丹生山系(丹生山・帝釈山・シビレ山)

2020年4月6日


神戸市北区の丹生山系に出かける。外出自粛が叫ばれてはいるけど、散歩やジョギングはいいというし、家から30分ほどで登山口だし、単独行だし、人気のある山でもない。(とこの時点では楽観的に考えていた)低山ではあるけれど、丹生山、帝釈山、シビレ山の丹生山系西側の主要三峰を制覇したい。



箱木千年家がある衝原湖東畔からスタート。湖と桜のコントラストが美しい。湖の向こうに見えるのが丹生山系の西端になる。



丹生山登山口。これがメインの登山口なのかは不明。ガイドブックやパンフレット類もなく、YAMAPの地図と過去の登山者による記録投稿だけが頼りだ。しかしこの種の情報は山慣れたハイカーによるものなので、へなちょこハイカー向けかどうかは不明だ。



標高は低いけど、どの程度の難路なのか不明のまま山に登り始めたけど、倒木は多いものの道はしっかりしているし傾斜も緩やかで問題なさそうだ。



丹生山は度々歴史の舞台になったところ。南北朝時代には新田配下の部隊が籠って足利軍に頑強に抵抗したところでもあり、秀吉が包囲した三木城に兵糧を運び込む拠点であったりしたという。廃寺でもあったのだろうか、古い石仏、灯籠、墓石などが見られる。



かつての丹生山城の名残だろうか。頂上付近には古い石垣が今も残っている。



標高514mの山頂には丹生神社が鎮座している。丹生とは水銀のことだけど、この辺りでも水銀が産出されていたらしい。



神社のすぐ近くに妙なものがある。近寄って確かめてみるとなんと蜂の巣箱だ。どういう仕組みになっているのかは判らないけど、観察もそこそこに退散する。すでに蜂が活動する季節になっている。



目指す三山のなかで丹生山は真ん中。続いては東側の帝釈山を目指す。丹生山系縦走路と書かれた標識もあって道に迷うこともない。



帝釈山の山頂まではアップダウンも少なく、快適な尾根道が続く。



登山開始から誰ひとりとも出会うこともないまま、帝釈山の頂上までやってきた。標高は586m。小さな石の祠が三宇並んでいる。



頂上からは南側180度の展望が開けている。霞んではいるけど、淡路島や瀬戸内海まで肉眼で確認することができる。明石海峡大橋も真南に見える。



来た道を戻るのは好きではないけど、逆方向に歩いていると、つい30分ほど前に歩いた道だということには確信が持てない。再び丹生山近くまで戻り、西のシビレ山を目指す。



何の解説もないのだけど、アチコチに随分と古い石の構造物の跡を見ることができる。これはどうやら貯水関連の施設ではないかと想像するんだけど、何なのだろうか



これまでの道とは異なり、ロープが張られた急坂も現れる。でも先日登った御嶽や小金ヶ嶽などの急坂に比べればどうってことはない。



下り坂の向こうに衝原湖が見える。藪のなかにある朝日山の山頂も制覇し、シビレ山を目指す。



標高465mのシビレ山を制覇。妙な名前の山だが、丹生(水銀)中毒のため体がシビレたことからの命名だとも聞く。ヤバい名前だけど、山頂は静かで、誰かの落とし物だろうか、木の枝に括り付けられたスカーフが静かな風に揺れている。



あとは下山するだけ。ここまで順調すぎて、全然疲れてもいない。こういう時に魔が差すものだ。赤いペンキで書かれた矢印が指し示す藪のなかへ突き進んでいってしまう。YAMAPのマップには示されていないが、面白そうだ。



が、いつまで経っても藪のなか。数mおきに無造作に木の幹や枝に赤いスプレーインキで書かれたマークがあるが、YAMAPが示す下山路ともかなり離れてきて、さすがに不安になってきた。以前は猪突猛進していたものだけど、冷静に撤退する。



