ルイビル(ケンタッキー州)探索

2019年11月24日(日)


ケンタッキー州のルイビルにやってきた。この地で誕生したボクサーの名前をとって、なんと空港は、ルイビル・モハメド・アリ国際空港という名前になっている。日本では馴染みがないかもしれないが、見どころ一杯の街なのだ。頑張って歩き回ろう。



ルイビルの観光案内所に行くと、あのカーネルサンダーズ人形とケンタッキーフライドチキンの歴史を解説するコーナーがある。ケンタッキー州の片田舎に1号店を開設して以来全世界に店舗を展開しているが、本社はここルイビルにある。



観光案内所もあるルイビルの中心街、4th Street。ジンビーム、アーリータイムズ、IWハーパーなど日本でも知らているものから、聞いたことのない銘柄まで、ルイビルに醸造所を持つ多種多様なケンタッキーバーボンを提供する店が並んでいる。



喧騒感漂うダウンタウンを少し離れれば、20世紀初頭から変わっていないのでは、と思わせる落ち着いたビルが並ぶエリアが続く。いろいろな顔を持つ町のようだ。



ルイビルはオハイオ川の水上交通の要所として発展したところ。橋を渡るとインディアナ州だ。ルイビル中心部付近からは4本の橋が架かっているが、写真の2本は自動車専用橋だ。



向こうに見えるのは歩行者専用の橋。かつては鉄道橋だったものだが、廃線になり歩行者用に転用されているらしい。あの橋を渡ってケンタッキー州からインディアナ州まで、もう何度目かになる徒歩での州境越えに挑む。楽しみだ。



オハイオ川の畔にある公園に、ケンタッキー州出身のリンカーンの銅像がある。最近の学校教科書ではリンカンとなっているらしい。



さあ、BIG FOURブリッジにやってきた。かつての鉄道橋の端をちょん切り、ループ状のスロープを後付けしている。



素晴らしい歩道橋だ。車道の横に取ってつけたような歩道とは異なり、広い橋幅いっぱいを使って歩くことができ、左右、そして上下の景色をともに楽しむことができる。列車を支えていた重厚で飾り気のない鉄骨は見ていて飽きることがない。



橋脚からはルイビルのビル群が遠くに見える。川の幅は500mといったところだろうか。長々と歩いてきた道程を振り返り、見渡すことはウォーキングの至上の喜びだと感じる。



インディアナ州に入る。ジェファーソンヴィルという町だ。橋の上から見ると、城壁のように延々と水防壁が設置されていることがわかる。オハイオ川の氾濫できっと何度も水没するような災害を経験してきたところだろう。



今も壁が閉じられることはあるのだろうか。上を道路が通過するようなところなど、ところどころに重い扉は付いてはいるけど、容易に閉鎖できそうには見えない。壁が作られて以降、堤防増強など治水工事は進んでいるかもしれない。



水鳥がゆったりと泳いでいるように見えるのだけど、結構流速は速そうだ。オハイオ川を流れる水は、この後ミシシッピ川に、そしてメキシコ湾へと、おそらく1000kmをゆうに越える旅を続けていく。いったいどれくらいの時間が掛かるのだろうか。



わずか小一時間ほどのインディアナ州でのウォーキングを楽しみ、ケンタッキー州に戻ることにする。帰路は、一般自動車道に併設された歩道を行く。橋のたもとにある大きな石標に"INDIANA"の文字が刻まれている。



車道との間にガードレールもなく、柱を支える鉄骨が邪魔で歩きにくいが、これはこれで楽しい。風が強い。モハメド・アリが黒人差別に怒り、オリンピックの金メダルを川に投げ込んだというのは、この橋だったのではなかろうか。



ケンタッキー側にも、インディアナ側と同じ石標が立てられている。



オハイオ川に沿って西に進んだところに、モハメド・アリ・ミュージアムがある。ボクサーとしての輝かしい実績ばかりでなく、徴兵拒否、黒人差別への反発、イスラム教入信、カシアス・クレイからの改名など、歯に衣着せぬ物言いも相俟って、エピソードには事欠かない。20世紀を代表するスポーツマンのひとりだと思う。



ここまで歩いてきて入場料14ドルをケチるのもどうかとは思うが、入館は見送りギフトショップだけを見ていくことにする。アリのファイティングスタイルを評した「蝶のように舞い、蜂のように刺す」のフレーズが入ったポスターやTシャツなどが売られている。



続いて、野球バッドのトップメーカー、スラッガーの博物館を訪問する。MLBの7割だか8割だかはスラッガーのバッドを使用しているという。博物館にはとんでもない長さのバッドが立てかけられている。



