中山(宝塚市)

 2026年4月26日


2年振りに宝塚の中山に向かうことにする。阪急清荒神駅をスタートしたものの、ふと思い立って清荒神への参道を逸れて住宅街の急斜面を登っていく。この坂の先に「うさぎ山」という未踏峰があることを思い出したのだ。



登ったところで何もないことは判ってはいる。序盤から無駄にエネルギーを消費するだけと思いながらも登っていくと、標高122mの小山は頂上まで住宅がビッシリと立ち並んでいる。頂上付近に小さな公園があり、アチコチと探し回ってようやく小さな山頂標を見つけた。



ここまでやってきて、清荒神にお参りすることなく中山に向かうのは何ともバツが悪い。ちょっと遠回りになるけれど、山門まで延々と続く露店街を覗き見しながら進んでいく。、まるでタイムスリップしたかのような、昔ながらの売り物ばかりが並んでいる。



清荒神清澄寺。典型的な神仏習合で、境内には、鳥居もあれば、神社もある。竈の神様として知られるところで、見どころも多いんだけれど、清荒神駅を出発して既に1時間も経っているというのに、まだ山に取り付いてもいないだけに、のんびりしていられない。



参道を一旦戻って、清荒神の駐車場のあたりからようやく山に取りつく。既に13時。夕刻には雨模様になるとの予報を思い出して、ちょっと焦り始める。



石灰質?の山肌が続くせいか、高い木がほとんど無いエリアが多い。日射しが結構強く、水をガブガブ飲む。ペットボトル3本持ってきたので、水分は十分とは思うけれど、3本くらいでは全然足らない季節がもうそこまでやってきているようだ。



石灰質と思って歩いていたら、火山岩風の岩へと変わってきた。滑りやすい岩ではない。閃緑岩かなぁ? 最近今更ながら地質や岩石の勉強を少し始めたのだけれど、とても難しい。岩の見分けはまだまだできそうにない。



池なのか、水溜まりなのか、道がどちらに続いているのか分かりにくく悩まされたけれど、どうやらここを越えていかねばならないようだ。



水の中をふと見ると、黒い生き物がウジャウジャと群れている。おたまじゃくしだ。このように群れているのは、餌に集まっているのではなく、蛇や捕食者による全滅を防ぐための防衛本能なんだそうだ。おたまじゃくしの生存率はせいぜい1%らしい。



中山に向かう尾根の西側には自衛隊の演習場が広がっていて、厳しく立入が禁止されている。以前この道を歩いていた際、多数の自衛隊大型車両が続々とやってきて驚かされたことを思い出す。



自衛隊の演習場を過ぎると、鬱蒼とした森へと入っていくことになる。日射しが遮られるのは有難いけれど、この季節は、木からぶら下がった虫が多く、厄介なのだ。さらにかなり大きなアオダイショウまで現れる。



吾孫子の峰(445m)。「伝説の山」と意味深なタイトルが山頂標にあるけれど、何の説明も無い…。この山は龍神の聖地と考えられて、妄りに入山すると神罰が下るとの伝承があるそうだ。そんな説明を書いたら気を悪くするハイカーもいるから避けているのだろうか。



吾孫子の峰を下ったところにある、大きな石積み。ケルンと呼ぶ人が多いけど、もとは宗教的な何かではないのだろうか。聖徳太子が中山寺からこの山を見上げて、「あそこには神様がいる」と言ったとか、いつも、触らぬ神に祟りなしと考えて、通り過ぎている。



中山山頂に近づくと、不思議なほどに真っ平な道になり、長い長いフェンスが片側に張られている。もうかなり老朽化して、穴だらけなんだけど、このフェンスは誰が何のために張ったのだろうか。安全対策でもなさそうだし、撤去してもらう方が美観的にはいいんだけど。



中山山頂。中山はこの辺りの山の総称でもあるので、中山最高峰と呼ぶ人も多い。標高は477.9mとあるけれど、以前は478.2mだったはず。30㎝縮んだのかぁ? ご丁寧に山頂碑の古い標高を塗りつぶして新しい標高を上書きしている。



結構晴れているように思っていたんだけれど、猪名川方面のニュータウンが一望できるけれど、イマイチすっきりしない眺望だ。黄砂はこの数日は無いよ聴いていたけれど。



日曜日にも関わらず人がほとんどいない中山山頂でしばらくのんびり。気が付けば、もう15時、さっさと下山しよう。もうほとんど開花期が過ぎたミツバツツジの群生地を天宮塚に向けて進んでいく。