しかし次の分岐で、予定していた下山路ではなく、コウモリ谷という名に惹かれて、マイナー(といってもYAMAPでは実線の道)な下山路を進む。最初は順調に下っていったけど、その後この選択がここまでの快適な気分を一変させてしまうことになる。



北山という小さな山を越えると、道はどんどん分かりにくくなる。シダで覆われてどこを進めばいいのか、この後どうなるのか、不安が募るが、ここまで下ってくると、もとの分岐点に戻る気がしない。このまま進むしかない…。



衝原湖が近づいてきた。綺麗な景色なんだけど、実は足元は急坂で超不安定な状態で写真を撮っている。地図で見ると、ここから湖畔までの間、等高線の間隔がひどく狭い。相当やばい下り道になりそうだ。



途中まで木の枝に括り付けられていたテープ類もあまり目にしなくなり、ホントにこんな下り道を行くのか不安いっぱいのまま、ずり落ちるように急坂を降りていく。おかしいぞ、と思って来た道を戻り、どこかもっと緩やかな下り道がないのか確認するが、結局また同じ道をずり落ちていく。



這う這うの体で下山してくると、最後は渓流に架けられた幅15㎝ほどの木橋を渡らなければならない。足を踏み外したら湖まで流されていきそうだ。さらに橋を渡った後、一見行き止まりになっていて愕然としたけど、堤防の隙間を攀じ登って遊歩道に戻ることができた。この道で正かったのだろうか。コウモリ谷は私有地のため、入山を歓迎していないようだ。ここに辿り着くまでそんな注意書きはなかった。今回は勘弁してもらいたい。



快適な山歩きだと思っていたら、油断大敵、最後の最後で肝を冷やすことの連続。予定通り西に大回りして緩やかな下山路を行くべきだった。全歩行距離は10kmほどだけど下山終盤の1kmでエネルギーの90%を消費した。



下山すると、明日にも新型コロナで緊急事態宣言が発せられそうだと知る。地元兵庫県も対象になるようだ。このような山歩きが感染拡大に与える影響は至極僅少なものだとは思うけど、ひとりひとりに少しでもリスクを低減させる努力が求められている。しばらくは近所の散歩に留めることにしたい。このブログも当面開店休業だ。

多紀連山(丹波篠山市)

2020年4月4日


丹波篠山市にある多紀連山(多紀アルプス)に出かける。おもに御嶽、小金ヶ嶽、西ヶ嶽の3峰を中心とした山々だ。今日は御嶽、小金ヶ嶽の縦走を試みる。



まずは多紀連山の最高峰、御嶽の頂上を目指す。火打岩集落の登山口からいきなりの急傾斜の丸太階段が延々と続き、出鼻を挫かれる。



高度があがると、そこそこ眺望が開けてきた。緩やかな登坂になり、へっぽこハイカーにも優しい道がしばらく続く。



大岳寺跡。かつて御嶽は大峰山を凌ぐ修験道行場として栄えていたという。しかし1482年、大峰山からの山伏300人に攻め込まれ、大岳寺を始め全てが焼き払われたという。応仁の乱で将軍家をはじめ守護大名家でも争いが続いていた同じ頃に、修験道の世界でも激しい諍いが繰り広げられていたことが興味深い。



さらに標高があがると、再び勾配は急になる。しかも岩稜地帯だ。ゴツゴツした岩を攀じ登って、上へ上へと進んでいく。幸い岩石は脆いものではなく、足場が崩れるようなことはない。



頂上に近づくと、気に展望が広がり、篠山の街が遠くに霞んで見える。



標高793mの御嶽の頂上。東西2峰に分かれているが西側がわずかに高い。どうしたことか、頂上碑は無い…。何人ものハイカーがここで休憩をしていて、これから進む小金ヶ嶽への道についての情報収集を行う。



御嶽の東の峰には石造りの祠が残されていて、役行者が祀られている。防空壕の入り口みたいな造りだ。



御嶽を東に下り、小金ヶ嶽を目指す。随分と温かくなったとはいえ、標高が高いせいかこのあたりの樹々は未だ芽吹いたばかり。まだ緑は見られない。



小金ヶ嶽に行くためには一旦300mくらいは下らなければならない。急勾配の下り坂は結構体力を消耗するし、足腰へのダメージも小さくない。聞くところによれば、小金ヶ嶽は御嶽より標高は低いものの、鎖場が続く急峻な道になると聞く。大丈夫かぁ…?



