ゴロゴロ岳(芦屋市)【六甲山系】

 2020年12月27日


阪急芦屋川駅からゴロゴロ岳に向かう。何度か歩いた柿谷道(女坂)ではなく、はじめて前山コース(男坂)から登ってみよう。



芦屋の山手の住宅街を北へと進む。結構急な上り坂だ。立派な邸宅が並ぶ閑静な住宅街だけれど、自転車は役に立ちそうにない坂の町だ。



住宅街の突き当りにある前山公園に前山ルートの登山口がある。まずは公園の中にある階段を登っていく。



しばらくは平坦な道が続くが、こんな道が続くはずがない。女坂でも石ゴロゴロで結構タフな道だっただけに、男坂はもっと厳しい道を覚悟しなければならないはずだ。



案の定、大きな岩が露出した険しい道になってきた。勾配もどんどん急になってきた。



大きな岩場を乗り越えて上へ上へと進んでいく。このところ岩だらけの山ばかり歩いているけれど、相変わらず足を大きく持ち上げる必要があるこの種の道は苦手だ。



鑿を打ち込んだような跡が並んだ石が散見される。石を切り出す際の楔によるものだろう。付近の越木岩神社六麓荘あたりには、大阪城築城のために切り出されたものの、運搬されなかった残念石と呼ばれる石が多く残されている。ここの石も残念石なのかもしれない。



見覚えのある鉄塔が現れた。男坂と女坂が合流している地点だ。ここまで予想以上に時間が掛かり、体力も消耗したけれど、この先は多少楽な道になるはずだ。



歩きやすい平坦な道になってひと息ついたところで気づいたが、路面に自転車のものと思われる轍が見られる。たまに険しい山道でマウンテンバイクに出会うことがあるけれど、どこを走ってここまでやってきたのだろうか。



平坦な道は長くは続かず、すぐに岩だらけの難路になる。さすがにここを自転車では走れまいと思ったが、岩場が終わると再び轍が現れる。驚くべき行動力だ。



ゴロゴロ岳まであとひと息のところに、青いネットフェンスに囲まれたエリアがある。知る人ぞ知る「人間灯台」の跡地だ。かつて気象観測とともに多発する山火事を監視するための観測所があったところだ。たった一人で難渋な任務にあたっていたそうだ。



ゴロゴロ岳の山頂にやってきた。標高565.6mから名付けられた山名だというが、「石がゴロゴロ」とか「雷がゴロゴロ」とか異説も多い。人里にも近く記録も多い場所だと思うのだけれど、六甲山系には由来不詳の不思議な山名が多い。



登山道は奥池の住宅街とフェンスで仕切られている。ゴロゴロ岳に続いて、これまた不思議な山名を持つガベノ城へと向かう。



しばらくは平坦な道が続く。石がゴロゴロした道と違ってなんと歩きやすいことだろうか。



と思う間もなく、花崗岩の浸食、風化が進んだ道になる。砂が敷き詰められたようになっていて滑りやすい。長い時間をかけて、この先ザレ場やバッドランドへと変化していこうとしているのだろうか。



ゴロゴロ岳までは眺望を楽しめる場所がなかったが、ガベノ城に近づくと、ようやく東側の展望が開けてきた。甲山と北山貯水池がよく見える。



標高483mのガベノ城の頂上まで登ってきた。ガベノ城というのが山名なのだ。積み重なった石が石垣に見えたせいで城跡のようにも見えるが、実際には城は無かったらしい。ガベノという言葉も意味不明だ。



ガベノ城から西宮の剣谷登山口へと下っていく。ズルズルと滑るザレ道を下り、岩の間を通り抜けていく。



あとひと息。下山口まで真っ逆さまに下っていくようだ。



住宅街の中に埋もれるているような剣谷登山口まで下りてきた。以前逆コースに歩いたときに、この登山口を見つけるのに随分と苦労した記憶が蘇る。



下山口から2㎞ほど歩いて苦楽園バス停から帰宅。どうしたことか、ガベノ城を過ぎたあたりでYAMAPの記録が飛んでいて、苦楽園までの歩行軌跡が直線になっている。実際は8㎞くらいは歩いたはずだ。



