山陽沿線ウォーク(1)西代~垂水(須磨浦山上遊園経由)

2017年7月30日(日)


山陽電鉄が創立100周年記念で、様々なイベントを繰り広げている。神戸市から姫路市までの全沿線約80kmを6区間に分けて歩くという「沿線クイズ&スタンプウォーク」もそのひとつ。設えは、山陽・阪神・近鉄が毎年10月から4月に実施している「3社沿線クイズ&スタンプラリー」と全く同じで、重複を避けてか、5月から9月が開催期間になっている。



米国出張などがたて込んだせいで、長距離ウォーキングには最悪の季節になってしまったが、神戸市西代駅から垂水駅までの全長12kmの第一区間に挑む。山陽・阪神の境界となる西代駅は山陽(SY01)と、阪神(HS39)の2つの駅番号が併記されている。




旧西国街道をひたすら西に進む。日射しは厳しく、気温も湿度もグングン上昇しているようだ昨日のゴルフの疲れのせいで、出発に躊躇しているうちに、正午前になってしまったことが悔やまれる。阪神高速月見山インター近くの高架の日陰で早くも最初の休憩を取る。



クイズポイントになっている網敷天満宮。ダジャレの効いた風変りな造形物(縁起物というべきかもしれない)が数多くみられる。茄子に至っては、「成す」と語呂が被ることから、努力は報われるという縁起が含まれるということで、拝殿のなかに鎮座している。



クイズの出題になっている波乗り祈願像は、幼少期の菅原道真がサーフボードを持って、「波に乗れ」と仰っておられるらしい。クイズは、道真少年の右手の形。前方を指差している左手と異なり、右手に注目した人はごく稀だろう。実際に現地に行った人だけに答が判るという秀逸な設問だ。



さあ、ここから大胆な道を選択。須磨浦海岸に沿って垂水に向かうのではなく、六甲山系の鉄拐山・旗振山を越えて西に向かうのだ。菅原道真の網敷天満宮から、弘法大師の須磨寺までをつなぐ智慧の道を通って、北に進路を取る。



気温は35度以上と思われるなか、ホントに山に登るのかぁ・・・。今なら未だ引き返すことができる・・・との心の中の叫びを押さえつけ、源義経率いる騎馬軍が逆落としで平家の本拠地に攻め入ったとの伝承がある一の谷の急坂に取りつく。



登り始めて10分もすれば、もう汗だくで、バテバテ。途中のベンチで座るこんでいると、毎日この時間に旗振り山まで登っているという年配の女性が、日傘を差しながら、スタスタと登って行かれる。



自分よりは10ほどは年上と思われるご婦人に励まされるように、再び頑張って登っていく。しばらくすると神戸の街が一望できるところまでやってきた。坂の上から、ご婦人に「いい風が通るでしょ!」との声を掛けていただく。



およそ坂を上りきったところで、六甲縦走路に出る。ようやく平坦な道に出たものの、容易に体力は回復しない。そういえば、昨年、須磨浦公園からロープウェイに乗って、六甲を縦走すべく、鉢伏山・旗振山と歩いてこのあたりに来た際にも、既にヘトヘトだったことを思い出す。



昨年とは六甲縦走路を逆に歩いて、ようやく旗振山に到着。日射しを遮るものがなく、暑い・・・。入口も何もないので、よく判らないのだが、ここは既に須磨浦山上遊園の一部になっているようだ。ロープウェイやアトラクションは当然有料だが、こうして歩いてくる分にはお金は要らない。

 


先日、六甲山・摩耶山などの周遊で全10スタンプポイントを完歩してピンバッジをもらった山と渓谷社のデジタルスタンプ。六甲縦走コースのひとつとして旗振山のスタンプもあるのでゲットしておく。



 旗振山は、その名のとおり、大阪の米相場を旗で伝達していたところだが、ちょうど摂津と播磨の国境にもなっているようだ。



一旦、旗振山から鉢伏山まで下りて、ロープウェイ終点に近い回転展望閣にやってきた。山陽電車110周年、神戸海港150周年、そして須磨浦ロープウェイ60周年と、3つの周年を兼ねたスタンプラリーのスタンプポイントになっている。ロープウェイにも乗らず、歩いてここまでやってきてスタンプを貰うのも申し訳ない気分になるが、他にそうそうこんな奴はいないだろう。