ルイビルの歩道のアチコチには、過去の名選手が使用したバッドのレプリカ(金属製)が飾られている。そして博物館の前にあったのは、かのベーブ・ルースのバッドだ。



ここでも博物館入館は見送り、ギフトショップだけを見て回る。お土産グッズを販売するばかりではなく、オーダーメイドのバッド注文も受け付けている。



体力的にも時間的にも余裕があるので、ちょっと離れてはいるけど、町の南にあるチャーチルダウンズ競馬場に向かって歩いていくことにする。ケンタッキー・ダービーが開催されるところだ。道中は大学や教会など静寂な街並みが続く。



スラッガー博物館から2時間近く歩いて、ようやくチャーチルダウンズ競馬場に到着。ケンタッキー・ダービーでは17万人が押し寄せるという。



ちょっとしたレースも開催されていたようだけど、ここでも入場料をケチって、ギフトショップを見て回り、スタンドの隙間からスタンドを覗き込む。う~ん、これでは競馬場の雰囲気がまるで分らない…。



さすがに疲れてきて、同じ道を歩いてダウンタウンに戻る気にはならず、UBERを呼んでホテルに戻る。本日の歩行距離は18kmほど。



一度観光モードに入ってしまうと、疲れがドッと吹き出し、歩く気力も失せることもあって、博物館等のどこにも入場しなかった。まあ、根がケチというのもあるけれど…。でも行きたかった名所をすべて歩き回ることができ、大満足のウォーキングだった。


シアトル散策(2)

2019年11月9日(土)


あいにくの雨模様だけど、せっかくの休日だ。昨日行くことができなかったシアトルの北側を散策することにしよう。傘もカッパもなく、高層ビルも小雨で霞んでいるような状況だが、まあなんとかなるだろう。



まずは海岸に出る。道に沿って延々と桟橋が並んでいる。ここは55番埠頭。神戸のハーバーランドとイメージが重なってしまう。



桟橋に近づいて観察してみると、驚いたことに大半は木造だ。アメリカってところは、電信柱にしても、意外なまでに木材を多用している。きっと日本よりも、安くて丈夫な木材が容易に調達できるからだろう。



ずらりと並ぶ埠頭の向こうには観覧車も見える。神戸との類似性を否が応でも感じる。



観覧車や水族館があるウォータフロント公園も気になるけれど、シアトルで最も賑やかと言われるパイクプレイス魚市場を目指すことにする。市場の入り口付近にあるのが、チューインガムを壁に貼り付けた珍名所「ガムウォール」。カラフルとか芸術的とかいう前に、不潔感が先に立つ。



魚市場の入り口には、レイチェルと名付けられた金色の豚がいる。これに触ると金運がアップするという。多くの人に取り囲まれていて、近寄ることも容易ではない。



アメリカの多くの街の市場では魚の種類が少ないものだけど、ここは違う。大小いろいろな魚が並んでいる。もちろん、カニとかウニとか、日本人も大好きな海の幸もかなり安い値段で売られている。



迷路のように入り組んだ巨大な市場は、魚ばかりではなく、野菜とか果物とかの店も軒を連ねている。もとは日本からの移民が農作物をここで売り出したのがこの市場の始まりとも聞くが、真偽のほどはともかく、日本でも最近は見られなくなった活気ある市場だ。



市場の前には、スターバックスの一号店がある。おそらく他と同じものしか提供されていないと思うのだけど、とんでもない行列ができている。



パープルストアという店を発見。店のなかの売り物は、すべてが紫だ。ここまで色に特化した店は初めてお目にかかった。



シアトルには様々な交通機関がある。地下を走るリンクライトトレールの駅。地下鉄とはちょっと違う。路面電車がトンネルのなかを走っているというのが正しい説明になりそうだ。



こちらは同じ路面電車でも、ストリートカーと呼ばれるもの。リンクライトトレールよりも小ぶりの車両だ。



これはモノレール。これから向かうスペースニードルに向かって走っている。ほかにも様々なタイプのバス、郊外からの通勤電車、フェリー、水上タクシーなど、この街はまるで公共交通機関の博物館のようだ。



ストリートカーに絡む事故が結構あるのだろう。左右ともに注意せよ、といった注意標識が見られる。



モノレールの駅で見つけた抹茶の店。シアトルばかりでなく、抹茶を使ったドリンクやデザートをアメリカのアチコチで見かけることが多くなった。



さあ、シアトルのランドマーク的な存在となっているスペースニードルに向かう。雨はやんだけど、空はどんよりと曇り、いつ再び降り始めるか分からない。シアトルというところは、同じ西海岸でもカリフォルニアとは異なり、雨の多いところらしい。



すっかり黄色く色づいた街路樹を楽しみながら、北へ北へと歩いていく。もう少し暖かい町だと思っていたけど、日本より少し肌寒いかもしれない。



モノレールの終点は、ポップカルチャーミュージアム。奇妙な形の建物にモノレールが吸い込まれていく。



高さ184mのスペースニードル。1962年にここで開催された万国博覧会の際に建てられものだ。モノレールの終点から西側が広大な公園になっていて、植物園とか科学ミュージアムなど様々な施設が集合している。おそらく万博会場跡地なんだろう。