【当選】灘の酒蔵めぐり

 2020年12月26日


先月参加した「灘の酒蔵めぐり」スタンプラリー事務局より、豪奢な日本酒が送られてきた。戴いたものは、大関の大吟醸「長寿」。最高品質の山田錦を35%まで磨き上げたという5000円ほどもする高級品だ。



10年以上連続しての参加で初当選だ。コロナ禍で参加者が少なかったのだろうか…。例年全てのスタンプポイントを歩き尽くすのだけれど、今年は、魚崎・御影・西郷の酒蔵を巡っただけで、大関酒造がある今津・西宮両郷には足を伸ばしていない。ちょっと申し訳ない気分だ。

高御位山(高砂市)

 2020年12月25日


4年ぶりに高砂・加古川の市境に連なる高御位山に挑戦だ。標高304mの低山とはいえ播磨富士とも呼ばれるこの地域のシンボルとも言える山。さらに高御位山を中心とする連山は播磨アルプスとも呼ばれている。富士山とアルプスを一度に楽しめるというものだ。



4年前は曽根駅からスタートし、中所から辻までのフル縦走、そして宝殿駅でゴールという超ロングコースを歩いたが、今回は以前から気になっていた鹿島神社横の馬の背を登っていく少々短めのコースだ。鹿島神社のチタン製の大鳥居に見送られて出発だ。



鹿除け柵を開けたところに馬の背登山口がある。迷いようのない尾根の一本道のはずが、スタート早々、尾根の脇を進む道を10分ほども進んでしまう。よくあることとはいえ、いきなりの道間違いとは、先行きが思いやられる。



登山口近くまで戻り、あらためて馬の背状の尾根を進んでいく。予想はしていたことだが、早々に岩稜歩きが始まる。



以前登った隣の尾根道が良く見える。百間岩と呼ばれる巨大な岩稜の急坂を攀じ登っていったことを思い出す。これから進む馬の背は、百間岩ほどの規模ではないものの、やはり岩ばかりの急坂だと聞いている。



急坂とはいえ岩はしっかりとしていて、グリップもよく効く。比較的暖かく空も晴れている。問題は時折吹く強風だ。進行方向の左から右(即ち西風)に体を持っていかれそうになるほどだ。岩尾根の上で身を隠すところもなく、風が落ち着くのを祈りながら登っていく。



幸い強風も収まってきた頃、目指すピークが見えてきた。ピークまでの道は白く、岩だらけのようだ。



遠目にはなだらかに見えているのに、近づくとかなりの勾配に感じられる。11年前の滑落による古傷のため右足を高く上げると痛むので、左足主導で岩場を登っていかねばならないのが厄介だ。



ようやくピークに到達。登ってきた尾根道を振り返れば、さほどの坂とも岩場とも見えない。遠目から道の厳しさが判るまでには、まだまだ到らない。



これから高御位山の山頂までの道がよく見渡せる。播磨アルプスの名にふさわしいシャープな尾根筋を登ったり下りたりを繰り返して進んでいく。



なだらかな坂が続くとはいえ、岩がゴロゴロと露出した道は歩きにくい。でも、強風も吹き止み、とても快適なハイキング日和になってきたことで心も弾み、足取りも軽い。



傾斜が無ければ、岩が露出した道は、舗装道のようなものだ。



尾根筋からは高砂の町並みから瀬戸内海にかけての眺望が大きく広がっている。先日登った宝殿山や竜山からなる山塊もよく見てとれる。



山頂まであとひと息。高い樹木がほとんどない岩山だけに、日射しの強い日には苦労しそうな尾根道だけれど、今日は風さえ止んでしまえば快適このうえない。



高御位山の頂上に立つ「天乃御柱天壇」。山頂一帯は高御位神社の社域となっているようだ。国造りのために神様がこの山に降臨した、金星からの隕石が熊野・鞍馬とこの高御位の3ヶ所に落下した、など数々の神話にも登場する聖域だ。