展望閣のテレビでは、NHKの番組で神戸の地形などを取り上げた「ブラタモリ」が流されていた。テレビ台には、乗り心地の悪さで有名な、展望閣に通じる「カーレーター」に乗る、タモリと近江アナのイラストが貼られていた。



再び、旗振山を経由して、須磨浦山上遊園の西地区に向かう。一の谷で討死した平敦盛の「青葉の笛」をモチーフにした大きな日時計がある。その向こうには、須磨浦海岸の眺望が広がる。




リフトの終点「はりま」駅。始点は「せっつ」駅である。この谷が播磨・摂津の境界という訳だ。それにしても乗客はチラホラとしか見当たらない。



ここまで来るためには、山陽電車の須磨浦公園から鉢伏山までロープウェイで、さらにカーレーターに乗り、そしてリフトに乗ってこなければならない。自動車も麓までしか来れない。景色はいいんだけど、アクセスが悪いせいか、遊園地として好調とは思えない。自慢のサイクルモノレールもお客さんがおらず開店休業状態のようだ。



ふんすいランド。もっとも噴水はあがらず、池の周囲には、わずかひと組バーベキューをするグループがいるだけ。スタンプを置いてある売店は開いていたが、とても退屈そうだ。



売店の方に道順を教えてもらって、塩谷方面に向かう道を下りていく。まあ、覚悟はしていたが、なかなか急な下り坂で、疲れた足腰には応える。



 最近ダウンロードした、スマホアプリ「きのこ判定」で、塩谷への道に生えるキノコを判定する。傘の開いたキノコの名前は、シロハツと判定された。美味しくないが食べることはできるようだが、そこまでこの判定を信じていいのだろうか・・・。



見通しの悪い山道を下っていくと、唐突に塩谷の住宅街に出てきた。これで山歩きは終了。だが、ゴールの垂水までは、まだ3駅も歩かなければならない。


JRと山陽電車が並走する線路の高架の脇を歩いていく。風通しは悪いが、日蔭になるのがありがたい。



が、線路側の歩道は間もなくなくなり、今度は海側に広がる平磯緑地の中を歩いていく。快適そうな遊歩道が続くが、体はヘトヘト、服はベトベト、お腹はペコペコ、と三重苦のなかを、最後の力を振り絞るように垂水駅に歩を進める。



山陽垂水駅に疲労困憊状態で倒れこむように到着。延々と歩いて、クイズを1問答えて、ゴール駅でこのちっちゃなスタンプを貰う。これほどに疲れてまで歩く価値があるのか、と人は笑うだろうが、予定どおりに完歩できた達成感は他に言い表しようがない。



本日の歩行記録。14kmほど歩いたが、この日のハイライトは、やはり須磨浦山上遊園越え。



拡大してみるが、やはり、大した山歩きには見えないのが残念だ。

阪急今津線散策(宝塚~今津)

2017年7月23日(日)


相変わらず暑い日が続き、あまり長距離を歩く気にならない。宝塚から今津まで、阪急電車今津線に沿って歩いてみる。実は、阪急各駅に設置されている「まちあるき手帖」のスタンプを集めるつもりだったのだが、このスタンプは例外なく改札内にあるようだ。宝塚駅で早々にスタンプ収集を諦める羽目になったが、有川浩の小説でも思い出しながらボチボチ歩いていこう。



阪急宝塚駅。宝塚歌劇団のメッカに相応しい、お洒落な駅ビルだ。駅前には歌劇の一場面を彷彿とさせるようなブロンズ像も建てられている。



宝塚大劇場も手塚治虫記念館もすっ飛ばして、武庫川沿いに南へ進む。宝塚大橋を渡ると、そこは、もう2つ目の駅、宝塚南口だ。



静かな住宅街の中を進んでいると、アライグマ注意のポスターに出会う。アニメの影響で、ペットとして輸入されたものの、手先の器用なアライグマは容易に脱走し、野生化したらしい。その経緯を知っているからか、山手の高級住宅街ほど、アライグマ注意のポスターをよく見かける気がする。



