沿線散歩(3) 奈良・吉野山

2012年11月10日(土) ‐①


近鉄・阪神・山陽の「沿線散歩」全10コース制覇に向けて今年もスタートを切った。10km程度のウォーキングコースのなかにあるクイズポインに答え、ゴール駅でスタンプを貰う仕組みだ。

今年のコースは西は姫路、東は奈良県の吉野、と広く分布している。3年ほど前に近鉄が参加して以来、近鉄エリアの懐にどんどん深く入り込んだコース設定になっていく。この調子では、来年には伊勢などがコースに組み込まれるんじゃなかろうか。



朝に済まさなければならない用事ができたため、吉野に着いたのは12時半。勿体ないと思いながらも特急に乗ったが、それでも遅いスタートになってしまった。



紅葉の見頃には10日ほど早かったようだ。吉野駅からロープウェイに乗り継ぐ観光客を尻目に、いつもよりかなり重いリュックを背負ってを山道を登っていく。大した坂道でも無いが、多少は高度も上がったのだろう。元湯あたりまで来ると、ちょっといい感じの紅葉にも出会えた。



白っぽい枝の桜のなかで、楓の紅葉が映える。歩いて上千本にまで登って行こうとする人は他にいないので、とても静かで、爽やかな気分になる。



一本の木のなかで、赤、黄、緑の葉が混在しているものもある。真っ赤に紅葉しているものも良いが、ミックスも結構綺麗だ。



上千本への道から逸れて、如意輪寺に向かう。ここに来てようやく登りがキツい。後醍醐天皇陵や楠木正行の髻塚があるところだ。とは、知っているし、5年前に近鉄の「あみま倶楽部」の50コース制覇時に来ているはずなんだけど、ここまでの道を含めて、全く記憶に残っていない。


正行の髻塚は拝むことができたが、北面している後醍醐天皇陵や、このお寺を代表する写真として使われている多宝塔は有料ゾーン。400円が惜しいこともあるが、先を急ぐので断念。



でも、その後、上千本に向かう道から、多宝塔を見ることができた。



上千本地区にある竹林院。聖徳太子の創建と伝わる。千利休が作り、細川幽斎が改修したという庭園が立派らしい。これだけのビッグネームが揃うと、少し見てみたい気もするんだけど、300円をケチって、ここもスルー。



中千本のメインストリート。風情のある土産物屋や茶店が軒を連ねている。葛餅とか草団子とかが、気になるけど、もう少し我慢だ。



南朝の皇居になっていた吉水神社。南朝を正統とすれば、この地が50年以上もの間、日本の首都であったことになる。後醍醐天皇以外に、源義経、弁慶、静御前が隠れ住んだり、また豊臣秀吉が盛大な花見をしたり、吉水神社は、日本史のビッグネームがテンコ盛りだ。



世界遺産でもあり、歴史の生き証人のような見所が満載の吉水神社で、入場料400円は惜しくはないが、今日は急ぐのだ。でも、一目千本と呼ばれる吉水神社からの眺めは堪能。白くなった桜の木々に混じって生えているもみじのため、どことなく山全体がピンクに見える。



役行者こと、役小角が開祖で、1300年の歴史があると言われる東南院。役行者って、山岳信仰の祖のような存在であったり、鬼神を操るほどの呪術師であったり、恐ろしげな人物に思えたりもするけれど、神道の本流ともいえる加茂氏の出なんだよね。



吉野山のシンボル、金峰山寺蔵王堂。大塔宮の陣跡の碑がある。東大寺の大仏殿に次ぐ大きさの木造建築になるそうだ。これも役行者が開祖。これまで「こんぽうさん」と勝手に読んでいたけど、正しくは「きんぷせん」と知った。



金峰山寺から、東南側の山の中腹に、先に訪れた如意輪寺が小さく見える。



金峰山寺の仁王門。蔵王堂と同様、国宝に指定されている。



吉野駅に向かって、 七曲りと呼ばれる道をダラダラと下っていく。このあたりが最も紅葉が進んでいたように思う。



 当然のことながら、帰りもロープウェイを使わず、「沿線散歩」のマップにあくまで忠実に歩く。



雄大な自然のなかで、ロープウェイの如何に小さいことか。大した坂道でも無いし、登りはともかく、少なくとも下りは歩くのがお薦めだ。



ゴール(今回はスタートも同じ吉野駅だが)で貰うのは、小さな改札印がひとつだけ。他のスタンプラリーに比べて、あまりのショボさに最初はガッカリだったが、実は最も信頼度が高いスタンプなのだ。日付も入っているし、一人で何枚もの台紙にスタンプを押すような不正もありえない。



それにしても、近鉄のクイズはひどい。「春になると吉野山をピンクに染める植物は?①桜、②もみじ、③バラ」。おいおい馬鹿にしとるのか。歩いて行って初めて正解がわかるようなクイズにせんかい。以前にも「奈良公園にいる天然記念物の動物は?」なんてものもあった。

近鉄の「沿線散歩」は、クイズもコースも、阪神・山陽のテイストと違いすぎる。神戸方面から観光客を奈良に呼び込むことばかり考えているようで、全て定番の観光コースだ。阪神・山陽は、毎回工夫して独自のコースを作っている。近鉄も「あみま倶楽部」という素晴らしいウォーキングプログラムを開催しているのだから、もう少し力を入れてくれないかなぁ・・・。

まとめ


歩行距離  7km
所用時間  164分
歩数     12600歩 (しっかり 4700歩)