旗振山・高倉山【六甲山系】

 2025年11月12日


ついに買ってしまったHOKAのウォーキングシューズ。かなり値は張るけれど、バス旅の太川陽介をはじめ、多くの長距離ウォーカーから支持を集めている靴なのだ。 早速どこかに歩きに出かけてみよう。



基本的にはウォーキングシューズだけれど、須磨から旗振山、高倉山までの登山道であれば、十分に整備されているので問題ないだろう。まずは、須磨浦公園駅から歩いて5分ほどの敦盛塚を訪れる。一の谷合戦で熊谷直実に討たれた若武者平敦盛の胴塚だという。



実は敦盛塚の横にある敦盛そばが目当て。しばらく後継者不在で閉店していたのが、最近復活したのだ。墓所の横で、故人の名をもじった食べ物を商うというのはいかがなものかとも思っていたこともあるけれど、旨いものならむしろ供養になると最近では思っている。



熱湯で茹で上げた蕎麦を堪能。腹ごしらえも済んだところで、旗振山へと登っていくことにする。見上げると山肌の紅葉は日々進んでいるようだ。



が、その前に須磨浦公園に点在する句碑を見て回る。これは蕪村の「春の海ひねもすのたりのたりかな」の碑。この句を詠んだのは須磨だという説と丹後だという説があるらしいけど、シンプルに見えるけど「のたりのたり」のオノマトペなど、とても真似できない。



旗振山へ登っていく。道は良く整備されているんだけれど、ロープウェイに併行する道だけに、勾配はかなりのもの。靴がどうのこうのという前に、息が続かない。



途中何十人もの幼稚園児の団体とすれ違い。子供らしく道幅一杯に広がって元気かつ不規則な動きをするものだから、道端に座り込んで皆が通り過ぎるのを待つ。引率の先生方はしきりに恐縮されていたけれど、実のところ丁度いい休憩なのだ。



ロープウェイ降り場の手前にある展望台。去年この道を登った際には、樹々に遮られて全く眺望が無い、とこのブログに綴ったことを思い出す。まさかこのブログに影響された訳でもなかろうが、いつの間にか樹々はキレイに伐採され、須磨浦が望めるようになっていた。



ロープウェイ降り場から須磨浦を見下ろす。なかなか凄い勾配だ。ロープウェイから見る景色もなかなか凄いものなんだろうな、とは思うけれど、未だにこのロープウェイに乗ったことがない。



ロープウェイにも乗ってみたいけど、もっと乗ってみたいのが、ケーブル降り場から山上遊園地へと登るカーレーター。世界一乗り心地が悪い乗り物とまで言われるけど、結構人気がある。密閉されたコンベアの上を2人乗りのリフトがガタガタと音をたてて進んでいる。



回転展望台。ここで「神戸の山に出掛けようスタンプラリー」のスタンプをゲット。円形の建物の床が回転することで、どの席に座っても360度の展望が楽しめる仕掛け。昔は大阪でも姫路でも見られたものだけど、今はかなりレアな存在になっているように思う。



回転展望台の受付に須磨浦山上遊園の乗り物4種のスタンプが置かれている。ロープウェイ、カーレーター、回転展望台、リフト。とても可愛いスタンプだ。でも、どれひとつ乗ったことが無い…。



鉢伏山(260m)。いつもはつい脇道を素通りしてしまうのだけど、久しぶりに山頂までやってきた。なだらかな丘のようで、山頂の四方にはベンチがあるものの、眺望などは無い。



旗振山(253m)。茶店は閉店していたけれど、本日2つ目のスタンプをゲット。何度登ってきても、ここからの眺望は楽しい。



旗振山からは須磨、明石の双方がとても良く見渡せる。西側を望めば明石海峡大橋から淡路島が手に取るようだ。



東を見れば、須磨の海岸から神戸までの街並みが見通せる。芭蕉の「かたつむり角振り分けよ須磨明石」の句碑は、須磨浦公園よりも旗振山に立ててもらいたかった。



旗振山に登ってしまえば、後はとても歩きやすい平坦な尾根道が続く。ウォーキングシューズでも全く問題がない。ウバメガシの多い林道をのんびりと進んでいく。



もっとも途中に鉄拐山があって、頂上までの道は短くともかなり険しい。もっとも左の道を進めば山頂をバイパスすることができる。



鉄拐山の西側に「勢揃松」と書かれた碑がある。以前調べたところ、ここが義経が一ノ谷への攻撃にあたって、軍を勢揃いさせたと伝わるところだ。おそらくここで作戦の最終確認をし、気勢をあげたのだろう。源平合戦の史蹟として説明板等を整備してもらいたいものだ。



おらが山とも言われる高倉山のおらが茶屋で本日3つ目のスタンプ。茶屋系かカフェ系かで湯呑かコーヒーカップかスタンプのデザインが使い分けられている。



おらが茶屋の前にある高倉山(200m)の山頂碑。以前はもっと西側に山頂標があったように記憶しているんだけど…。住宅開発でかなりが削られたので山頂も不明瞭なのだろうか。山を残してくれとの住民運動が実ったことから「おらが山」と呼ばれるようになったとか…。



高倉山から下山。正面に見える栂尾山との間に住宅街があるが、かつては山が繋がっていたはずだ。ハイカーから見れば、栂尾山への400階段も無理やり感がある道だけど、高倉山からの激下り階段も酷い道だ。



いつの間にか六甲縦走路の貴重な補給場所だった高倉台のスーパーが閉店している。明らかにここの住宅街の人口流出が多くなり、活気が低下しているようだ。山を削って神戸沖を埋立て、住宅街を作ることで大成功したと言われた神戸方式の評価も変わるかもしれない。



距離4㎞、獲得標高320m。所要時間は蕎麦屋での昼食込みで2時間10分。気楽な山歩きだったけど、HOKAの履き心地に今のところ不満はない。