雌岡山・雄岡山(神戸市西区)

 2024年3月27日


ちょっとした所用のついでに、神戸市の西北端、三木市との市境に近い雄岡山と雌岡山に登ってみることにする。スタートポイントは神出という集落。100万都市とは思えないのどかな田園風景が広がる。写真の右奥に見えるのが雌岡山。軽い散策気分でスタートだ。



雌岡山の前にその西にある御茶山なる未踏破の小山を片付けてしまおう。とはいえ、登山マップにも道は不記載で、住宅街の横の道っぽいところから山へと入っていく。



うまい具合に案内標識のあるメインの道に出会うことができた。ちょっと心配していたけれど、小さなお社もあり、地元の方々は頻繁に登ってこられるところのようだ。



ミニ88ケ所巡りなるものがある。山頂を中心に、西国八十八ヶ所を模した88の石仏と祠が配置されている。



忠魂碑が立つ広場が御茶山の山頂(163m)のようだ。明石藩の殿様が狩をする際に休憩するお茶屋がかつて設置されていたそうだ。さらに須磨の旗振山と志方の城山の間を結ぶ旗振り通信の中継所でもあったらしい。もっとも今では雑木に遮られて須磨も志方も見えない。



御茶山から雌岡山へ、歩きやすい道が続いている。もっとも、最近にない暖かい日で、汗ばんできた。3月になって寒くも暑くもない、山歩きにはもってこいの気候が続いていたけれど、もう夏を感じさせる気温だ…。気温があがれば、一気に山歩きは辛いものになる。



御茶山を一旦下って雌岡山に登り返し。標識の数が随分と多い。小さな曲がり角や脇道との分岐など、確実に標識が立っている。絶対に迷わせないとの管理者(市?)の強い意思が感じられる。



あまり眺望が効かない雑木林のなかを歩いていくけれど、頂上が近づくと空が少しずつ見えてくる。空の青さが目に沁みる。



雌岡山(249m)。「めっこさん」と呼ぶ。先日登った二上山と同様、こちらも雌がこの山系の中心地で、東経135度上に位置する神出神社の本殿があり、大きな広場や展望台がある。展望台のベンチで長い休憩を取る。



雌岡山展望台から須磨方面に目を凝らす。赤い矢印がおそらく旗振山。簡単な望遠鏡を使用していたとはいうけれど、あの山頂で降られる旗を視認していたことが驚きだ。しかも旗の角度や振る回数で詳細な米相場の情報を伝達し、大阪・岡山間を僅か15分で繋いだという。



足元には落下した椿がたくさん見られるけれど、まだほんの僅かに樹上に花が残っている。何だか物悲しい。



春には桜が美しく咲くところだけれど、まだ蕾は固い。雌岡山を少し下ると梅園があるけれど、きっと梅を楽しむには遅すぎるに違いない。花の端境期にやってきたようだ。



雌岡山からちょっと寄り道。古神・呉錦堂池との標識がある道を北へと進んでいく。ここまで来たからには、ついでに愛宕山なる小ピークをゲットしていかない手はない。



が、これがなかなかの急坂。どうせ雄岡山に登るには、ほとんど登り直しになるんだから、無駄な下りではないのだけれど、横に設置してくれているロープが無ければかなり危なっかしい思いをさせられそうなズルズル道だ。



再び少し登り直して愛宕山(163m)。小さな祠があるだけだけど、山頂は良く整備されている。地域の方々に長く慈しまれているようだ。



やめときゃいいのに、雄岡山に向かうため、ショートカットを試みてしまう。YAMAPには道は表示されていないけれど、思う方向に向かう行けそうな道があったのだ。まあ結果はやはりやめときゃよかった…。トゲのある蔦に随分と苦労させられた。



金棒池の向こうに雄岡山。弁慶が瓜二つの形をした雌岡山・雄岡山の二山を庭山にしようと、金棒をこのあたりに差し込んで山ごと持って帰ろうとしたとの伝承があるけど、ちょっと話が大きすぎる。



