甲南山手から本庄山・金鳥山【六甲山系】

 2023年8月31日


久しぶりの軽い山歩きのつもりが驚くほどに超ヘトヘトになってしまったことに少なからずショックを受けたのは先週のこと。37度を越した先週と比べて、今日の予想気温は33度。随分と楽なはずだ。山麓リボンの道の始発点の標石が立つ甲南山手駅から魚屋道を目指す。



甲南山手駅から北西へ、国道2号線沿いの赤鳥居で知られる森稲荷神社を通過するあたりから早くも本格的な上り坂が始まる。気温はやや低そうだし、さらに日射しが弱いのが助かる。かなり歩きやすそうだ。



しかし甲南女子大あたりまで歩いてくると、既に汗でビッショリ。女子大生が毎日歩いて通学しているところだと言うのに…。神戸の女子大や女子高の多くは山麓にあるため、神戸の女性は美脚が多いなんていう都市伝説のようなものを思い出しながら、更に進んでいく。



登山口までやってきたときには早くも息もあがってきた。「一人三石運動」と書かれた木箱が設置されている。登山道補修のための小石を3つ各ハイカーに運んでもらいたいとのことだけど、負担になる重さでもないので7~8個の小石をポケットに入れて山に入っていく。



もとは東灘で採れた魚を有馬に運んでいた道と言われ、六甲山に向かうメインルートだった魚屋道だけれど、今では芦屋ロックガーデン経由の道に主役の座を奪われ、ハイカーも少ない寂しい道になっているように思う。



時刻は正午過ぎ。真夏にこんな時刻から山に入るべきではなかったと悔やみながら、噴き出す汗を拭いながら進んでいく。蝉の鳴き声に励まされ、蚊の羽音に急かされるが、少しもペースは上がらない。相変わらず息が簡単にあがるうえに、足腰もひどく重く感じられる。



六甲山系の谷道はどこでもそうなんだけど、堰堤を巻く階段が一番鬱陶しいんだけれど、今日は格別だ。大した階段でもないんだけれど、息苦しさに耐えかねて、蚊に襲われることも承知で階段に座り込んでしまう。



スマートウォッチの心拍数も随分と高い。しかもしばらく休憩していてもなかなか心拍数が戻らない。幸い、木陰に入るとかなり涼しく、ちょっと風も通る。蚊さえ気にしなければ、結構良い休憩ポイントは少なくない。



なんということも無い階段なんだけど、今日は辛い…。まだ山歩きも序盤だというのに、足もおかしくなってきたように感じ始める。暑さのせいばかりとは思えない。最近の運動不足に加えて、加齢に伴う急激な体力低下を否定できない…。



突如、左太腿裏側からお尻にかけて、電流が走るような痛みを感じる。足を攣ったときの感覚にも似ているけれど、今まで痛みや痙攣をあまり経験したことが無い部位だ。芍薬甘草湯を飲んで、有難いことに道端に設置されていた簡易なベンチで長々と休憩する。



もう少し進めば登り坂は終わり、風吹岩と続くなだらかな道に出るはずなので、足を引きずるように前に進んでいく。木陰はいいんだけれど、行く手に直射日光が差し込む暑そうな場所が見えると、つい怯んでしまう。



普段なら何ということもないザレた道を登るのも辛い。周囲に木が無いので日を遮るものもなく、左脚にいつ再発するか判らない爆弾を抱えたような気持ちで、ゆっくりと登っていく。



蛙岩・会下山遺跡からの登山道に合流。ここで会下山方面に下山しようかと思っていたのだけれど、疲れ果てているというのに、なぜか二択を迫られるともう少し頑張ってみようと考えてしまう。



でも下山しなかったことの後悔はすぐにやってきた。もうほとんど登り坂は無いはずと思っていたんだけれど、元気な時には何とも思わないのに、ダメージを受けた体には結構厄介な道が続く。腰を下ろし、息を整え、足腰の疲れを労わることを繰り返す。



やれやれ、ようやく風吹岩に続く道にやってきた。ここからは西に進んでも東に進んでも大した坂もなく、歩きやすい道が続くはずだ。風吹岩から高座滝への岩稜を下るのは今日の体調では不安なので、金鳥山方面に向かうことにする。



なだらかな道を歩いて、ようやく息遣いも足腰の状態も落ち着いてきた。もっとも日射しはきびしく暑いことに変わりはない。



本庄山(424m)のピークをかすめて、岡本に向かって下っていくことにする。暑さのピークも過ぎ、多少涼しくなってきたような気がするのだけれど、なぜか体が異様に熱いように感じる。休憩しながらゆっくり下りていこう。



金鳥山方面に向かっていつもの尾根道とは違って、久しぶりに谷道を通っていく。杉の木が日射しを遮ってくれるのに加えて、とても涼しい風が谷を噴き上げてくる。ようやく体の調子も落ち着いてきたように思う。



再び尾根道に合流。左が歩いて来た谷道、右が尾根道。YAMAPでは尾根道が赤の実線(一般登山道)、谷道はマイナールートを示す黒の破線、と扱いが大いに異なるけれど、ここの谷道は赤の実線にしてあげたいほどに歩きやすい道だ。



登山道を少し外れて金鳥山(338m)の山頂へ。以前、苦労して金鳥山山頂碑を見つけたんだけれど、今日は見つからない。GPSによればこの辺りが山頂ということで間違いなさそうだけれど、記憶している風景とかなり異なる。



