妙見山ハイキング(能勢)

2015年10月18日(日)


能勢の妙見山へのハイキングに出掛ける。標高660mのこの山に登るのは、およそ7年ぶりのことになる。数多い登山路のうち、前回は上杉尾根から登り、新滝道で下ったので、今回は初谷渓谷から登り、大堂越で下るとしよう。最近にしては気温が高いが、能勢電鉄駅妙見口駅から水分をたっぷり持って出発する。



初谷渓谷コースは距離は長いものの、渓流に沿った比較的なだらかな道が続く。序盤は快調に歩を進めていく。



途中までは地道とはいえ、車も通れるため、河原でキャンプやバーベキューを楽しむグループも見られる。



中盤になると、さすがに道も狭くなる。ところどころに、緊急通報ポイントなるものが建てられているが、へりコプターで人が攣られているイラストが描かれている。駅前の観光案内所で、中高年の女性グループの「どのルートが一番楽ですか?」の質問に、係員さんが「楽なルートなんてありません。事故がとっても多いんです。」と厳しい口調で答えていたことを思い出す。



中盤からは沢渡りを繰り返す。幸い水量は大したことはないが、グラつく石に注意しながら、おそらく10数回、左岸と右岸の間を行ったり来たりを繰り返す。天気もいいし、水も澄んで空気も美味しい。



徐々に、沢渡りというより、沢歩きになってくる。水量が増したときには、到底歩けるところはなかろう。終盤に近づくと、登りがだんだん厳しくなってくる。



石がゴロゴロしている沢歩きをしているうちに、大変な難路に差し掛かった。木々を掻き分けて前へ進もうとするも棘のある枝がシャツや帽子に引っ掛かって身動きがとれなくなる。腕にも多数の傷を負う羽目に陥り、思い余って沢の上の不安定な土手に攀じ登ったところ、遠く後方に人影を発見。なんと、こちらではなく、別な方向に登っていくのを見て、初めて自分が間違った道を進んでいることに気付く。このまま突き進んでいたら、どうなったことやら・・・。



初谷渓谷を抜け出し、一旦自動車道に出るが、すぐにハイキング道が現れる。おおさか環状自然道の標識がある。能勢の三草山とか、枚方の国見山とか、アチコチでこの標識を見る。いつか制覇したいように思うのだが、その全貌を記したマップは、どこを探しても見つからない。



序盤の緩やかな道が続くはずもなく、終盤は急坂を攀じ登っていく。



途中道を間違ったものの、妙見口駅を出発して2時間弱で妙見山本殿に到着。北辰(北極星)の神様、妙見大菩薩を祀る寺院だが、境内のアチコチで見られる寺紋は、北極星というより、十字架に見えて仕方ない。能勢が生誕地という高山右近の帰天400年の幟を駅近くで数多く見てきたせいかもしれない。



日蓮上人の銅像も建てられ、間違いなく日蓮宗の古刹なんだけど、隠れキリシタンと関係があるのではなんて話も創作できそうな気がする。それにしても、頂上近くに建てられた星嶺と名付けられた信徒会館も、いかにも西洋的に見える。2階は礼拝堂になっているらしい。



星嶺の傍にある展望台からは、妙見山の北側を見渡すことができる。妙見山の山頂付近は、大阪府豊能町と兵庫県川西市の境界になっている。



実際の山頂を訪れる人は少ない。慰霊塔に隠れて、ここが三角点ですよ、頂上ですよ、と矢印で示した看板が立てられている。



どういうことかは不明だが、石塔の上にある馬の像は、檻の中に入れられている。



 能勢妙見山の登頂記念のスタンプ。日付印もある。



帰りがけに、境内の鐘を巡るというスタンプラリー的なものを発見。あらためて境内を一周してスタンプを制覇を目指す。



結縁の証、って 縁結びのようなことだろうか。7ヶ所のスタンプの文字を並べると南無妙法蓮華経となる。



混みあうリフト乗り場を横目に、予定どおり大堂越ルートで下山する。妙見山って、ケーブル&リフトでも、路線バスでも、自家用車でも来れるせいか、思いのほか人が多い。比較的手軽な山登りを楽しむ人も少なくない。