さほど高くもなく、小雨という悪条件で眺望は望めないと思うのだけど、スペースニードルの頂部へのチケットを買い求める長い行列ができていた。



展望台に登るのは諦めて、1Fにあるギフトショップを見て回る。ギフトの大半は、金属製、木製、プラスチック製と様々な素材で制作された大小のスペースニードルのレプリカだ。



中には布製やらビニール製やら、かなりデフォルメされたものもある。



スペースニードルからダウンタウンのホテルまで、小雨のなかをテクテクと歩いて戻る。結局一日中雨模様だったのが残念だ。



本日の歩行軌跡。アチコチの寄り道で時間は随分とかかったけど、10kmしか歩いていない。


シアトル散策(1)

2019年11月8日(金)


米国出張でシアトルにやってきた。これまでフライトの乗り継ぎで空港には立ち寄ったことがあるものの、実質的には初めての訪問になる。午後の仕事を終えて、夕食までの空き時間を利用して少し市内を散策することにしよう。



エリオット湾に面した細長い市街地のうち、今日は南側を歩き回ることにする。センチュリーリンクフィールドが現れた。シーホークス(NFL)やサウンダース(サッカー)が本拠地としているスタジアムだ。



シーズンオフのせいか、自由にスタジアムに入り込むことができた。7万人ほど収容できるらしい。



センチュリーリンクフィールドの南隣がT-Mobileパーク、MLBのシアトルマリナーズのホームグラウンドだ。かつてのセーフコフィールドという名前の方が馴染みがあるけど、昨年T-Mobileがなんと25年間ものネーミングライトを取得したという。



エントランスの前には、ケン・グリフィー・ジュニアの銅像が立っている。マルチネス、Aロッド、そしてイチロー、と数々の大選手を輩出してきたマリナーズだけど、グリフィーは格別の扱いのようだ。



無論、イチローの姿もスタジアムのアチコチで見ることができる。



チームストアに並んだユニフォームのレプリカ。どうしたことか現役選手のものより、過去の名選手のものの方が沢山並んでいる。ここでは24番のケン・グリフィー・ジュニアと51番のイチローが売り上げを争っているように感じる。



スタジアムの脇には、日本語の注意書きが見られる。おそらくイチロー目当てで多くの日本人が押し掛けたからだろう。



スタジアムを見て回っていると、昨年西武ライオンズから移籍した菊池雄星のパネルも発見することができたけど、まだまだその他大勢の扱いだ。



スポーツゾーンを離れて、シアトルの長距離列車用の駅舎を見に行くことにする。このあたり、日本語の標識が見られる。S.Jackson St.という英語の通り名の下に、「南ジャクソン通り」と書かれている。中国語の標識も見られる。大変有難いような、そこまでしてくれなくてもいいような…。



シアトルからロサンゼルスなどへの長距離列車が出るキング・ストリート駅。アメリカのどの都市でもそうなんだけど、もはや駅は町の中心でもなく、長距離列車など乗ったこともないという人が大半。それでも初めて訪問する町では中央駅を見たいのだ。



駅の待合室。駅舎もそうだけど、待合室もまた、ヨーロッパの古い映画に登場するような美しさと風格を備えている。それにしても、列車の発着の狭間なんだろうか。誰もいない…。



駅には小ぶりなものだけど、空港にあるような預入荷物を返却するためのターンテーブルが見られる。



キング・ストリート駅と道をひとつ挟んだところにあるのがユニオン駅。こちらも歴史的な建物だ。実は玄関には”UNION STATION”とあるのだけれど、ここはもはや駅ではない。ここから発着していた路線は全てキング・ストリート駅に移管されている。



かつての駅舎は伽藍洞のようになっている。公園のようにベンチがいくつか置かれているだけ、という不思議な空間だ。



ユニオン駅の裏手が中華街になっている。それにしても、中華街ってどうして判でついたように同じような門が建っているのだろうか。



神戸テラスという日本風の公園がある。神戸とシアトルが姉妹都市になっていることに関連しているのだろう。いずれも海に面した細長い港町。実にお似合いの姉妹都市だと思う。



神戸と同様に、海に向かう道はどれも坂道だ。坂の上からは海が真正面に見下ろすことができる。



本日の歩行軌跡。約7km。明日はオフなので、市街地の北側を巡ることにしたい。



ところで、シアトル市内でUBERの画面を開いてみると、他の都市とは様子が異なる。空車がどこにいるかを示すと同時に、自転車の印がアチコチにある。なんじゃコリャ?



訝しく思って、実際に自転車のマークのあるところに行ってみると、UBERのレンタサイクルが路上に置かれている。どうやらUBERアプリから、自転車の予約もできるようになっているようだ。この種のITは圧倒的に西海岸が進んでいる。