天宮塚(440m)。聖徳太子がここで修行をしたという。ケルンにも似た石積みの上に白龍大明神が祀られた石碑が立っている。



ここからの眺望が素晴らしいのだ。大阪空港、猪名川、その向こうには大阪の高層ビル群、さらにその向こうには金剛の山並み…。もう少しクッキリしていればなぁ、と思いながら、ここでもしばらくマッタリ休憩する。



天宮塚から下山していくと、スマホに気象警報が入ってきた。10分後に雨が強まる。とのこと。予想していたより天気の崩れが早まっている。雨具は用意してはいるけれど、降られるとかなり厄介だ。かと言って適当な雨宿りポイントがあるとも思えない。



雨の中、この渓流の谷道を下っていくのは、かなり危なっかしそうだ。地図と睨めっこしていると、東の住宅街へと抜けることができそうな道があることを発見。明確な登山道は無いけれど、YAMAPに住宅街に抜け出たハイカーの記録がいくつかある。



山を切り開いて造成された住宅街(中山桜台)に向けて、当然急坂を下っていくものだと思っていたけれど、実際は逆に急坂を攀じ登っていく。一体どんな地形になっているのか、混乱しつつ登っていくと、ついに住宅街が見えてきた。



どうやら広大な住宅街(中山桜台、中山五月台、中山台)の北端に出ることができたようだ。いつ雨が降り出しても不思議ではないなか、一安心ではあるけれど、急斜面に造成された住宅街に驚かされる。坂というより、階段だらけなのだ。足腰がガクガクになる。



結局小雨に降られた程度で、住宅街を1時間近く歩いてJR中山寺駅へ。駅前には一般の聖徳太子のイメージには無い騎乗の像がある。信貴山の朝護孫子寺にも騎乗像があったはず。中山寺も朝護孫子寺も、物部氏との戦い(丁未の変)の直後に建立されたという共通点を持つ。



距離11.5㎞、登り獲得標高620m、所要時間5時間20分。清荒神で1時間半ほどブラブラしていたのが祟って登山開始は13時。幸い天気はもってくれたもののこれはマズイ。やはり低山と侮ることなく、9時頃までには山に取りつくようにしたいものだ。



高御位山(高砂市)

 2026年4月16日


「春に三日の晴れなし」とはよく言ったもので、山に行こうとする日に限って雨天となることが続いていたけれど、本日は見事な晴天。13時と遅い時間ではあるけれど、久しぶりに高御位山に登ることにする。鹿嶋神社のチタン製の大鳥居から出発する。



「ただ一つの願い」を祈れば、必ず叶えられるとされるという「一願成就」で知られる鹿嶋神社。膝と股関節が悪化することなく、無事に山を楽しめるようにとの思いで参拝する。



本殿脇の鳥居が高御位山の登山口に。標高300mほどの低山とはいえ、播磨アルプスと呼ばれるほど岩場やアップダウンが多く、ポンコツハイカーには油断できない山だ。と判っているつもりだけど、実のところ午後13時の入山でも高御位山なら全然大丈夫だと思っている。



何度か登ったことがあるのに、どうも様子がおかしい。この山序盤の名所である百間岩やその手前にあるはずの展望台が現れない。地図を見ると百間岩を迂回するような道を進んでいるようだ。巨大な一枚岩の岩場が苦手な人のための道かなぁ、と思いながら進んでいく。



無難な道で百間岩をバイパスできるものと思っていたら、目の前に現れたのは、百間岩よりも何倍もヤバそうな岩場。ポンコツにはちょっと手強すぎる斜度だ。しかも花こう岩ではなく、流紋岩質溶結凝灰岩。かなり滑りやすそうだ。



百間岩は二足歩行で歩けるけれど、ここは全然ムリ。コース取りを間違ったのかなぁ…、四足歩行でさえ危なっかしい。ここまで昨日の雨でぬかるんだ道を歩いてきたせいか、シューズのグリップも効きが悪い。息を整え、気持ちを落ち着かせるために、小休止を繰り返す。



四苦八苦して百間岩に無事合流。鹿島神社の神様のご加護かもしれない。早くも足腰がフラフラし、二足歩行で余裕のはずの百間岩でもたびたび四足歩行モードとなる。加齢のせいだろうか、平衡感覚だけでなく、バランスを崩した際の立て直し力も衰えたような気がする。