大堂越ルートは、かなりの距離は短めではあるが、道幅も狭く、坂も急峻だ。ステッキを持って来なかったのが悔やまれる。



前半は林道歩き、後半は沢歩きのようになる。いずれも急坂のため、転倒しないように歩幅30cmほどのヨチヨチ歩きで進まなければならないところが多い。



妙見山といえば、ブナ林が有名だが、クヌギも名高い。この台場クヌギ林は全国で10ヶ所ある林業遺産のひとつに指定されているそうだ。室町時代から、ここのクヌギが、池田市の菊炭の材料として使われてきたという。



1時間ほどで下山。 妙見の森ケーブルの麓、黒川駅に到着する。



黒川駅から、能勢電の妙見口駅までは1キロ半ほどの里山歩き。能勢電が主催して、妙見山周辺でスタンプラリー形式で各種のアートを見て回るイベントが開催されていたが、これらの案山子もその一環なんだろうか。やけにたくさんあるのはいいが、飛鳥あたりで見かける凝ったものではなく、十字架に古着を着せただけのような、簡単な造りのものが多い。



黒川駅から妙見口駅までの間にあった100体ほどの案山子を勝手に採点させていただいた結果、最優秀作品に輝いたのは、このフラダンス衣装?を纏った女性だ。



本日の歩行軌跡。 歩行距離11.7km、19000歩。所要時間は、頂上での休憩や参拝などを含めて4時間余り。



歩行スピードと標高のグラフ。両者が対称形になっているのが面白い。まあ、頂上付近は登りも下りも急坂だったし、頂上では寺院参拝でゆったり歩いていたので当然の結果かもしれない。先週の比叡山に続き、緩坂を登り、急坂を下るというコース取りになった。おそらく逆コースだと、5割増しくらいで疲れるように思う。


さほどの疲れもなく、日の高いうちに帰路につく。少々物足りなくも感じるが、次の日に疲れを持ち越すことの無い、この程度の山歩きが、今の自分の体力には丁度いいのかもしれない。

灘の酒蔵巡り(沿線散歩2015)

2015年10月17日(土)


近鉄・阪神・山陽の3電鉄が共催する3社沿線クイズ&スタンプラリー(沿線散歩)が今年も始まった。怪我で入院していた1年を除いて、8回目くらいの参加となるはずだ。当然今年も10コース全てを回りきるつもりだが、まず1コース目として、神戸灘の酒蔵巡りを選択。魚崎駅にやってきた。



魚崎駅から大石駅までの間に点在する灘の酒造メーカーを歩き回るという、歩行距離6.5kmの超メジャーのウォーキングコース。毎年定番コースばかりを設定している近鉄ならともかく、阪神にしては、いつになく新規性に欠けるコースを出してきたものだ。



まあ、丁度「灘の酒蔵探訪スタンプラリー」も始まったことなので、併せてやっつけてしまおう。というか、この2つのスタンプラリーは、ルートが全く一緒なのだから、否が応でも2つのスタンプラリーを同時達成することになる。



まずは魚崎駅から歩いて数分にある櫻正宗記念館へ。おそらく元は酒蔵だったものが、今は日本酒関連商品の販売店、レストラン、酒造工程の展示などに利用されている。今回のスタンプポイントになっている他の「酒蔵」と同様、今は隣接した敷地で近代的な酒造工場が稼働している。



日本酒の発祥の地と言われる三輪明神の杉玉。 ほぼ例外なく、造り酒屋の軒先に吊り下げられていて、酒の熟成度が判るようになっているらしい。冬になって新酒が店先に並ぶと、杉玉も新しい緑色のものに変えられる。今は熟成された「ひやおろし」のシーズンということになる。



神戸市では「灘の酒による乾杯条例」が制定されているようだ。酒どころ伏見を有する京都市でも随分前に「日本酒で乾杯条例」なるものが施行されている。でも、京都市での制定はキリンビールが京都工場を閉鎖した後だったはず。神戸市には、今もキリンビールの神戸工場が主力工場として稼働中のはずだが・・・。



2つめのスタンプポイントは、浜福鶴吟醸工房。日本酒はもちろん、酒器やら、酒蔵職人の前掛けや、漬物から粕漬などの酒のつまみ類、アイスクリームや饅頭などの日本酒からの派生食品と、取り揃えられた商品のバリエーションは至って豊富だ。



