けても逃げ出すこともない。



明確な境界は見当たらなかったけど、既に広大な有馬富士公園に入っているはずだ。もっとも良い意味であまり整備されていないエリアで、標識類も少なく、橋のない渡渉があったりするけれど、むしろ楽しく感じる。



有馬富士の外周道路までやってきた。ここまで来ると標識類も急に増える。山頂は左に向かうと案内されているけれど、右からわんぱく砦と名付けられた岩場を登り、左側の階段を下るのが標準ルートのはず…。まあ今日は案内標識に従って階段から登ることにしよう。



初めて登りで使うけれど、こんな急な階段だったっけ…。すぐ息が切れてしまう。なんだか膝が痛いような気もしてきた。



大した山でもないのに一合目、二合目などの標識がある。バカにしていたのは最初だけ。四合目あたりで、一旦座り込んでしまう。



最後は岩を攀じ登るような急坂。この山は、初心者向け登山としてよく紹介されているけれど、さして体力もない初心者が、ごく簡単な装備で挑むと、酷い目に会うことになるような気がする。



有馬富士山頂(374m)。たぶん10年振りくらいに登ってきた。休日ともなれば賑わう山だけれど、雨上がりのせいもあってか、誰とも出会わずここまでやってきた。



山頂付近の岩場からの眺望はなかなかのもの。たぶん羽束山とか大岩岳とかが見えているんだろうけれど、どれがどれなのか、よく判らない…。



わんぱく砦などという、お子様向けの名前が付いた岩場。登るのも厄介だけれど、下るのはさらにヤバイ。やはりこちらから登って、階段を下るべきだったと後悔するけれど、もはや仕方ない。道どりを慎重に選びながら、へっぴり腰になりながら下っていく。



福島大池越しに見る有馬富士。そこそこ凪いでいたので、やや不完全ながらも池面に有馬富士が鏡写しになっている。新三田駅で買った2本のペットボトルを飲み切り、ここでようやく自販機発見。もうかなりの水分を持たないと不安になるような気温になってきた。



福島大池の流出口は流紋岩の滑岩になっている。これまで気付かなかったけれど、滑岩の上を流れる水はずっと見ていても見飽きない。



新三田駅のすぐ近くまで渓流沿いの気持ちのハイキングロードが続いている。軽い山歩きのつもりだったけど、結構歩いたような気がする。



が、方向距離は9.9㎞。12~13㎞は歩いたような気がしたんだけど…。だんだんと疲れ具合と歩行距離の実感が合わなくなってきた。獲得標高432m、所要時間は5時間弱。




大和三山~畝傍山・天香久山・耳成山~(橿原市、明日香村)

 2024年5月7日


京都も兵庫も雨予報なんだけど、大阪南部や奈良なら天気は持ちそう。ということで、雨が降っても対応容易な大和三山(畝傍山、天香久山、耳成山)に出掛けることにしよう。以前近鉄のハイキングマップ片手に歩いたことはあるけれど、もう15年ほども前のことだ。



近鉄橿原神宮前駅をスタート。新歌舞伎座や都ホテルなどを手掛けた村野藤吾の設計による大和棟と言われる奈良の古民家によく見られる急勾配の屋根を持つ駅舎だ。駅前には黄色いポストが設置されている。神武天皇にゆかりのある地に立てられているらしい。



玉砂利を踏み、巨大な鳥居が立つ橿原神宮に向かう。神武天皇をご祭神とするこの神社は、創建は1890年とはいえ、数ある神社のなかでも特別な存在だ。それにしても、玉砂利って、とても歩きにくくて疲れる…。



いくつかの鳥居を潜りながら、玉砂利の参道を進むこと5分ほどで拝殿に到着。新年など、大勢の参拝客を受け入れることができる大きな拝殿だけれど、今日は人の姿も疎ら。拝殿の右奥にはこれから向かう畝傍山が少し見える。



拝殿を過ぎ、北参道を進むと、畝傍山登山口が現れる。散歩気分で登っていく参拝客も多いのではないだろうか。何の注意もないけれど、見た目ほど簡単な山ではないのだ。



結構な急坂があるとは知ってはいたけれど、つい軽装でやってきてしまったことを後悔させられる。ロープを使って攀じ登るようなところもあるし、雨上がりのため、随分と滑りやすい。