こんなはずじゃぁなかった…。午後から軽~い山歩きのつもりが、序盤早々で大ダメージを喰らってしまう。鉄塔が立つ小ピークで長々と腰を下ろし、気力の回復を図る。遠く姫路のタンク群、その向こうには家島諸島まで見通すことができる。



気のせいか、頭がフラフラしているような気がする。膝は悪くはないけれど、股関節は少し痛い。ゆっくりゆっくり歩いていこう。日暮れまでに下山できれば十分だ。草花の生育環境が良いとは思えない岩山だけれど、ミツバツツジがキレイに咲き誇っている。



別所奥山(210m)から、この後歩いていく山並みを望む。標高200~300mとは思えない美しい山並みが続く。ここからの稜線歩きがこの山の最も楽しいところなのだけど、岩場も少なくない。安全第一で歩いていこう。



山々の尾根にこれから歩いていく登山道が白く続いている。あのあたりは岩場だな、結構な急坂だな、などと、以前の山行を思い出し、この先の山行を先取りするような想像を巡らすことができるところが楽しい。



結構尖がってるなぁ…。鷹ノ巣山(264m)だ。確かにいかにも鷹が巣を作っていそうな山に見えてくる。流紋岩質溶結凝灰岩は、大規模な火砕流や火山灰が堆積して溶結したものらしい。そんなことを思い出すと、さらに怖ろしいものを感じる。



相変わらず巨岩が多い。お助けロープもあるので、危なっかしいとは思わないけれど、大きく足を拡げることを余儀なくされるので、痛む股関節には厳しい段差だ。



それにしても天気が良い。いや良すぎる。高木がほとんど無い岩山の尾根道だけに、直射日光を常に浴び続ける。つい最近まで肌寒かったのに、いつの間にか半袖になりたいような気温になっている。



登りもしんどいけれど、より厄介なのは下り。風化してボロボロになった岩肌が続く。露出度が高い尾根道だけに雨水や気温変動の影響を強く受けるようだ。流紋岩質溶結凝灰岩は硬いものの、ひとたび風化が始まると一気に風化が進むものらしい。



下ったと思えば、再び登り。アップダウンを繰り返しながらいくつものピークを制覇していくのが、この山の魅力なんだけど、さすがに疲れてきた。しっかりと休憩を挟んで、一枚岩の岩稜を長尾奥山(262m)に向かって登っていく。



馬蹄形の連山を西から東に歩き、いよいよ高御位山(304m)へ。古来神が降臨した山が伝わるこの山の山頂には「天乃御柱天壇」が設置されている。



山頂の岩頭。かなりおっかない。崖の間際の岩場に座り込んでくつろいでいるハイカーの姿も見られるけれど、とても真似できない。神様のための磐座なんだから失礼というのは建前の理由で、実のところは怖くって端っこから数m以上離れたところから写真を撮るだけだ。



まさに断崖絶壁。関西初のグライダー飛行はこの地で行われたという。グライダーをここまで担ぎ上げてきたことも去ることながら、この崖からグライダーで滑空したことに驚かされる。



高御位神社。650万年前??に金星から隕石がこの地に飛んできて、縄文時代から信仰の聖地だった、など、かなり大胆と思える説明があるけれど、この地に立てば、このような説が生まれることにもチョット納得させられる。



関西初のグライダー飛行という偉業記念する碑が山頂付近に立っている。グライダーを自作・操縦したのは、地元の21歳の青年。飛行距離は300m、飛行時間は30秒だったという。悲しいことに後にプロ操縦士となったこの青年は、航空機事故で若くして亡くなっている。



山頂で長々と絶景を堪能しているうちに気付けば夕刻間近。小高御位山は諦めて、長尾登山口に向かって下山する。振り返ると山頂の迫力ある断崖絶壁が聳えている。よくまあ、あんなトコからグライダー飛行したものだ。300mって、どこまで飛べだんだろうか。



高御位山からの直降ルートなので、斜度はかなりキツイ。間違っても転ばないよう、ポールの助けも借りながらゆっくり下っていく。



この道も岩岩している。しかもどっちに歩いていけばいいのか、とても分かりにくいのだ。通りかかった地元の方に聞くと、分岐が多くて同じ道を歩くのは難しいけど、どう進んでも下山できる、との話だった。



馬蹄形の山々を巡り無事下山。もとより岩場は苦手だけれど、ますます危なっかしくなってきた。そろそろ岩場歩きは卒業(中退?)かも。歩行距離6.5㎞、獲得標高480m、所要時間は事前に想定していた3時間半を大幅オーバーして4時間50分。