逆瀬川駅。市役所をはじめ、意外なことに、宝塚市の行政機関の多くは、宝塚駅ではなく、逆瀬川駅が最寄りとなる。



英語オンリーの道路案内標識が見られる。日本語の下に、ローマ字が付記されているものは多いが、英語のみ、というのは結構珍しいのではなかろうか。



逆瀬川を超えると、線路はまっすぐなのに、線路に沿った判りやすい道が少なく、あってもすぐ途切れてしまうので、踏切を何度も西に東に渡ることになる。



広く切り拓かれた宝塚市の住宅エリアのなかに、ポツンと取り残されたような小高い山の上にある宝塚神社にお参りをする。境内からは、大阪市内の高層ビルまで、見渡すことができる。



境内では驚くほどのセミが見られる。余程美味しい樹液なんだろうか、この写真
に移っているだけで7匹もいるという過密状態だ。



小林駅。「こばやし」ではなく、「おばやし」と読む。駅の西側には山が迫っている。この山のすぐ向こうが宝塚ゴルフ倶楽部になるはずだ。



阪神競馬場が近づいてくると、カバーを被せた道路標識が多数出現する。おそらくは駐車禁止の標識だ。競馬場開催日のみ、カバーが外されて駐車禁止になるようだ。



しばらく歩いていくと、線路の向こうに阪神競馬場の大屋根が見えてくる。



仁川駅も近づいてきたかと思われるところに、使われていないホームがある。競馬場に至近なので、そのための臨時ホームとも思えたが、帰宅後調べると、廃止された置塩駅らしい。実は阪神競馬場は、空襲で壊滅した川西航空機の工場があったところだそうで、この駅は工場への通勤のために使われていたものだそうだ。



仁川駅。現在では、ここが阪神競馬場の玄関口となっている。自動改札が15ほども並んでいて、改札口はターミナル駅の様相だ。



仁川を超えてまもなく、宝塚市から西宮市に入る。線路沿いを歩きたいのだが、結構複雑な街路で道の選択が難しい。ともすれば、ちょっとした山歩きのような道を行くことになってしまう。



甲東園駅。塔などもあって、屋根も外壁も西洋の城郭風のモダンな駅舎だが、完全な橋上駅になっていて、周囲の建物を経由しないと駅に入ることができない構造になっている。



門戸厄神駅。さあ、西宮北口駅まで、あと1つ。



線路との間には、細い水路があるものの、柵のようなものがない。線路近くを歩いていると、列車が通る際に巻き起こる風がとても気持ちいい。



西宮北口駅に到着。有川浩の小説「阪急電車」のサブタイトルは「片道15分の奇跡」だったが、何の奇跡も起こらないまま、2時間半のウォーキングも終了、と思ったが、疲れたわりには10kmも歩いていない・・・。



ということで延長戦。西宮北口から、今津までの、今津南線も歩いていくことにしよう。かつては、神戸線と今津線の線路が西宮北口で十字にクロスしていたそうだが、今は、今津線は南北に完全に分断されている。

西宮北口の南側は、かつて、阪急ブレーブスの本拠地、西宮球場があったところ。球場は無くなったが、球場橋という名前は残っていた。



JRを南に超えたところにある、今津線阪神国道駅。なんとも退廃感が漂う駅舎だ。



阪神国道駅の横にあったアサヒビール工場。廃止、撤去されて、何年か経つが、広大な敷地の大半は草ぼうぼうの空き地のままだ。



かつては、この国道2号線を、阪神電車の路面電車が走っていて、乗換駅にもなっていた阪神国道駅だが、アサヒビールの撤退もあって乗降客はかなり少なそうだ。



終点の今津駅。駅舎から伸びる歩道橋が阪神今津駅に連結している。昔は、阪急の線路が、阪神の線路に接続されていて、阪急電車が阪神の線路に誤って乗り入れてしまう事故もあったそうだ。



本日の歩行記録。わずか12kmほどのウォーキングだが、暑さのせいか、結構疲れた・・・。



これまで、ウォーキングした日にブログをアップすることを旨としてやってきたが、海外出張が長かったせいもあって、今回は、いきなり9本も一括アップすることになった。ウォーキングの感動の余韻が薄れてしまって、いつもより淡泊な文章になっているように思う。