千丈寺山(三田市)

 2021年4月23日


午後からの空き時間を利用して三田市の千丈寺山に登ってみる。スタートポイントの「てんぐの森多目的広場」に到着したのは14時半。体力も技術も無いポンコツハイカーにとって最大の頼みの綱となる時間の余裕が無いなかで、少々不安を抱えての登山開始だ。



登山者数調査のカウンターが設置されている。山の整備計画策定の基礎資料になるらしい。ひとつ押したカウンターの数字は105。いつから計測を始めたのだろうか。市街地からも近く1日平均20人は登っている山だと思うのだけれど、数字が小さいのが気になる。



登山道はよく整備されているようで、しっかりとした道案内が随所にある。多目的広場から山頂までは1800m。YAMAPによれば山頂までの標準タイムは1時間10分。ゆっくり歩いても時間の余裕はあるはずだ。慌てずに歩いていこう。



予想はしていたけれど、延々と丸太階段が続く。わざわざ整備していただいていることに感謝しなければならないのに、どうしてもウンザリしてしまうのだ。幸い、段差はさほど高いものではないので、快調に登っていける。



3ヶ所ほど渡渉するところもあるけれど、いずれも水は涸れていて、何の問題もなく歩いていける。



よく整備された緩やかな坂道が続き、快調に歩いて行けるのはいいけれど、ハエ類やハチ類など、虫の多さには閉口してしまう。動物の糞も目に付く。春になって色々な生き物が活動を開始するのは毎年のこととはいえ、今年はちょっと早すぎるようにも思う。



炭焼窯跡と書かれた看板があるが、窯らしきものは見当たらない。伐採された木(楢か樫のように見える)が散乱しているけれど、炭焼される予定のものだったのだろうか。



炭焼窯を過ぎると、急に勾配が厳しくなる。汗が噴き出し、太腿が悲鳴を上げ始める。山頂までは無休憩で行けると思っていたけれど、堪らず腰を下ろしてしまう。



急勾配の階段が終わると、多少荒れた道になる。案内図ではこの辺りに「森のレストラン」と名付けられた、リスが食べたオニグルミの殻がたくさん落ちている場所があるとのことだったけれど、よく判らなかった。長らく山でリスにお目に掛かっていないだけに残念だ。



千丈寺山と北千丈寺山との間の鞍部に、小さな祠がある。よく判らないのは、祠に連続して石で囲われた焚き火場のようなものがあること。何かの儀式のためのものだろうか。



千丈寺山は後にして、まずは北千丈寺山に向かう。道ははっきりしないけれど、林のなかに残るトレースを頼りに尾根を北へ進んでいく。



北千丈寺山(577m)に到着。相変わらず林のなかで、頂上という感じがしない。眺望もほとんど無い。写真を1枚撮るだけで即Uターン。千丈寺山へと向かう。



北千丈寺山から千丈寺山へと続く気持ちのいい稜線を歩いていく。南へと進むに従い、少しずつ眺望が開けてきた。



が、稜線上に大きな岩が目立つようになってきた。この山もまた、近くの虚空蔵山や大岩山などと同じように岩っぽい山だと気づく。



千丈寺山の山頂手前に急坂が待ち受けている。とはいえ、設置されているロープが無くとも登っていける。



思っていたより簡単に登ってこれたなぁ…なんて気持ちを𠮟りつけるように大きな岩が現れた。一見これ以上先へは進め無さそうにさえ見える。千丈寺山登山の唯一の難所の岩を攀じ登り、先に進んでいく。



大岩を越えると間もなく千丈寺山(589m)の山頂の岩場に到着。北千丈寺山と違って眺望は頗る良好だ。



時刻は15時50分。もともとは南の北浦に下山する予定だったけれど、夕刻間近なので、無難に同じ道で乙原に下りることにする。一度通った道とはいえ、急坂を下るのは登るより遥かに難しいことが多い。緊張感を切らすことなく安全に下りていこう。