保久良神社から岡本に下る道は、実は結構苦手な道だ。段差の大きい石段が長々と続く。今日のように足腰がおかしい日には選ぶべきではないんだろうけれど、歩行距離の最短化を優先して、慎重に下りていく。



保久良神社の梅林を突っ切って岡本へと下っていく。こんな短い距離の低山歩きだというのに、足は痛いし、体は疲れはてている。確かに暑いとはいえ、最近ではかなりマシな暑さ。体のどこかがおかしいとしか思えなくなってきた。



距離わずか5.9㎞、獲得標高475m。3時間ほどで軽く登って下ってくるつもりが6時間近くも掛かってしまった。記録によれば途中で合計2時間半も休憩しているのだから当然といえば当然だ。何かがおかしい…。






鷹尾山・城山【六甲山系】

 2023年8月23日


このところ気忙しい日が続いたうえに酷暑やら豪雨やらで、6月の甲州街道歩き以来2ヶ月間歩かない日が続いていたけれど、意を決して自宅からもっとも近い山と思われる鷹尾山・城山に向かう。午前11時で既にメチャクチャ暑く、城山が普段より随分と高く見える。



城山、鷹尾山は、ロックガーデンのある六甲中央嶺と高座谷を挟んで東隣に連なる尾根にある。高座滝への道の途中にある城山への登山口への分岐は素通り。今日は高座滝から尾根に登る道に初挑戦してみたい。



阪急芦屋川駅から30分も歩くと、早くも全身は汗でグッショリ。最近の運動不足のせいか、息もあがる。今年購入したネッククーラーもとうに溶けきってしまい、ただのゴムの首輪のようになってしまった。



ロックガーデン入口までにまさかの休憩を挟みながらやってきたが、酷暑のせいで既に気力も体力も尽き果ててしまったようにさえ感じる。



高座滝を眺めながら、茶屋前のベンチで長々と休憩。早くもロックガーデンから下山してくる人を見ながら、真夏は遅くとも朝7時には山に取りつかないとダメだよなぁ…、今日は帰ろうかなぁ…などと考えながらボンヤリ過ごすが、下山する元気さえ容易に復活しない。



長い休憩の後、高座滝の脇にあるか細い道を登って鷹尾山の尾根へと向かう。等高線を見る限りかなりの急勾配のようだけれど、熱中症で倒れないよう、休憩と水分をしっかり摂りながら、ゆっくりゆっくり登っていこう。



YAMAPでは実線表示の道ではないので、かなり荒れた道を覚悟していたけれど、序盤は階段も設置されていて歩きやすい。もっとも楽々歩いて行けるという訳ではなく、すぐに息があがって座り込んでしまう。暑さのせいばかりではなく、明らかに運動不足だ。


ところどころに標識もあるので、迷いようがないと思ってはいるものの、枝道が多く、進路に悩まされる。おそらく方向さえ間違わなければ目標の尾根には到達できるはずだけれど、疲れているせいか、あまり呑気な気分にもなれない。



こんな道でいいなかなぁ…。決して難路ではないんだけれどロープ場があったりして、思っていたよりもシンドイ道が続く。季節さえ良ければ、どうってこともないのかもしれないけれど、今日は少しの坂が随分と堪える。



わずなか距離に随分とシンドイ思いをさせられて、なんとか鷹尾山の尾根に辿りついた。ここを北上すれば有名な岩梯子だけれど、ちょっと立ち寄ってみようなんて気持ちは微塵も起きない。



尾根道を南下して鷹尾山へと向かう。さらに続く登り道で、早く帰りたいなぁ、冷たい水が飲みたいなぁ、なんてことばかり考える。持ってきた水はお湯のように温まっている。



鷹尾山山頂(272m)。岩梯子を経由して荒尾山に向かう際には、知らぬ間に素通りしてしまう存在感の薄い山なんだけれど、今日は無事辿り着いたという安堵感と達成感がある。甲山より低い山なのに…。



鷹尾山を過ぎて、城山へと向かう。芦屋の町からも良く見える鉄塔に向かって、気持ちのいい尾根道が続く。ようやく息切れなしに歩けるような道になってきて、緊張感も緩んでいたところに、結構大きなヘビ(たぶんアオダイショウ)が目の前を横切り、腰を抜かしそうになる。



城山山頂(262m)。神戸や芦屋の町を見渡すことができるベンチが設置されている。午後2時には雨が降るとの予報だけれど、降りそうには見えず、随分と長々と休憩してしまう。



街並みを見下ろすように芦屋の町へと下りていく。高座滝からの道と比べれば、一般登山道だけによく整備されていて、勾配も緩やかで歩きやすい。ただ、日が陰って風が吹くと多少は涼しく感じるのだけれど、それでもメチャクチャ暑い。



下山路にある岩のうえに、誰かが今日の日付に併せて小石を並べている。こんなに暑い日が続くというのに、きっと毎日登っている方がおられるのだろう。



あまりに暑すぎて、雨を期待していたところもあるんだけれど、雨に降られることもなく、無事下山。(下山1時間後には猛烈な雨が降り始めた) 距離4.1㎞、獲得標高300m、所要時間は2時間50分。もっとも半分ほどの時間は高座滝や城山で座り込んでいた。