御嶽と小金ヶ嶽の鞍部は「大たわ広場」という公園になっていて車でも来ることができる。「たわ」とは山の鞍部ということのようだが、「山定」(山編に定)と書くようだが、この辺りでは漢字表記の表札も多いのに、パソコンには入っていない文字だ。



大たわ公園のベンチで昼食タイム。篠山市内で購入した鯖寿司だ。若狭から京までの鯖街道は有名だけど、若狭から篠山までもやはり鯖が運搬されていたらしく、篠山では昔から鯖寿司が好んで食べられていたらしい。油が乗っているのにしつこくなく旨かった。



お腹も満たされたことだし、意を決して小金ヶ嶽を目指す。なんと登山道はフィールドアスレチック場のなかを通過している。高い木の間を綱渡りのように渡る若い女性の甲高い悲鳴を頭上に聞きながら進んでいく。



話には聞いていたけど、鎖場が連続して現れる。かなりの高さまで鎖を使って攀じ登っていく。登るのはまだしも、こんなところを降りるのはイヤだなぁ…と、頂上に着く前から下山のことが心配になってくる。



急坂ばかりが続くなかで、ようやく一息つける所を見つけた。眺望は良く、山また山が連なる丹波の風景に見入ってしまう。ところがここで強風に帽子を谷底まで飛ばされてしまう。



岩稜地帯を攀じ登っていく。以前の滑落事故の後遺症で、右足の股関節の可動域が狭いので、慎重かつ小刻みに足場を確かめていく。二度と滑落事故は御免だ。



帽子は失ったが、無事小金ヶ嶽頂上まで登ってきた。御嶽と同様、頂上からの眺望方位を示す切株状の案内施設が設置されている。



さあ、いよいよ下山だ。登りのときほどではないが、やはり鎖場が随所に現れる。岩肌を横移動するための鎖場もあったりする。一見、どうやって下まで降りるんだ?と思わせる場所に何度も出くわす。



「登山道」を示す案内標識が要所にあるのには助けられる。大きな岩の向こうに道があるなんて、標識がないと気が付かない。



しばらく下っていくと、沢が現れる。沢辺に生えているのがどうやらクリンソウのようだ。多紀連山は日本でも数少ないクリンソウの群落地なんだそうだ。5月頃には赤や薄紫の花を咲かせるらしい。



沢沿いに道があるというより、沢そのものが道という感じだ。一体どこをどう歩けばいいのか、右に左に渡渉を繰り返していく。最近、箕面の剣尾山など、沢道を下って酷い目に会うことが続いている。なんだかイヤは予感がするぞ。



もう少しで下山、というところで気が緩んだのか、大事故発生。渡渉の際に踏んだ石がグラリと動き、なんと川のなかに転んでしまう。全身の3割ほどが水没するという大惨事だ。防水のスマホに買い替えていてホントに良かった。



下半身ビショビショの状態で登山口の火打岩まで戻ってきた。暖かい日で良かった。ズボンが多少乾くまで、桜をボンヤリと眺める。桜の向こうに見えるのが御嶽だ。



本日の歩行軌跡。いつものRunkeeperの歩行軌跡地図では山の雰囲気がまるで出ないので、今回は等高線のあるYAMAPの歩行軌跡を掲載。歩行距離は10km弱。



こちらはYAMAPの高度記録。御嶽も小金ヶ嶽もかなり急峻だったことが判る。へっぽこハイカーにとっては厳しい山だった。



それにしても消費カロリー3499kcalというのは、どこまで信用していいのだろうか。ご飯10杯余分に食べても太らないということかぁ??