比叡山スタンプラリー2019(八王子山~三石岳~横川~東塔)

2019年9月29日(日)


年中行事のひとつのようになっている比叡山スタンプラリーに今年も出かける。毎年同じ時期に比叡山に登って、還暦を過ぎて年々衰えていく体力の自己診断が目的のようになっている。



比叡山はつい先日NHKのブラタモリで紹介されたばかり。見慣れた景色もTVの映像を通して見れば新鮮に感じられ、さらにTVで見た映像の場所を再び訪問すると、以前より一層趣きのある風景に写る。比叡山の門前町、穴太衆の石積みが残る近江坂本から歩き始める。



比叡山に登るといっても、コースによって随分と「しんどさ」が異なる。今日は正面に見える八王子山から三石岳を超えて横川に向かう道を行くことにする。決して楽な道ではない。



日吉神社の境内を通って山に登る。鳥居の上に破風のようなものがある珍しい山王鳥居がみられる。破風が合掌の形をしているからか、神仏習合を表しているともいうが、比叡山延暦寺への参道と一体化したような日吉神社らしい。



手水鉢に黄色い花が浮かべられている。華やかさはグッと増すけど、品や厳かさを損なうものでもない。他の神社でも同じような手水鉢が登場するのではなかろうか。



いよいよ登山の開始だ。日吉神社の裏手から、急な坂道を登って、まずは八王子山を目指す。



八王子山の頂付近に立つ、日吉神社の奥宮の屋根の向こうに坂本の町並み、そして琵琶湖の湖面が広がる。



ちょっと寄り道して八王子山の頂上にやってきた。ケルン風の石積みの頂上碑がある。木立に囲まれて、眺望は無い。



八王子山頂上付近は、道がはっきりしていないので、ちょっと油断すると、あらぬ方向に進んでしまう。YAMAPからダウンロードした地図を頼りに軌道修正をしていく。ホントに頼りになるアプリだ。それにしても、道の間違い頻度が半端ない・・・。



次第に道もはっきりとしてくるんだけど、路面は草に覆われているところが多い。人にもさっぱり出会わない、と思っていたら、アジア・欧州からの外国人男女5人組に出会う。聞いてみると、どこを目指している訳でもなく、天気もいいし、暇なので、ブラブラ歩いてきたという。地図も持たない軽装だ。



おみくじ発祥の地(つい最近放映されたブラタモリで紹介されるまで知らなかった・・・)である元三大師堂まで登ってきて、外国人グループが気になって待っていたけど20分ほど待っても現れなかった・・・。無事下山したのだろうか。



横川本堂。この舞台造りは遣唐使船をモデルにしたものなんだそうだ。確かに船が浮かんでいる姿に見えなくもない。毎年訪れているのに、これまたブラタモリを見るまで知らなかった・・・。



横川本堂から西塔へ向かう。昨年は台風の影響で倒木ばかりが多くみられたけど、1年経っても、まだ片付けきれていていないようだ。



峰辻に立つ京都一周トレイルの標識。昨年は八瀬からマイナーな道をここまで登ってきたけれど、難路と書かれて、さらにバツ印が打たれている。



峰通に聳える玉体杉に向かって手を合わせる登山者がいる。玉体杉ってご神体なんだろうか。ここから御所に向かって国家安泰を祈念するところだと思っていたんだけど。何度登っても、知らないことが多すぎる・・・。



わずか1年の間に、自動車道に面した峰通レストランがすっかりリニューアルされていた。琵琶湖の眺望を楽しみながら、ゆっくりと食事ができそうだ。



昨年は台風で押し倒された若山牧水の歌碑も復元されていた。倒れただけだと思っていたけど、割れもあったのだろう。新たに制作されたようだ。



西塔地区にある「にない堂」。弁慶が2つのお堂を繋ぐ渡り廊下に肩を入れて担いだことから名付けられたらしい。弁慶の怪力伝説って全国各地にあるようだけど、まるで荒唐無稽さを競い合っているかのようだ。



伝教大師御廟の前から東塔エリアに向かう坂道。ハイキングも終盤近く、毎年ウンザリしながら登っていくのだけど、なんと坂道が改修されている。やけに高い段差の石段が無くなり、歩きやすい砂利の坂道になっていた。