山頂付近は断崖絶壁。ロッククライミングをする人も多いようだが、最近滑落事故があったとの注意ポスターが貼られ、徹底した注意を促している。大正時代にこの地の若者が手作りグライダーでの飛行に挑んだのもこの岩壁だという。



断崖絶壁の岩場の陰に隠れるように立っているのが高御位神社の本殿。熊野修験道の系統の神社なんだそうだ。



高御位神社から南へ、北山登山口に向けて山を下っていくが、こちらにも巨大な岩盤が待ち構えている。麓に向かって直滑降していくような岩場歩きは、あまり気持ちの良いものではない…。



下りたり登ったりをしながら進むと、唐突に道の真ん中に三角点の標石が現れる。何の表示もないけれど、どうやらここが小高御位山の山頂(185m)のようだ。



下山しているはずなんだけれど、下りたと思えば、再び結構険しい登りが登場したりする。



何だか首吊りのロープのようなものが木から垂れ下がっている。他であまり見かけない形式だけれど、急坂を登る際のサポートのためのもののようだ。ロープに掴まりながら岩を攀じ登るというのはなかなか具合が良いものだ。



歩いてきた山稜を振り返る。写真左側の馬の背を登り、写真右の高御位山までの稜線を歩いてきたことになる。



尾根道歩きを終え、北山登山口に向けて、やはり岩だらけの道を下っていく。写真ではわかりにくいが、他と異なり、この下り坂の岩は、ピンク色が混じっている。



周囲を見渡すと、かなり大規模な採石場が見える。連山全体が岩で構成されていることが削られた山肌からも見て取れる。



本日の歩行軌跡。歩行距離は7㎞、累積標高は500m弱だが、標高300mほどの山とは思えないダイナミックな山歩きが楽しめた。





竜山&宝殿山(高砂市)

 2020年12月19日


六甲山方面に出掛ける予定だったが、標高500m以上では積雪があると聞き、急遽予定変更。積雪の心配が無さそうな石の宝殿で有名な高砂市の生石神社がある宝殿山と竜山方面へと軽いハイキングに出掛けることにする。



まずは長い階段を登って宝殿山の中腹にある生石(おうしこ)神社に向かう。日本三奇のひとつに数えられている石の宝殿と呼ばれる巨大な石造物がご神体だ。



久しぶりに石の宝殿にご対面。巨大なサイコロのような立方体の石造物だ。資料によれば、横6.5m、高さ5.6m、奥行7.5m。重さは推定500トンだという。



天の浮石とも呼ばれているように立方体の巨石があたかも浮き上がっているように見えること、いつ、だれが、なんのために、この石造物を造ったのかは不明であること、巨石の下に溜まった水は旱魃時にも干上がらないなど、不思議がいっぱいだ。



素人目にも判るのは、この石造物がどこかで造られたものを持ち込んだのではなく、もともとの岩盤をくりぬいて造られたものだということ。もともと一体化していたはずの岩盤が石の宝殿を取り囲んでいる。



上から見ると、石の宝殿は単純な立方体ではなく、後方に奇妙な出っ張りがあることが判る。まるで昔のブラウン管テレビのような形だ。実は未完成だ、とか、どこかに持ち出すつもりだったとか、多種多様な説が唱えられているけれど、結局何ひとつ判っていない。



石の宝殿をくりぬいた宝殿山という岩山を登っていく。岩山自体に階段が穿たれている。



生石神社から数分で宝殿山の頂上まで登ってこれる。山全体が巨大な一枚岩になっているのだが、高御位山や紅山など、この付近に岩山は多いけれど、これほど頂上が広々とした平坦な岩山は珍しい。頂上には大正天皇行幸碑が建つ。