本日の歩行軌跡。歩行距離は3.3km、累積標高413m、所要時間2時間7分。明日に疲れを引きづることの無い、程よい運動ができた。



苦楽園尾根からゴロゴロ岳・観音山・甲山・北山森林公園【六甲山系】

 2021年4月18日


苦楽園尾根からゴロゴロ岳を経て観音山に向かう。さらに甲山、北山森林公園と西宮市の住宅地に近い低山を歩き回る予定だ。水分不足で途中下山してしまった先日は六麓荘から入山したけれど、水分もたっぷり携帯して今日は苦楽園から登山開始だ。



六麓荘同様、登山口には何の案内標識もない。あまりハイカーに来てもらいたくないのだろうか…。住宅の脇の細道から苦楽園尾根道へと入るが、美しい街並みが続く高級住宅街の道とは対照的に随分と荒れた道が続いている。



流水で抉れたものだろうか。すれ違うことさえ困難な細い塹壕のような坂道が続く。苦楽園尾根とはいうけど、急坂の連続で苦しいばかりで、眺望さえ楽しめない。息を切らして泥臭く登っていくしかない。



苦楽園尾根の後半は、岩だらけ。苦楽園ロックガーデンとでも呼びたい道だ。それにしても、先日登った際に通った崖っぷちの道や藪を突き進む道が出てこない。YAMAPの軌跡はほぼ同じなのに、先日はちょっと外れた道を歩いていたのだろうか。



苦楽園の登山口から小一時間ほど登り続け、ようやくゴロゴロ岳(565m)の山頂までやってきた。予想以上にきつかったけど、ここまでは準備運動のようなものだ。先はまだ長い。



ゴロゴロ岳から鷲林寺・ガベノ城の分岐点までやってきたところで小雨が降り出した。つい先ほどまでは暑いくらいだったのが、風が強くなり、空も暗くなってきた。



天気予報が珍しく外れたようで、徐々に無視できない雨脚になってきた。それに寒くなってきた。雨に降られても何とかなるだろうと、もう2年ほども使うことなくリュックの肥しのようになっていた未使用の雨具をついに着込む日がやってきた。



意外とカッパ(特にパンツ)を着たり、リュックカバーを付けるのに手間取る。ようやく準備完了と思ったら、雨は上がり晴れてきた。カッパは無駄になったかもしれないけれど、いい訓練になったと思いながら観音山に向けての岩肌を上り下りしていく。



観音山(526m)の頂上にやってきたときはすっかり雨脚は遠ざかった(ように見えた)けれど、寒いのでパンツだけ脱いでジャケットはそのまま。観音山からの眺望を楽しんだ後、鷲林寺へと下山していく。



観音山からはかなり急峻な坂を用心深く下りて行かねばならないというのに、また雨脚が強くなってきた。レインジャケットを脱がなかったのは大正解だった。



これから向かう甲山が見える。しかしその前に安全に目の前の岩を下っていかねばならない。



低山とはいえ油断ならない観音山から無事下山し、鷲林寺にやってきた。ここからは暫く平坦な道を進むことになる。



何とも謎めいているのだけれど、鷲林寺には武田信玄の墓がある。お寺の解説では、武田信玄が出家する際の髪を埋めた、とも書かれているけれど、いずれにしても、敵勢力のど真ん中にまで遺骨なり遺髪なりを運び込むなんてできたのだろうか…。



鷲林寺からは大きな修道院の敷地の間を抜けるように歩いていく。馴染みが無いせいか、空気が張り詰めたように感じるエリアをちょっと緊張して進んでいく。



北山貯水池の北側を進み、甲山の麓近くまでやってきた。岩盤が固いため浸食から取り残された残丘と呼ばれるものらしい。



甲山に西側から取りつくが、頂上まで直登する丸太階段が続く。頂上まで一気に歩き通そうと思って登り始めたけれど、延々と続く丸太階段に足腰が悲鳴をあげる。しかも先刻からの雨による水溜まりのせいで随分と歩きにくい。