東塔に到着。1年ぶりの比叡山だけど、随分と彼方此方と改修・補修が施されていたことに驚いた。もっとも根本中堂の大改修ばかりは、完成までにまだ7年もかかるという。



大書院の前にあった「今上両陛下行幸啓御座所」の記念碑が、早くも「上皇・上皇后」に書き換えられていた。



「一隅を照らす」から名付けられたのだろう。「しょうぐうさん」なるマスコットキャラクターが出迎えてくれる延暦寺会館で最後のスタンプをゲットする。




記念品はアルミボトル。赤・黒・緑のなかかから赤色をチョイスする。絵皿とか湯飲みのようなものから最近は実用性のあるものが選べるように変わってきた。



本日の歩行軌跡。約15km。心身ともにアチコチと問題だらけになってきたけど、今年も元気に歩きとおせた。



もっとも東塔からバスで帰宅。以前はスタンプラリーの後、歩いて下山したものだけど、このところ下山はバスを使ってばかりだ。

クイーンズ散策(ニューヨーク)

2019年9月15日(日)


ニューヨークでの休日。ラガーディア空港以外、これまで立ち入ったことのないクイーンズ区の探索にでかける。世界中からの移民が集い、一番多種多様な民族が住む地域として有名なんだけど、観光ガイドマップには殆ど紹介さえないところなのだ。

 


マンハッタンから地下鉄でイーストリバーを渡り、クイーンズボロ・プラザで下車。ここから地下鉄7号線に沿って東へと向かおう。地下鉄といっても、このあたりでは高架鉄道になっている。



クイーンズを探索するとは決めたもののニューヨークメッツスタジアム以外に見どころがわからない。安直だけど鉄道に沿って歩いていけば、何か面白いものに出くわすだろう。そして何より安全そうだ。



期待に反して殺風景な道が続く。アムトラックの広大な車両基地が広がっている、



鉄道を挟んで片側5車線の大通り、クイーンズ・ブルバード。マンハッタンの中心からわずか15分ほどの地下鉄移動で、歩く人の数も車の密度も随分と変わるものだ。



UBERに押されてタクシーの数が激減した町が多いなかで、ニューヨークのイエローキャブはまだまだ幅を利かせている。イエローキャブの運転手になるには、どのような資格が必要なのか知らないが、なんと中古車が売られている。UBER同様、以外と簡単に運転手になれるのかもしれない。



道路沿いに店が並ぶエリアに入ってきた。全米アチコチの町でみられる99セント(あるいは1ドル)ショップ。しかし日本の百均とは異なり、低品質のものや、いかにも売れ残りといった感じの商品が多い。



随分大きな桃とか瓜のようなものが売られている。この国はフルールの種類も豊富なんだけど、ホテルの朝食では定番フルーツしか無い。



水のペットボトルの値段にはいつも驚かされる。自販機や売店で買えば1本2ドルはするのに、まとめ買いをすれば28本で9ドル99セント。1本36セントにしかならない。



ようやくクイーンズっぽい、と思えるような地域にやってきた。地下鉄高架の脇に商店が立ち並ぶ。このあたりは中南米系の店が多いようだ。



地下鉄の高架橋に道路の信号機がひどく無造作に括り付けられている。



こちらでは、何だか道路を封鎖してお祭りモード。多くの露店が並んでいる。



大通りを少し入った道。アメリカっぽくない、どこか他の国のような雰囲気だ。



様々な種類のソーセージや燻製肉を売るお店。どこなのかは判らないけど、これまたアメリカとは違う食文化の国のものに感じる。



ピンクと白のシャーベットの屋台が数多くみられる。マンハッタンでは見たことがない。クイーンズを歩いていると、ここがどこの国なのか、よく分からなくなってくる。



当然、英語以外の文字がアチコチにみられる。ここはサッカーのユニホームを売るお店。RAKUTENのユニホームがあってビックリ。おそらくヴィッセル神戸のものではなく、楽天カップのものだろう。



ジーンズの店。女性の下半身だけのマネキンが並んでいる艶めかしい風景だけど、驚くべきはその足の長さと細さだ。



アパートの広告。30年前にアメリカにいたときには一般的な方法だけど、ネット全盛の今もこの方式が残っていることにビックリ。興味があるなら、連絡先の電話番号をちぎって持ち帰ることができるようになっている。



雑然とした商業ゾーンを過ぎ、いよいよ公園エリアにやってきた。地下鉄高架の周囲も緑で覆われている。



USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターが見えてきた。つい先日までテニスの全米オープンが開催されていたところだ。世界最大のテニス専用競技場だというが、競技場の名前も半端なく長い・・・。



