2020年4月4日
丹波篠山市にある多紀連山(多紀アルプス)に出かける。おもに御嶽、小金ヶ嶽、西ヶ嶽の3峰を中心とした山々だ。今日は御嶽、小金ヶ嶽の縦走を試みる。
まずは多紀連山の最高峰、御嶽の頂上を目指す。火打岩集落の登山口からいきなりの急傾斜の丸太階段が延々と続き、出鼻を挫かれる。
高度があがると、そこそこ眺望が開けてきた。緩やかな登坂になり、へっぽこハイカーにも優しい道がしばらく続く。
大岳寺跡。かつて御嶽は大峰山を凌ぐ修験道行場として栄えていたという。しかし1482年、大峰山からの山伏300人に攻め込まれ、大岳寺を始め全てが焼き払われたという。応仁の乱で将軍家をはじめ守護大名家でも争いが続いていた同じ頃に、修験道の世界でも激しい諍いが繰り広げられていたことが興味深い。
さらに標高があがると、再び勾配は急になる。しかも岩稜地帯だ。ゴツゴツした岩を攀じ登って、上へ上へと進んでいく。幸い岩石は脆いものではなく、足場が崩れるようなことはない。
頂上に近づくと、気に展望が広がり、篠山の街が遠くに霞んで見える。
標高793mの御嶽の頂上。東西2峰に分かれているが西側がわずかに高い。どうしたことか、頂上碑は無い…。何人ものハイカーがここで休憩をしていて、これから進む小金ヶ嶽への道についての情報収集を行う。
御嶽の東の峰には石造りの祠が残されていて、役行者が祀られている。防空壕の入り口みたいな造りだ。
御嶽を東に下り、小金ヶ嶽を目指す。随分と温かくなったとはいえ、標高が高いせいかこのあたりの樹々は未だ芽吹いたばかり。まだ緑は見られない。
小金ヶ嶽に行くためには一旦300mくらいは下らなければならない。急勾配の下り坂は結構体力を消耗するし、足腰へのダメージも小さくない。聞くところによれば、小金ヶ嶽は御嶽より標高は低いものの、鎖場が続く急峻な道になると聞く。大丈夫かぁ…?
御嶽と小金ヶ嶽の鞍部は「大たわ広場」という公園になっていて車でも来ることができる。「たわ」とは山の鞍部ということのようだが、「山定」(山編に定)と書くようだが、この辺りでは漢字表記の表札も多いのに、パソコンには入っていない文字だ。
大たわ公園のベンチで昼食タイム。篠山市内で購入した鯖寿司だ。若狭から京までの鯖街道は有名だけど、若狭から篠山までもやはり鯖が運搬されていたらしく、篠山では昔から鯖寿司が好んで食べられていたらしい。油が乗っているのにしつこくなく旨かった。
お腹も満たされたことだし、意を決して小金ヶ嶽を目指す。なんと登山道はフィールドアスレチック場のなかを通過している。高い木の間を綱渡りのように渡る若い女性の甲高い悲鳴を頭上に聞きながら進んでいく。
話には聞いていたけど、鎖場が連続して現れる。かなりの高さまで鎖を使って攀じ登っていく。登るのはまだしも、こんなところを降りるのはイヤだなぁ…と、頂上に着く前から下山のことが心配になってくる。
急坂ばかりが続くなかで、ようやく一息つける所を見つけた。眺望は良く、山また山が連なる丹波の風景に見入ってしまう。ところがここで強風に帽子を谷底まで飛ばされてしまう。
岩稜地帯を攀じ登っていく。以前の滑落事故の後遺症で、右足の股関節の可動域が狭いので、慎重かつ小刻みに足場を確かめていく。二度と滑落事故は御免だ。
帽子は失ったが、無事小金ヶ嶽頂上まで登ってきた。御嶽と同様、頂上からの眺望方位を示す切株状の案内施設が設置されている。
さあ、いよいよ下山だ。登りのときほどではないが、やはり鎖場が随所に現れる。岩肌を横移動するための鎖場もあったりする。一見、どうやって下まで降りるんだ?と思わせる場所に何度も出くわす。
「登山道」を示す案内標識が要所にあるのには助けられる。大きな岩の向こうに道があるなんて、標識がないと気が付かない。
しばらく下っていくと、沢が現れる。沢辺に生えているのがどうやらクリンソウのようだ。多紀連山は日本でも数少ないクリンソウの群落地なんだそうだ。5月頃には赤や薄紫の花を咲かせるらしい。
沢沿いに道があるというより、沢そのものが道という感じだ。一体どこをどう歩けばいいのか、右に左に渡渉を繰り返していく。最近、箕面の剣尾山など、沢道を下って酷い目に会うことが続いている。なんだかイヤは予感がするぞ。
もう少しで下山、というところで気が緩んだのか、大事故発生。渡渉の際に踏んだ石がグラリと動き、なんと川のなかに転んでしまう。全身の3割ほどが水没するという大惨事だ。防水のスマホに買い替えていてホントに良かった。
下半身ビショビショの状態で登山口の火打岩まで戻ってきた。暖かい日で良かった。ズボンが多少乾くまで、桜をボンヤリと眺める。桜の向こうに見えるのが御嶽だ。
本日の歩行軌跡。いつものRunkeeperの歩行軌跡地図では山の雰囲気がまるで出ないので、今回は等高線のあるYAMAPの歩行軌跡を掲載。歩行距離は10km弱。
こちらはYAMAPの高度記録。御嶽も小金ヶ嶽もかなり急峻だったことが判る。へっぽこハイカーにとっては厳しい山だった。
それにしても消費カロリー3499kcalというのは、どこまで信用していいのだろうか。ご飯10杯余分に食べても太らないということかぁ??