六甲全山縦走その3(六甲記念碑台~宝塚)

2016年6月12日(日)


昨日、鵯越から菊水山、鍋蓋山、摩耶山を経由して六甲山記念碑台まで歩いた「へっぽこ六甲全山縦走」。2日連続で疲れはあるが、宝塚までの道をコンプリートを目指すが、14時過ぎには雨が降り出すとのこと。そこで、できるだけ早朝にスタートすべく、神戸市バス、六甲ケーブル、六甲山上バスを乗り継いで、8時20分に記念碑台バス停に降り立つ。



険しい登りは昨日までに歩き終えている。宝塚まで20kmほどはあるものの、下り中心なので5時間余りでゴールできるのでは、と楽観的に考えて出発する。まずは神戸ゴルフコースの真ん中を突っ切る道を、気分良く歩いていく。



もっとも、昨日の疲れは残っていて、この程度の丸太階段でさえ、足腰は軽くは動かない。



ほぼ無人の早朝のガーデンテラスを抜け、無線塔群を横目に見ながら、六甲全縦の標識に従って地道に入っていく。



当然のことながら、自動車が走る道を歩くのが最も楽なんだけど、縦走ルートにはほとんど舗装道路は組み込まれていない。舗装道と何度も交差しながら、わざわざ左右の山を経由する。鬱陶しいことこの上ないが、こうしないと六甲縦走ルートを歩いたことにならない。



あろうことか、T字路で道を間違ってしまう。六甲山頂上がどんどん離れていくことに気付き、慌ててUターンする。よくまあ気付いたものだ。



全縦ルートを少し離れて、折角なので六甲山最高峰にやってきた。標高931mとはいえ、今日は800m地点からのスタートなので、ここまで歩いた標高差は僅かでしかない。



朝方通過した六甲山上ガーデンテラスの電波塔群が随分遠くに見える。この距離を1時間も掛からず歩けてきたことに我がことながら驚く。



さほど空腹でもないのに、山頂付近の一軒茶屋でカレーを食べてしまう。大して美味いとも思わないし安くもないのだが、「六甲山頂=一軒茶屋のカレー」が方程式化している。この後を考えて自販機で飲料を補給するが、どうしたことか3台もあるのに品ぞろえに偏りが激しい。



さあ、ここから未知のゾーンに突入する。宝塚まで13.5kmとあるが、足腰の調子もまずまず。心配なのは雨だけだ。(と、この時点では舐めていた)



山道の一部が崩落しているためトンネルを通れとのこと。トンネルの上の山を越すのに比べて、かなりエネルギーをセーブできることに喜ぶべきかもしれないが、本来の六甲全縦ルートから外れてしまい、とても残念だ。



再び山道へ。宝塚まで12km、とのボロボロの看板がある。神戸市から芦屋市をかすめて西宮市と行政区分が変わったせいか、六甲全縦の標識が少なく、また貧粗なものになってきたように感じるのは気のせいだろうか・・・。



のんびりと山を下っていくと思いきや、かなり手強い下り坂が続く。道がえぐれて、ズルズルと滑りやすい。かと思いきや、登りもあったりして、手元の高度計ではいつまでも標高700m台を切ることがない。



六甲縦「走」というだけに当然ともいえるが、この道を驚くようなスピードで走る人が多い。想像するに、柔らかい土にも関わらず、通行量が過負荷となっているのではなかろうか。えぐれが酷すぎて、ロープを使ったり、尻持ちをつきながらずり落ちたり、下りというのに、時間と体力の消耗が大きい。



ひとつひとつ山を制覇していった西六甲と異なり、ここでは山の頂上は経由しない。それどころか分岐もほとんどなく、地名もなく、眺望も開けない道が続く。天狗道とか稲妻坂といった名前もない道を、ただひたすら進んでいくため、気分にメリハリをつけることが難しい。案内標識も、ずっと「太平山・宝塚」のままだ。



地滑り後に植樹したと思われる針葉樹林が広がる。途中で崩落のための迂回個所もあったが、このあたりは岩稜の露出が少なく、軟弱な土が表面を覆っているようだ。



途中の数少ないチェックポイントとなっていた地名(水無山、船坂峠、太平山など)も、路上に表示が無いため、通り過ぎたのか、まだ先なのか判らない。どこをどう歩いているのか、宝塚まであと何キロなのかも判らず歩いていく。どうせこの道を進むしかないので、地図も見ないし、携帯のGPSで調べることも億劫だ。



道は相変わらずデコボコで、登ったり下ったり・・・。総合すれば平坦ということになるようで、標高はごく僅かずつしか下がっていかない。



東六甲縦走ルートで初めて自らの場所が特定できたのは、塩尾寺の前。ここまで何の標識も建物も見当たらなかった・・・。既に宝塚まで残り3kmほどの地点だ。



ここに来るまで、気にするほどでもない小雨が降ったり止んだりしていたが、そこそこの降りとなってきた。携帯で調べると宝塚を含む広い地域が雨雲に覆われている。う~ん、天気予報より1時間ほど早いが、文句は言えない・・・。



どうせ大した雨にはならないと、カッパも傘も持ってこなかったのが少し悔やまれる。宝塚の町までの道を雨に濡れながら進むしかない。急な下りが延々と続き、膝や足首に半端ない負担を感じる。



東六甲縦走路のゴール間近になって、はじめて眺望が開けた。宝塚の町を見下ろすことができる。もっとも、まだ、あの川まで延々と下らなければならないと思うと、ウンザリする。



宝塚の市街地に入り、六甲縦走の標識が見当たらなくなる。どこかで見落として違う道に入り込んで、二度と標識に出会わなくなったのかもしれない。かなり遠回りしているようだが、延々とした下りが続くことには変わりない。



長~い階段の脇には、休憩用と思しきベンチが所々に設置されている。ベンチの土台の傾き加減で、この坂のキツさが窺い知れる。



雨足が少しずつ強まるなか、ようやくJR・阪急両線の宝塚駅までやってきた。



ゴールして携帯をチェックすると、わずか2km半ほどで歩行記録がストップしている。GPSの電波が途切れたのか、何かの操作ミスがあったのかは不明だが、たまにこのようなことが起こる。今日のような頑張った日に発生すると、ショックは大きい。



昨日の疲れも残っていたし、雨のせいもあったのだろうが、想像していた以上にシンドイ道だった。最終日は退屈な道が続いたが、衰えた体力で、よく3日で六甲全山を歩きとおしたとの達成感は小さいものではない。