記憶していた以上にしんどい思いをして畝傍山(198m)の山頂に到着。とはいえ、地元のシニアが何人もヒョイヒョイと登ってこられ、山頂で楽しそうにお喋りをしている。畝傍山で疲れている訳にはいかない。まだまだ先は長いのだ。



が、下りがまたまた大変。とにかく滑る滑る。トレッキングシューズの有難さを思い知らされる。しばらく出番のなかった安物のスニーカーでやってきたことが悔やまれる。少なくともトレッキングポールは持ってくるべきだった。



アザミ。どこにでも見られるような花だけれど、奈良で見ると、アザミはとても奈良らしい花だ…、なんてことを感じてしまう。



畝傍山に続き、天香久山を目指す。藤原京を取り囲む大和三山は、それぞれに2~3㎞ほども離れている。3つの山登り以外は延々と平地を歩くことになる。空は相変わらずドンヨリとしているけれど、降りそうで降らない。



天香久山の南麓にある天岩戸神社。全国に何十もあると思われる天岩戸のひとつだ。本殿は無く、竹林のなかにある巨石がご神体だ。天照大御神がお隠れになったというにはちょっと小さいようにも感じるけれど、場所が場所だけにそれっぽく感じたりもする。



天岩戸神社から西に回り込んで、名勝大和三山の標識や観光案内板がある比較的無難そうな登山道を進む。



が、これまた滑る滑る。畝傍山が死火山のせいか、そこそこ岩っぽかったのに対して、天香久山は雨が降ると泥濘だらけ。粘土が多いせいか、かなり大きく滑ってしまう。



天香久山(152m)の山頂。小さな祠があるばかり。藤原京と飛鳥で世界遺産登録を目指しているというけれど、大和三山も対象になっているらしい。飛鳥はともかく、藤原京や大和三山は、アピールが難しいように感じる。



山頂からは畝傍山が良く見える。橿原神宮から見上げていたときと比べて、随分と高く聳えているように感じる。



絶対転ぶ、と覚悟しながら急坂を下って天香久山を北麓に下山。危機感と緊張感を絶やさなければ、意外と転ばないものだ。



あとひとつ。耳成山へと向かう。周囲は田畑と原っぱばかり。建物などが少ないせいか、いまいち距離感が掴みにくい。



橿原の古い町並みを縫うように細い路地を進んでいくんだけど、何か靴の様子がおかしい。どうやら長らく履かずに保管していたスニーカーのソールが剥げ落ちかけているようだ。確認したところでどうにもできないので、そのまま歩いていく。



見渡す限りクローバーで埋め尽くされた藤原宮。本邦初めての本格的な都城だとはいえ、その期間は僅か16年。平城京に遷都して以降1300年ほども田畑の下に隠されていた幻の都だ。朱色の柱が立っているところは、何か重要な建造物があったところらしい。



この辺りには大極殿があったらしい。といっても畝傍山を背に、礎石の上に立つ朱色の柱は2mほどしかない。もう10年以上はこんな感じで、何も手が付けられていないし、発掘調査をしているところにも出会わない。これで世界遺産なんて申請できるのだろうか。



靴の底が無視できない状態になってきた。ただでも薄いソールが続々と剥がれていく。一部が剥がれると連鎖的に剥がれていくようだ。剥がれかかったところを毟り取りながら歩ききるしかなさそうだ。



耳成山。石灯籠の立つ参道をらせん状に登っていく。この山も死火山らしいけれど、さほど岩っぽさは感じられない。靴に不安があるけれど、泥濘はあるけれど、幸い滑りやすいところはあまりない。



山頂の手前、8合目あたりにある山口神社。安産にご利益があるところらしい。安産→暗算とシャレでもなかろうが、本殿には和算の額が奉納されている。



山口神社から先、案内板もあまり見当たらない道を登って、耳成山(139m)山頂に到達。山頂は特に整備されている訳でもなく、小さな山頂標があるだけ。独立峰だけに、遠くからでも存在が確認できる山だけど、山頂からの眺望はほぼ皆無だ。



大和八木駅まで戻って本日の散策を完了。歩行距離は12.2㎞、獲得標高305m、所用時間は5時間。



標高グラフ。3つのピークがあるものの、大半は平地歩き。これを山登りと呼んでよいものやら…。でも結構疲れた。