スコットランドでも仕事の合間、現地のビジネスパートナーの案内でゴルフの聖地、セントアンドリュースでゴルフをする羽目になった。ゴルフコースに隣接するオールドコースホテルに投宿。
玄関には、歴代の名プレイヤーのパネルが並び、スコットランドの正装、キルトを纏ったドアマンが出迎えてくれる。
ホテルの各部屋には、歴代の優勝者の名前が刻まれている。256号室は、2000年優勝のタイガーウッズだ。
ホテルの部屋からはセントアンドリュースのゴルフコースが一望できる。遠目には何だか河川敷のゴルフ場のようだが、間違いなく、ここがゴルフが発祥したと言われる、すべてのゴルファーが憧れる聖地なのだ。
全英オープンを代表するショット、オールドコース18番も見渡すことができる。こんなホテルで一泊できるなんて、なんとも幸運なことだ。
さあ、いよいよプレイの時間がやってきた。意外なことに、セントアンドリュースはパブリックのゴルフ場。とはいえ、オールドコースは簡単に予約できるものではないようで、プレイするのはジュビリーコースだ。コースには、英国、スコットランド、そしてセントアンドリュースの旗が靡いている。
セントアンドリュースには、オールドコース以外に、ニューコース、ジュビリーコース、キャッスルコースなどのコースがある。真ん中の緑色がオールドコース、そして海沿いの緑色がプレイするジュビリーコースだ。風の影響を強く受け、距離も長い。
クラブハウスで、早くもその風格に圧倒されてしまう。スターティングホールで見学していると、全員が全員ともナイスショットでスタート。う~ん、この難コースに、ヘッポコゴルファーが挑んで良いものかぁ・・・。しかも、今日初めて触る貸しクラブだ。
1番ティーグランド。樹木が無いせいか、広々と感じるが、後続組のギャラリーが注目し、強風が吹き荒んでいるなかでのティーショットでは大緊張。ややプッシュアウト気味とはいえ、なんとか200ヤード以上飛んで、最低限の面目は保つことができた。
しかし、その後も地に足がつかない状態から抜け出せず、右に左にボールは散って、たびたび深いブッシュにボールが突っ込む。キャディさんが、探してくれるが、出てくるとは思えないし、見つかっても、打てるはずもない。結局序盤で、早々に3つもボールを失う。
セントアンドリュースは全て歩き。贅沢にも一人ずつ雇ったキャディさんが、バッグを軽々と担いでコースを先導してくれる。単にバッグを担いで、クラブを手渡してくれるキャディではなく、こちらの腕前を見抜きつつ、適切なアドバイスをしてくれる。まさにプロのキャディだ。
コースの横には海。強風は、アゲインストになったり、フォローになったり、残りヤード数ではクラブの選択が容易ではないが、キャディさんが、150ヤードでグリーンの右端を狙え、などと、適切に教えてくれる。
コースの横には、公道があり、付近の住民と思われる方が犬を連れて散歩していたりする。生活とゴルフが完全に融合している。そもそもゴルフとは、非日常のスポーツではなく、厳しい羊飼いの仕事の合間の息抜きであったことを思い出す。
ブッシュも厄介だが、バンカーも厄介。17番になって初めてバンカーに入れたが、逆に凄く嬉しい。セントアンドリュースのバンカーは是非体験しておきたかったのだ。難しい位置のボールはあったが、見事一発で脱出。かなり嬉しい。
18ホールを徒歩でスループレイし、強風、そして中盤では降雨もあり、暑くなったり寒くなったり、噂に聞いていたとおり1ラウンドで四季を体験できた。後半は、ようやく興奮状態も収まり、クラブにも慣れることができ、日本でのプレイとほぼ変わらないスコアに纏めることができた。もっとも、キャディさんの存在が無ければ、こうは行かなかったはずだ。気持ちよく、多めのチップをはずんだ。
忙中閑歩日記始まって以来の、贅沢なウォーキング。ゴルフをしながら、強風・降雨のなかを7~8kmほどを歩いたはずだが、あまりの興奮で、少しも疲れなかった。