清水ヶ峰・ジルミの頭(河内長野市)

 2026年6月19日


所用のついでに河内長野の6つの低山を縦走することにしたい。最高気温は30度を超えるとの予想だけれど、まあ大した山でもなかろう。(まあ、このように舐めてかかって何度酷い目に遭ってきたことか…)



南海高野線の千早口駅を出発。和歌山県との県境まで3㎞くらいのところ。既に標高は180mほど。人家も疎らな山間の駅だ。向かう山はどうやら写真の右奥に連なっているようだ。



登山口からいきなり急登。結構大変そうな山だぞ。あまり下調べもなくやってきたけれど、よく見ると結構勾配がキツイ道が続くようだ。



要所にはピンクテープが貼られているんだけれど、ここ登っていくの?と言いたくなるような急登が続く。息もあがり、一気に汗が噴き出す。



眺望もなく、風も通らない。手元の気温計は既に30度。が、気温より湿気が辛い。あまり楽しくない道だけれど、有難いことに覚悟していたほどに蜘蛛の巣が少ない。先行するハイカーが払い除けてくれた後なのだろうか。もっとも人の気配はまるで感じられない。



登山道の真ん中に大型動物の糞があり、蠅が集っている。まさかクマではないよね~。たぶんイノシシだよね~、と楽観的に考えるようにして進む。イノシシって雑食のせいか、糞の形状が多様なようで自信が持てない。



少し標高があがると杉林となるけれど、この辺りで膝が痛くなってきた。まだ歩き始めて1時間ほどだというのに、確かに痛めた膝には厳しい急登が続いたけれど、まだ1ピークも取れていないというのに…。



座り込むところを探しながら歩くけれど、なかなか適当なところがない。ようやく道に横たわった倒木を見つけ、昼食を摂り、痛み止めを飲む。



痛み止めが効いてくるまで待っている訳にもいかず、先へとゆっくりと進んでいくけれど、道は相変わらず厳しい。



急に頭上に空が広がり、反射板が現れた。清水ヶ峰の山頂にようやく到着したようだ。高圧電線などと異なり地図に表記が無いのだけれど、どこから、そして、どこに向かって電波を伝送しているのか、とても気になる。



金剛山(たぶん)の山並みが見える。曇っていて日射しが無いというのに、暑さにかなり参っている。この先3ヶ月は昼間は30度超になるだろう。しばらく山はムリかなぁ…。



清水ヶ峰(370m)の山頂碑。今日はこの一座で帰りたいような体調だけれど、さらに進まなければ下山もできない。



またやってしまった~。ただでも膝が痛いというのに、全く違う方向(青線)に歩いている。往復10分ほどのロスとはいえ、これは痛い。



清水ヶ峰の山頂に再び戻り、あらためて正しい道(オレンジ色)へ。どうしたことか、正しい道の方が狭く、倒木も多くよほど歩きにくい。



以前から気になっていた、この蛾。近寄っても懼れることなく、まるで逃げないのだ。画像認識で調べてみると、ホタルガ(蛍蛾)というらしい。体内に毒があり、捕食されることがないため、のんびりと葉っぱの上で羽を休めているようだ。



ジルミの頭(333m)。およそ山の名前らしくないのだけれど、ジルミとは、泥濘んでジメジメしているというような意味らしい。幸い今日はそれほど泥濘んではいなかったけど、湿気が酷く高いことは間違いない。




ジルミの頭から急坂を下っていく。登りよりも、むしろこのような下りの方が膝には悪い。痛む方の足を庇いながら、ゆっくりと進む。



ジルミ峠。この先さらに4つのピークを獲るつもりだった。次のピークまではコースタイムで僅か15分でしかないけれど、今日はやめておこう。ここで下山しなければ、エスケープできるところが最後まで無い。