高御座山を中心n馬蹄形に連なる山々は、播磨アルプスと呼ばれ、その大半は岩稜だ。馬蹄形の連山を縦走したのはもう何年も前のことだ。まだ歩いていない道もあるので、近いうちに登ってみたいと考えている山のひとつだ。



宝殿山の西に伊保山という低山がある。この山にあるゴリラ岩(その名のとおりゴリラの横顔に似た巨岩)を見たいのだけれど、道が判らない…。伊保山方面に向かって宝殿山を下る急坂を行こうと思ったけれど、伊保山に続くのだろうか…。



地図も無いなかで伊保山に向かうことは一旦諦め、手元にある地図(石の宝殿竜山めぐり)で紹介されている竜山にまず向かうことにする。一旦宝殿山を下り、一般道を南へと進んでいく。



宝殿山と竜山の間には、大きな採石場がある。竜山石と呼ばれる良質の凝灰岩の産地として知られるところだ。国会議事堂や皇居にも使用されている石材なんだそうだ。採石場があるため宝殿山から竜山に直接歩いていけないのかもしれない。



竜山の南まで一般道でまわりこんだところに、ひっそりと竜山登山口がある。



石が多いことは予想どおりだけれど、このあたりの山ではあまり見かけることの無いシュロの樹が多く見られることは意外だ。やはり高砂は暖かいのだろうか。



「タヌキの穴」と書かれた木札がある。確かに石の下に隠れて小さな穴があるが、ホントにタヌキの棲み処なんだろうか。山でタヌキには出会ったことはあるけれど、どんなところに住んでいるのかなんて考えたことも無かった。



大きな岩場もあるけれど、子供たちでも問題なく登れる山のようだ。地図には特徴的な岩がいくつか紹介されているけれど、どれがどれなのか、よく判らない。「ジャイアント馬場岩」という気になる岩も地図には載っているけれど、判らず終いだった。



ちょっとした岩稜歩きも楽しめる。大した難路でもないけれど、しっかりとロープも張られていて、誰でも安心して歩き回れるようになっている。



写真奥が竜山の山頂。360度のパノラマが広がる山頂の手前には「魚崎構居跡」の碑が立っている。構居とは、早い話が山城のようなもののようだ。秀吉の別所攻めの際に生石神社とともにこの城も焼き討ちされたらしい。



竜山山頂から北に向かって笹などの背の低い草木が茂るなかを進んでいく。岩山の特徴だと思うのだけれど、高い木はほとんど見られない。



竜山にはいくつもの古墳があるようだ。4世紀後半に建造された前方後円墳らしいが、笹が生い茂っていてその姿は確認できない。さらに文化財保護のため立入は遠慮してくれとの看板が立っている。



古墳だけでなく、このエリア全体が「竜山石採石遺跡」として国の文化財に指定されている。そのため、この地にある石ひとつ持ち出すことも動かすことも禁じられているようだ。



竜山の西端の岩肌に「観濤處」の三文字が彫られている。姫路藩家老河合寸翁が彫らせたものだという。当時はここから高砂の浜辺が一望できていたのだろうけれど、今では工場が立ち並んでいる。



竜山を下りて、あらためて伊保山への道を探したが、さっぱり判らない。そればかりか、伊保山のかなりのエリアは採石場になっていて、容易に登山できるような雰囲気ではない…。ゴリラ岩との対面は後日のこととしよう。



(おまけ)
生石神社の休憩所に、モンスター?の看板が立っている。東播磨の5市町村で開催中のデジタルスタンプラリーのスタンプポイントになっているようだ。スタンプラリーもデジタルばかりとなってきて、最近はめっきり参加意欲が無くなってきた…。



本日の歩行軌跡。伊保山を諦めたこともあって歩行距離は4.2㎞、累積標高は202mと、軽いハイキングに終わってしまった。