雌岡山・雄岡山は連続した双耳峰ではなく2㎞ほど離れた夫々が独立した残丘だ。一旦自動車も通る一般道を歩き、雄岡山には完全に登り直しとなる。



御茶山、雌岡山、愛宕山と歩いたけれど、狭い山域でもあるのであまり植生の変化もなく、ちょっと飽きてきてしまった。気分が乗らないこともあるのか、大した勾配でもないけれど、意外に疲れてきた。気温のせいかもしれない。



雄岡山(241m)。広場にはなっているものの殺風景な山頂だ。説明板によると雄岡山の男神と雌岡山の女神は夫婦だったが、男神が小豆島の美人神に浮気したそうだ。女神が止めるのも聞かず、小豆島に向かった男神はなんと淡路の漁師に弓で射られて海に溺れたという。



なぜ男神が弓で射られたのか、しかも漁師に…、など突っ込みどころ満載だけれど、とにかく雄岡山は雌岡山に頭が上がらないようだ。山頂碑も雌岡山登山会が建てたもの。二山の微妙な物理的な距離が、こうした冷えた夫婦関係を想起したのではないかとも感じる。



夕暮れが迫ってきたせいか、カラスの活動が活発になってきた。この山域を根城にしたカラスたちがもう少し薄暗くなると周囲の集落に餌を漁りに飛び立っていく準備をしているように見える。全然逃げる様子も見せないカラスをまったりと観察する。



なんだか全てにおいて雌岡山の下風に立っているように思える雄岡山だけれど、駅方面から登ってくる道は、随分と整備されていて、ベンチもたくさん設置されている。駅チカということに関しては雄岡山に軍配が上がる。



神戸電鉄緑が丘駅まで下山。単線がまっすぐに伸びている。この辺りでは三宮に向かうのに電車よりバスの方が安く所要時間も変わらないそうで、電車の乗客はどんどん減っているという。廃線の噂が絶えない神戸電鉄粟生線だけれど、少しでも乗車して応援したいものだ。



距離6.2㎞、獲得標高301m。所用時間2時間55分。




二上山リベンジ(香芝市・葛城市)

 2024年3月21日



開聞岳で痛めた股関節の痛みも引き、その状態確認も兼ねて、先日通行止のために登頂を果たせなかった二上山のリベンジにやってきた。登山口には相変わらず何の注意書もないけれど、葛城市のHPによれば雄岳に直登する道は今も立入禁止になっているようだ。



しばらくは、フカフカの平坦道が続く。開聞岳や韓国岳で火山岩ゴロゴロの歩きにくい道を歩いてきたので、このフカフカ感はいつにも増して心地良い。



分岐点。左に進めば雄岳頂上に直行するが、この先に通行止看板が立っているはずだ。今日は少し遠回りの迂回ルートになるけれど、銀峰へと向かう右側の細い道を進んでいくことにする。



が、いきなり急登開始。しかも道が細く、足の置き場にも困るような道が続く。股関節の具合を確かめながら、ゆっくりと進んでいく。



先日途中まで歩いた雄岳に直登する王道ルートとは、かなり道のレベルが違う。眺望のない岩っぽい急登が続き、枝道も多い。YAMAPで道を確認しながら進んでいく。



雄岳の北側にある銀峰(396m)まで登ってきた。尾根状の山なので頂上がはっきりせず、山頂標を見つけることができなかった。ちょっとカッコいい山名なので、期待していたのだけれど。林の隙間から見える雄岳までは更に120mほど登らねばならないし、遠く感じる。