YAMAP実線の下山道とはいえ、道は草木に覆われて不明瞭。マムシがいても、ヒルがいても、何の不思議もなさそうな道だ。



谷道にありがちな、倒木だらけの道が続く。左右の斜面からこの谷に何本もの木が倒れ込んでくるようだ。



下山口に咲いていた蛍袋(ホタルフクロ)。うなだれた姿が特徴的だけれど、今は自分自身もこのようにうなだれた姿をしているんだろうな、と思う。白い色のものしか見たことが無いけれど、関東では紫色のものが多いと聞く。



下山すると、痛み止めが効いたのか、膝の痛みは急に無くなった。もっとも全身を得体のしれない疲れが包んでいる。南海高野線の単線だった頃の軌道が今は遊歩道になっている。自然豊かな遊歩道ということで、トトロ街道とも呼ばれているらしい。



もっとも千早口駅前にある観光案内図にはトトロ街道の表記は見られない。残る4ピークも含め、いつか歩き通してみたい。



距離3.8㎞、登り獲得標高280m。所要時間は2時間半。何とも中途半端な山行に終わったけれど、正直かなり辛かった。膝の具合が心配だ。



沼島(南あわじ市)

 2026年6月15日

淡路島の南3㎞ほどの沖合にある沼島に出掛ける。古事記や日本書紀によれば、イザナギとイザナミが混沌とした地上を掻き混ぜた際に矛から滴り落ちたものがオノジロ島となり国産みが始まる。その島がどこか、いくつも説があるけれど、沼島が長年最有力なのだ。



淡路島の南端、土生港を9時に出る定期船で沼島に向かう。平日ではあるけれど、観光や釣りを目当てにした乗客が続々と乗り込む。想像していたよりも立派な船で、定員80人ほど。沼島に向かって快速に波を切って進んでいく。



10分弱で沼島に到着。面積は2.7平方㎞。神戸空港とほぼ同サイズだ。人口は300人ちょっと。ほとんどが港の周りに住居を構えているようだ。



さあ、この島を一周する訳だけれど、海岸に沿って道がある訳ではなく、ほとんどは山の中を歩くことになる。人が住んでいるのは港周辺だけで、残りはすべて山地と言っていいだろう。港から反時計回りに歩き始め、まずは「おのころ神社」を目指す。漢字では自凝神社だ。



山道を歩いていくと、長い階段が現れる。この階段の上に神社の拝殿・本殿がある。どうやらこの辺りの山全体が神体山となっているようだ。



イザナギとイザナミが寄り添う像がある。ここに降り立った二神は結婚し、淡路、次に四国…と、国造りを始めたという。科学的には荒唐無稽でも、古来多くの人が何か特別なものを感じてきたからこそ、この辺鄙な島が国産み神話の舞台として語り継がれてきたに違いない。



おのころ神社の正面参道は良い道だったけれど、裏手から東へと続く道はかなり荒れている。ただでさえシダ類が蔓延っているうえに、倒木がひどく多い。



どうやら島を一周する道はミニ八十八ヶ所巡りとなっているようで、ところどころに石仏が立てられている。ミニといっても島全体を回る訳だから、半日くらいは掛かることになる。



クチナシ。星型に広がった白い六弁花が可憐だ。渡哲也のヒット曲「くちなしの花」をつい口ずさんでしまう。50年ほども前の、しかも全然好きでもなかった曲で、これまで口ずさむようなことも無かった曲なのに、歌詞をほぼ覚えていたことに驚いてしまう。



おのころ山。標高は117m。山頂は草ぼうぼう。眺望もなく、山頂碑も見つけられないけれど、東屋が建てられている。



しばらく歩くと、これから向かう島の北側の山地を見渡すことができる。標高100mほどしかないんだけれど、まるで平地が見られない。近いはずの海も見えず、相当山深いところにやってきたような感覚になる。



