甲山ハイキング

2018年5月20日(土)


あまり眠れない日が続いているせいか、体力的にも、気分的にも、あまり長い距離は歩けそうにない。ということで、いつの日にか、と溜め置きをしているウォーキングルートのなかでも比較的短距離となる西宮市のシンボル山、甲山(かぶとやま)登山に出掛ける。



午前中はボーっと過ごしてしまい、スタートの阪急今津線の甲東園駅に到着したのが、14時前。低山とはいえ、山登りには遅すぎるぞ。最近には無い低気温で、蔵っていた長袖を引っ張り出してきた。



15分ほど坂道を登っていくと、関西学院大学に到着。正門から見て真っすぐ向こうに目指す甲山がある。この正門の周囲には、20人以上のマスコミがカメラを抱えて陣取っていた。アメフト日大戦での非道タックルで、謝罪に訪れている日大監督を待ち構えているようだ。



薄レンガ色に統一された美しい関学キャンパスを抜け、「阪神水道企業団施設道路」と表示された坂を登っていく。淀川から、神戸方面に水道水を供給するための浄水場や貯水池がこの辺りにあるが、その建設に伴う盛土が阪神・淡路大震災による大規模な地すべりを引き起こした一因とも聞く。



34人もの犠牲者を出した仁川百合野町にある「地すべり資料館」を訪問する。土砂災害の3つの形状、「地すべり」と「がけ崩れ」と「土石流」の違いとそれぞれのメカニズムが良く理解できた。



地すべりの現場は、大がかりな対策工事が行われ、今では芝桜の名所になっている。しかし花園の下には、観測井戸やセンサーなど、地すべり被害の再発防止策が施されているらしい。



地すべり対策が施された斜面を登り、イノシシ柵を抜けて、ようやく登山道に入る。なかなか楽しそうな山道だ。



と思っていたら、間もなく平坦な舗装道に合流してしまう。登山といっても、甲山は小学生の遠足レベルの山だから、まあこんなものだろう。



甲山森林公園のシンボルゾーン。公園中央のプロムナードの突き当りにある噴水の向こうに甲山が聳える。手元の高度計では約150m。標高309mの甲山山頂までは、残り160mほど。50階建のビルを登るのに相当する。



西宮市立甲山自然環境センター。宿泊施設もあり、自然学習施設やキャンプ場が併設されている。



自然学習館で、甲山登山記念スタンプカードを入手。春・夏・秋・冬の4つのスタンプ欄がある。季節ごとにスタンプは変わるので、四季の甲山を制覇して、ようやくコンプリートできるという仕組みだ。



甲山自然環境センターの脇から甲山に登るのだが、登山口には不似合いな赤い屋根に青い壁というメルヘンチックなミニチュアハウスが建っている。西宮市の観光キャラクター「みやたん」のお家らしいが、中は空家状態だ。



大した標高ではないが、見た目のとおり、結構な勾配だ。雨が降ると沢になると思われる道を登っていく。



なんと「頼朝塚」なるものが現れた。頼朝って、源頼朝以外考えられない。何故ここに鎌倉で死んだはずの頼朝の塚があるのだろう・・・。帰宅後調べると、甲山の麓にある神呪寺を再建したのが頼朝ということに関連して誰かが拵えたようだ。



延々と階段は続く。息がきれて立ち止まるが、大きなムカデがいたりして、落ち着いて休憩できない。



体調面では最悪に近いコンディションだったけど、低気温のおかげで、さほど苦しむことなく頂上に到着。 頂上部は意外なほどに平坦な広場になっている。



神呪寺方面に下山していく。大阪方面が一望できる。写真の真ん中下に映っているのは、関学のアメフトのグラウンドだ。



階段には手摺りも設置されているなど、小学生など足弱なハイカーにも配慮された登山道になっているが、手摺りの腐食・劣化がひどい。グラつくところには、赤い布や注意標識があるが、そろそろ全面的に更新した方が良さそうだ。



神呪寺まで下りてきた。神呪寺とは、恐ろし気な名前だが、神(ここでは甲山)「の」寺の意味らしい。しかし、「の」に「呪」の字を当てるとは大胆な命名だ。



正面の門まで下りて振り返ると、甲山と神呪寺が一体化していることが判る。何となく、大神神社と三輪山の関係に近いものを感じる。



神呪寺から甲陽園方面に向かっていると、甲山四国八十八ヶ所なるものを発見。どうやら四国八十八ヶ所に合わせて88の石仏が設置されているようだ。後で調べてみると参拝道は約2km。適度なアップダウンもあって、なかなかユニークなハイキングが楽しめそうだ。



甲陽園の住宅街に入る。坂道に大きなお家が並んでいる。このあたりの真下に山陽新幹線が走っているようだ。家の下の新幹線、というのは、どうにも落ち着かないようにも思えるが、何十mもの地下ともなると、音も震動も全く伝わってこないのだろう。



複雑な地形を宅地化したのだろう。勾配はかなり急で、勾配の向きも複雑に入り組んでいる。



参考にした阪急ハイキングのマップでは、さらに苦楽園まで歩くようになっているが、先日のガベノ城登山でも歩いた道だし、夕刻にも差し掛かり、体調も気分も優れないこともあって、今日は阪急甲陽線の終着駅、甲陽園駅から帰宅する。



歩行距離は9km弱。いつもなら少々寂しい距離だが、今日のところは、この程度で十分すぎた。



眠れないから元気が出ない、元気が出ないから歩けない、歩けないから疲れない、疲れないから眠れない、という悪循環が続く。今晩も眠れないまま、外は明るくなっている。