さあ、今回の散策の最大の目的地、ニューヨークメッツの本拠地、シティフィールドにやってきた。一見野球場とは思えない直線的な外壁、ロマネスク様式とも思われる半円アーチはなかなかに恰好いい。



繁華街型球場とは対称的な、公園型球場だ。とても広々としているけど、周囲にお店などは無い。球場前には、シティフィールド名物のビッグアップルがドンとおかれている。



歩行軌跡。無計画に歩いた10kmだったけど、マンハッタンとはまるで違うニューヨークを楽しむことができた。




国際連合本部(ニューヨーク)

2019年9月11日(水)


仕事の合間に、ニューヨークの国際連合本部の見学ツアーに参加する。30年ほど前にチョコっと訪問したことがあるのだけど、さっぱり覚えていない・・・。



事前に見学ツアーに申し込んでいたので、スムーズに入館。いきなり本会議場に案内される。きれいなお姉さんがガイドをしてくれる。



あいにく電気系統の整備のため、会議場は薄暗い。来週火曜日から国連総会が始まるだけに、最後の点検を徹底しているところなのだろう。日本からは安倍総理が総会に出席し、あの檀上で一般討論演説を行うはずだ。



長崎浦上天主堂で被爆した聖アグネス像が展示されている。右肘から先が無くなり、体には焼け跡が残る。第二次世界大戦の反省を踏まえて設立された国際連合の原点を忘れないようとのことだろう。



地雷の数々。今も世界中に放置されている対人地雷の数は1億個とさえ言われるそうだ。爆発力は即死ではなく重症相当となるようにしているという。人道的見地ではなく、敵の戦闘力削減のため最も効果的なのが介抱が必要になる重症狙いなんだそうだ。厄介なことにこの残酷な対人地雷の除去のためには設置するコストの百倍以上もかかるという。



国連本部中庭にある平和の鐘。加盟国メンバーから募った各国のコインを鋳潰して制作されたという梵鐘だ。日本が国連未加盟だった頃に平和の象徴として贈ったものなんだそうだ。



大きな絵だ。スペインのザネッティのものなんだそうだ。各国から平和を願った様々な美術品が寄贈されていて、ちょっとした美術館の様相でもある。



安全保障理事会が開催される議場にやってきた。ここまで見せてもらえるの?と、正直なところ驚いてしまった。



中央の円卓が常任理事国5ヶ国、非常任理事国10ヶ国の計15ヶ国の代表が座るところ。代表の後ろの水色の席は随員席のようで、各国に4席ずつ割り当てられているようだ。



椅子には同時翻訳のための機器が設置されているのだけど、これが意外なまでにレトロ。イヤホンは耳の上に被せる方式だし、言語を選ぶスイッチも明らかに1980年ころの製品ではなかろうかと感じさせる。



PKO活動についても様々な展示がある。当然米国をはじめとした大国が予算と同様に要員についても多くを負担しているものと思っていたのだけど、インド・パキスタン・バングラディシュが圧倒的多数、続いてアフリカ諸国なんだそうだ。紛争地の当事国や近隣国の関与度が高いということだろうか。あるいはお金は出さない代わりに人を出すということなのか、



おお、ノーベル賞のメダルだ。本物は初めて見たぞ。国連に賞を授与できる団体なんて、ノーベル財団以外にはないのではなかろうか。



信託統治理事会の議場。もっともかつて多数存在した国連信託統治地域もすべて独立国となってしまったので、理事会の活動も停止している。



安全保障理事会に比べると随分影が薄い感のある経済社会理事会だけど、議決を行う分野は、貿易、経済、人権、食糧、教育など多岐にわたる。理事国も54ヶ国あるため、議場も大きい。



経済社会理事会には日本も理事として名を連ねているようだ。



国連本部の地下にはお土産屋さんがある。国連のロゴやマークがついた帽子やシャツなどとともに、各国から出品された民芸品のようなものも売られている。



国連本部がニューヨークの真ん中にあることに、長らく違和感を持ってきた。国連が米国の影響下にあるように(少なくとも外形からは)見えてしまう。しかし実際に見学してみると、対人地雷全面禁止条約への対応など、米国を暗に批判するような内容の展示も見られるなど、国連の独立性を再認識できた。