甲山(309m)の頂上は、芝生広場のようになっている。日曜日の午後なんだから、もっと子供たちが遊んでいても良さそうなものだけれど、雨のせいか人の姿はほとんど見られない。



甲山からは南側へと下山していく。西側からが直登だったのに対し、こちらは九十九折になっていて比較的緩やかな道だ。雨はなかなか止むことはなく、麓の街も霞んでいる。



不思議な天気で、10分ほどの甲山下山のうちに雨はあがり、晴天が戻ってきた。甲山を背にした神呪寺では、つい先ほどまで雨が降っていたという気配さえ残っていない。



神呪寺の賽銭箱は珍しい巾着型。太い木をくりぬき、彫って仕上げたもののように見える。かなりの力作だ。お賽銭を入れると、賽銭箱の中で硬貨が奏でる心地よい響きが伝わってくる。



以前から気になっていた神呪寺の南にあるミニ四国八十八か所を少し歩いてい見る。大きな岩の中や上に石仏(おそらく88体)が据えられている。相当広い山域を使った本格的なものだ。全て周回するには30分以上はかかりそうだ。



甲陽園を抜け、銀水橋から北山森林公園へと入る。公園とはいうけれど、かなり歯ごたえのあるハイキングコースが設置されている。



最後のひと踏ん張りのつもりで歩き始めたけれど、記憶していた以上に坂はきつい。階段の段差が恨めしくなってきた。



ハイキングコースを歩いて、植物園へと出てきた。いつもちょっと訪問するだけに終わっている北山森林公園だけれど、一度公園内をくまなく歩いてみたいと思う。植物園と合わせて3時間くらいのハイキングは十分楽しめそうだ。



本日の歩行軌跡と標高グラフ。距離は10㎞、累積標高は730m。晴れ、雨、風、と目まぐるしく変わる天気には翻弄されたけれど、5時間半たっぷり楽しめた。



板宿駅~須磨アルプス~須磨駅【六甲山系】

 2021年4月15日


先日、久しぶりに六甲全山縦走路のハイライト、馬の背を歩いたところ、東から西へと歩く人が多いことに驚いた。縦走路を逆走するようで邪道だと思ってきたけれど、手っ取り早く須磨アルプスを楽しめそうな板宿からの道で西向きの須磨アルプスを試してみよう。




山陽電車の板宿駅をスタートし、賑やかな商店街を通り抜ければ間もなく住宅街を貫く坂道が現れる。なかなかの急坂だ。



急な石階段の先にあるのが板宿八幡神社。先日、1円玉のお賽銭は全部銀行に取られてしまう(最近枚数で手数料が決まるようになったらしい)というツイートの炎上で突如有名になった。1円玉の賽銭など要らないと横柄に言っている訳ではないんだけどねぇ。



神社の横手から、いよいよ登山道に入っていく。一部しんどい登り坂もあるけれど、総じて森の中を進む静かで歩きやすい道が続く。



登山道の絶景ポイントにはテーブル付きのベンチなども置かれている。おそらく地元の肩だろう、普段着で登っておられる人も見られる。喧騒に包まれた板宿商店街から40分ほども歩けば、心身リフレッシュには絶好のポイントまでやってこれる。



板宿駅をスタートして1時間で東山の山頂に到着する。ここで六甲全山縦走路と合流する。須磨から歩いて来れば、馬の背の余韻に浸りながらそのまま通り過ぎてしまいがちなところだ。



東山からゴツゴツした岩の道を下り、いよいよ馬の背にやってきた。岩を攀じ登ることから始まる東向きコースと違って、両側が切り立った崖となった花崗岩の痩せ尾根を歩いていくところから始まる。