この季節、同時開催されている「ひがしなだスイーツめぐり」と併せて、酒蔵巡りバスが運行されている。大した距離でもないし、天気もいいのに、酒やらスイーツをバスに乗ってハシゴするなんて健康的にはどうかとも思うが、利用者は結構多いようだ。



住吉川を渡って、西に進む。 河原に六甲アイランドに向かう六甲ライナーの高架軌道が走っている。六甲アイランドへの貴重な足なんだけど、景観的には、もう少し工夫の余地がなかったのかと感じてしまう。



続いては菊正宗酒造記念館。カメラ愛好家の団体と同時に到着する。大勢が構える立派なカメラと並んで、スマホで写真を撮るのが、少々気恥ずかしい。



建物は古く、昔の酒蔵を再現した展示エリアも当時の雰囲気が感じられる。



庭にある水車小屋。かつては灘五郷だけで270以上の水車があり、そこでの精米量は年間2万5千石ほどにも及んだとの説明文がある。2万5千石といえば、ちょっとした大名の石高で、大雑把に言えば2万5千人分の食糧に相当するはずだ。



白鶴酒造資料館。観光バスが何台も停車できるような駐車場を備えた大型施設だ。灘の酒蔵のなかでも最大規模を誇る。



以前、この資料館の中に、酒造り職人の人形は何体いるか、というクイズが、沿線散歩すたんぷらりーで出題されたことがある。とても広大な資料館で人形の数を確認するのに随分手間取った記憶がある。



処女塚古墳にほど近い神戸酒心館が次なるスタンプポイント。ここでのメインブランド、福寿の巨大な酒樽が設置されている。



ここでも日本酒関連商品を幅広く扱うショップとともに、豆腐や蕎麦などが美味しい、洒落たレストランが併設されている。どちらも大勢の人で賑わっている。



次のスタンプポイントの甲南漬の本拠地、「こうべ甲南武庫の郷」の傍に、電車の立体車庫がある。 下部は駐車場や店舗に利用されている。阪急OASISがあるが、この車両は阪神のもの。いつもぼんやりと車窓を眺めながら、ここに大きな車庫があることは知っていたが、このような広大な立体施設とは気づかなかった。



神戸製鋼の巨大な製鉄所(今や半分は発電所になっているが)の横を歩き、神戸製鋼からの温排水を利用した温浴施設「灘浜ガーデンバーデン」で、本日7つめのスタンプをゲット。



8つめのスタンプポイントは、神戸製鋼所が運営・一般開放している灘浜サイエンススクエア。鉄の科学館だ。



灘浜サイエンススクエアに通じる道には、枕木の跡のようなものが見られる。おそらく、かつて神戸港方面と製鉄所を繋いでいた鉄道引き込み線の名残ではなかろうか。



都賀川河口。海の香りが強い。釣りを楽しむ人が多数見られる。



呑気に歩いて来た灘五郷酒蔵巡りもいよいよゴールが近い。大石駅はすぐそこだ。



その前に最後のスタンプポイント、沢の鶴資料館にやってきた。が、何と閉館している。時刻は16時09分。案内板を見ると16時に閉館とある。ええっ、16時とは早すぎはしないか・・・と、ぼやいても仕方ない。



スタンプラリーで、現地まで足を運びながらも時間切れ等のために、全てのスタンプが押せず半端ない悔しい思いをしたことは数知れずある。でも、酒蔵巡りスタンプラリーは、3つのスタンプを集めれば賞品に応募できるし、毎年同じスタンプ。今年は、沢の鶴ひとつを押せなかったものの、ショックは小さい。



酒蔵めぐりスタンプラリーと併行して、沿線散歩スタンプラリーも無事ゴール。大石駅の駅スタンプを押してもらう。これが電鉄会社の公印のようなものだとは理解しているが、なんとも愛想がない。スタンプラリー期間中だけでも特別スタンプを押してくれるなどしてくれれば、さらに張り合いが出るんだけどねぇ・・・。



いつの間にか、酒蔵めぐりのスタンプポイントが減っている。小規模で、土産物店などが充実していない酒蔵にとって、この種のイベントへの参加意義が見当たらないのかもしれないが、見学の値打ちがあるのは、むしろ昔ながらの酒造を今も続けている酒蔵。ちょっと残念なことだ。