雄岳への登りは急登が続く。緩やかな迂回道があるように見えるのだけれど、YAMAPには記載がなく、確実な急登路を進む。



山頂の真下で展望台のようなものを製作中のようだ。おそらくボランティアでやっておられるのではなかろうか。一人黙々と木を削ってベンチを製作しておられた。



二上山雄岳(517m)登頂。記憶にあるよりさらに殺風景になったような気がする。以前登ってきたときは国定公園の看板が倒れていた。この種の看板は風をまともに受けて倒れやすいのだ。そのせいか、当時より看板も山頂碑もかなり地面深くに打ち込まれているようだ。



二上山の主峰でありながら雄岳は眺望もなく、あまり人気もなさそう。昼食を摂る2人組がいるだけ。直登コースが通行止だからかもしれない。長い木段を下り、雌岳へと向かう。



何本もの道が交差し、トイレも整備された馬の背を経て、今度は雌岳に向かっての登り階段を進んでいく。雄岳への階段と比べれば、やさしい登りのように感じる。



雌岳山頂(473m)。山頂碑など、アチコチに付けられている温度計を確かめると6度。午後2時にしては結構寒い日だ。



雌岳山頂には大きな日時計があり、ベンチも多い。休憩したり食事している人も雄岳とは比較にならないほどに多い。標高では雄岳に一歩譲るものの、二上山といえば雌岳のこの風景を思い浮かべる人の方が多いはずだ。



雌岳から長い下り坂を進む。登りよりもこういう下りの方が股関節に響くことが多いのだけれど、大丈夫そう。痛くないというのではなく、慢性的にある慣れたいつもの痛みに戻ったということだけど。




岩屋峠から竹内峠へと向かう道を進む。雌岳から当麻寺に素直に下山しなかったのは、この先にある2つのピークを行きがけの駄賃よろしくゲットするためだ。かつては名も無いピークなどに拘りは無かったのだけれど、YAMAPを始めて獲得ピーク数が気になり始めた。



ダイトレって書いてあるけど、竹内峠から岩屋峠までは、この道ではなかったはず。最近変わったのかなぁ…。また歩いてみたいとも思うけれど、路線バスが大幅削減されて全長50㎞誓いダイトレの刻み方が難しくなってしまった。



竹内峠への道を外れて目指すのは、原岳、麻名子山。相当マイナーな登山道で、マイナーな山に違いないと思ってきたけれど、ちゃんと標識もある。



良い道とまではいわないけれど、決して歩きにくい道ではない。もっとも倒木が多いことは気になるけれど…。



原岳(380)m。意外なことに、しっかりとした山頂標やベンチまである。二上山雄岳が見通せるこの山頂には、かつて万歳山城があったらしい。サイパンのバンザイクリフを彷彿とさせるけれど、この付近にかつて万歳氏という豪族が勢力を誇っていたらしい。



原岳から麻呂子山に向かう道は、結構厳しいものとなる。要所にはロープがあるとはいえ、かなり滑りやすい急坂が続く。



さらに勾配は急になり、さらに落ち葉がうず高く積っているため、益々滑りやすい。厄介な道だなぁと思いながらも注意深く下っていく。



やっちまった〜。全然方向が違う。YAMAPの道外れアラームに気づかなかった。道っぽいところを歩いてきたつもりだけれど、YAMAPには無い道だ。あの急坂を登り直すのかと思うと超鬱陶しくなる。が、うまい具合に南東方向に進み、本来の登山道に復帰できた。



麻呂子山(213m)。驚いたことに、ここも立派なベンチがある整備された山頂。近隣の方々に大切に維持されているようだ。こういう無名のピークに逆にありがちなことだけど、山頂標が5つもある。山頂標など無いはずと思って用意して登ってくる人も多いのだろう。



推古天皇の時代の創建と伝わる古刹、當麻寺の門前を通って近鉄当麻寺駅へ。東塔、西塔の二つの国宝になっている三重塔が印象的なお寺なんだけれど、山門からでは塔のほんの先っぽしか見えない。



歩行距離7.6㎞、獲得標高611m、所要時間は4時間26分。ちょっと寒かったけれど、股関節も痛まず、のんびりと良い山歩きができた。