遅い時間のせいか、馬の背を歩く人の数は意外にも少ない。痩せ尾根の上や岩登りのところで逆行する人とすれ違うのが厄介そうだと思ったけれど、幸い誰ともすれ違うことなく、ほぼ独占状態で馬の背を満喫できた。



西側から馬の背に向かうと、まずこの岩稜を攀じ登っていかなければならない。どちら向きに歩いても、それぞれに超楽しいところだ。兵庫県が誇る孤高の山岳家、加藤文太郎が神戸槍と呼んでいたというのだから、初心者から熟練者までが楽しめそうなところだ。



馬の背を過ぎ、横尾山に向かって登っていく。東向きに下っていく際でも厄介に感じる段差の大きな階段を登っていくが、太腿へのダメージが蓄積していく。



こんなトコあったかなぁ…。神経を使う下りの鎖場だけに記憶に残っていそうなものだけど…なんて思いながら、岩を攀じ登っていく。



急坂の連続で結構疲れた状態で横尾山に到着。まだ本日2座めでしかないことに愕然としてしまう。



横尾山を一旦下り、続いては栂尾山に向かう。またまた丸太階段の連続だ。まったく楽に登らせてもらえる山というのは無いものだ。



横尾山からは名物400階段で高倉台へと下りて行く。ここばかりは西向きに歩いていて良かったと思わせてくれるところだ。山中の丸太階段や石階段のように段差は大きくないので、途中で何度も息を整えなければ登れない階段をスイスイ下っていける。



高倉台を通過。以前は高倉山の一部だったところだというが、大胆に山を切り崩して住宅街が出来上がったところだ。高倉台のなかにあるスーパーは、六甲縦走の際の補給ポイントとして大いに重宝されている。



住宅街を通り抜け、高倉山まで急な階段が続く。しばらく登り続けたけれど、だんだん鬱陶しくなって、途中から直登を避け、遠回りして頂上広場に向かってしまった。



名物のカレーを味わう機会もないままに、高倉山の頂上広場にあった「おらが茶屋」は昨年末に閉店してしまった。縦走路上の案内板は取り外されるのではなく、黄色いカバーシールが貼られた状態だ。ということは、いずれ再開する可能性もあるということだろうか。



高倉山以降はもはや急な登り坂は無いはずだ。鉄拐山、旗振山、鉢伏山を経て須磨浦公園まで下りていくだけだ。この辺りにはウメバカシが群生している。とても行儀が悪く立っている木のようだけれど、高級炭として知られる備長炭の材料として重宝されるものだ。



鉄拐山の近くに気になる石標がある。「右:高倉山、左:下畑村」はいいんだけれど、「正面:鉄拐山」とある。正面って石標の向こう側だと考える人が多いと思う。登っていっても何もないのだけれどトレースは多く見られる。実際の鉄拐山は石標の手前側なのだ。



鉄拐山の山頂に向けて、おそらく本日最後になるであろう長い登り坂を進んでいく。



鉄拐山頂からの須磨方面の展望が素晴らしく、予定を変えて鉄拐山から須磨駅方面へと下りて行くことにする。旗振山経由で須磨浦公園駅に下りても、須磨駅方面に下りても、いずれも2㎞くらいの道になる。



初めて歩く道だと思っていたけれど、何だか見覚えのあるような気がしてきた。下山後調べてみると4年前の暑い日にこの道を塩屋まで歩いて登っていた。



早くもスズメバチが樹液を吸いに来ているとの真新しい注意看板が掛けられている。スズメバチは未だ先のことと思っていたけれど、今年は早そうだ。これから厄介な生き物との遭遇が増える季節になる。



スタートして3時間40分で山陽電車須磨駅まで下りてきた。カレー屋とかコンビニと並んで駅舎がある。そこそこ乗降客はあるはずだけど、隣接する店舗の倍ほどしか間口が無く、つい通り過ぎてしまいそうな可愛い駅舎だ。



本日の歩行軌跡。距離7.6km、累積標高は560m。