これはオカトラノオ(丘虎の尾)。白色の小さな花をつけた茎が虎の尾のように垂れ下がることから名付けられたようだ。



サクラソウ。ピンクの小さな花が可愛い。ガーデニングでは定番なんだけれど、野生ものを見かけることはあまりないように思う。



2つの画像認識AIは、「オオシロカラカサタケ(大白唐傘茸)」、「ヒメホコリタケ(姫埃茸)」と違う答を示す。前者は猛毒だ。これだからキノコは難しい。とか何とかいいつつ、先日姫路の南山で見つけた「アカヤマドリ」は惜しいことをしたと、まだ心残りがある。



東海岸に出て、いよいよ上立神岩が見えてきた。この岩こそが、イザナギ・イザナミが造った最初の中の最初の陸地だとも言われるし、混沌とした大地を搔きまわした天沼の矛だとか、竜宮城の表門だとも言われる。とにかく只者ではない奇岩であることは確かだ。


近くから上立神岩を見るため、海岸まで下りてみる。高さは30mほど。細く尖った岩が、空に向かってまっすぐに立っている。関東から九州にかけて東西に長く連なる活断層、中央構造線が沼島の下を走っているという。こうした奇岩が多いことと無縁ではなかろう。



上立神岩をよく見ると、表面にハート型の窪みが見られる。イザナギ・イザナミ伝説で、既に最強のパワースポットであり、恋愛の聖地なんだけれど、ハート型の窪みのせいで恋愛成就を求めて訪問する人が増えたという。



テリハノイバラ(照葉野茨)。普通のノイバラかもしれないけど、棘のある葉に光沢があるので、テリハノイバラっぽい。画像認識AIも花に関しては、かなり信頼できるようになってきたように思う。



島の東側を北に、石仏山へと向かうが、道には電柱が並んでいる。人家なんて全くないところなのに、どうして電柱があるのか、訝しく思いながら進んでいく。電柱の設置理由はこの後判明することになる。



島を一周する間に、10ケ所ほどもイノシシの罠が仕掛けられている。イノシシが罠にかかった場合に備えて無線通報装置や撮影装置も併設されている。実は15年ほど前に淡路島からイノシシが泳ぎ着き、今では島民の数を上回るイノシシがこの島に跋扈しているそうだ。



石仏山山頂には沼島灯台が立っている。電柱設置の理由はこの灯台への電力供給なのだ。灯台はあるんだけれど、周囲は木に覆われていて、灯台の上に登らないと海は見えない。石仏山の標高はおのころ山と同じく117m。正確には10㎝上回っていて、沼島最高峰となるようだ。



長らく眺望のない山中を歩き続けたけれど、島の北側まで来て、ようやく所々で海が見えるようになった。正面は淡路島。そしてその右にあるのが紀淡海峡と友ヶ島だ。



町に戻ってきた。ごく狭い平地に瓦葺の和風民家がギッシリと並んでいる。どこか懐かしい昭和を彷彿とさせる街並みだ。道も複雑で、目を付けていた食堂に辿り着くまでに随分と道迷いを繰り返した。



上立神岩を見ることと並んで、沼島訪問の大目的であった鱧を昼食でいただく。この季節の沼島は鱧漁で知られる。おそらく獲れたての油の乗ったフワフワの鱧を天ぷらにしていただき、藻塩で頂戴する。文句なしに旨い。これまで食べたなかで最高の鱧だと断言できる。



予定どおり13時20分沼島発の定期船で淡路島へと戻る。ここまで予定どおりのスケジュールで完了することも珍しい。再び島を一周することはないと思うけれど、鱧はまた食べたいものだ。秋の鱧もより濃厚な味がして美味しいらしい。今度来るときはハモすきも食べたい。



距離は8.7㎞、登り獲得標高は480m。所要時間は約3時間半。船の出発時刻や食堂の開業時間に合わせるために珍しく綿密に計画を立ててきたけれど、すべてが予定どおりに進んだ。ここまでスケジュール通りに終わるととても気持ちいいものだ。