2015年10月17日(土)
近鉄・阪神・山陽の3電鉄が共催する3社沿線クイズ&スタンプラリー(沿線散歩)が今年も始まった。怪我で入院していた1年を除いて、8回目くらいの参加となるはずだ。当然今年も10コース全てを回りきるつもりだが、まず1コース目として、神戸灘の酒蔵巡りを選択。魚崎駅にやってきた。
魚崎駅から大石駅までの間に点在する灘の酒造メーカーを歩き回るという、歩行距離6.5kmの超メジャーのウォーキングコース。毎年定番コースばかりを設定している近鉄ならともかく、阪神にしては、いつになく新規性に欠けるコースを出してきたものだ。
まあ、丁度「灘の酒蔵探訪スタンプラリー」も始まったことなので、併せてやっつけてしまおう。というか、この2つのスタンプラリーは、ルートが全く一緒なのだから、否が応でも2つのスタンプラリーを同時達成することになる。
まずは魚崎駅から歩いて数分にある櫻正宗記念館へ。おそらく元は酒蔵だったものが、今は日本酒関連商品の販売店、レストラン、酒造工程の展示などに利用されている。今回のスタンプポイントになっている他の「酒蔵」と同様、今は隣接した敷地で近代的な酒造工場が稼働している。
日本酒の発祥の地と言われる三輪明神の杉玉。 ほぼ例外なく、造り酒屋の軒先に吊り下げられていて、酒の熟成度が判るようになっているらしい。冬になって新酒が店先に並ぶと、杉玉も新しい緑色のものに変えられる。今は熟成された「ひやおろし」のシーズンということになる。
神戸市では「灘の酒による乾杯条例」が制定されているようだ。酒どころ伏見を有する京都市でも随分前に「日本酒で乾杯条例」なるものが施行されている。でも、京都市での制定はキリンビールが京都工場を閉鎖した後だったはず。神戸市には、今もキリンビールの神戸工場が主力工場として稼働中のはずだが・・・。
2つめのスタンプポイントは、浜福鶴吟醸工房。日本酒はもちろん、酒器やら、酒蔵職人の前掛けや、漬物から粕漬などの酒のつまみ類、アイスクリームや饅頭などの日本酒からの派生食品と、取り揃えられた商品のバリエーションは至って豊富だ。
この季節、同時開催されている「ひがしなだスイーツめぐり」と併せて、酒蔵巡りバスが運行されている。大した距離でもないし、天気もいいのに、酒やらスイーツをバスに乗ってハシゴするなんて健康的にはどうかとも思うが、利用者は結構多いようだ。
住吉川を渡って、西に進む。 河原に六甲アイランドに向かう六甲ライナーの高架軌道が走っている。六甲アイランドへの貴重な足なんだけど、景観的には、もう少し工夫の余地がなかったのかと感じてしまう。
続いては菊正宗酒造記念館。カメラ愛好家の団体と同時に到着する。大勢が構える立派なカメラと並んで、スマホで写真を撮るのが、少々気恥ずかしい。
建物は古く、昔の酒蔵を再現した展示エリアも当時の雰囲気が感じられる。
庭にある水車小屋。かつては灘五郷だけで270以上の水車があり、そこでの精米量は年間2万5千石ほどにも及んだとの説明文がある。2万5千石といえば、ちょっとした大名の石高で、大雑把に言えば2万5千人分の食糧に相当するはずだ。
白鶴酒造資料館。観光バスが何台も停車できるような駐車場を備えた大型施設だ。灘の酒蔵のなかでも最大規模を誇る。
以前、この資料館の中に、酒造り職人の人形は何体いるか、というクイズが、沿線散歩すたんぷらりーで出題されたことがある。とても広大な資料館で人形の数を確認するのに随分手間取った記憶がある。
処女塚古墳にほど近い神戸酒心館が次なるスタンプポイント。ここでのメインブランド、福寿の巨大な酒樽が設置されている。
ここでも日本酒関連商品を幅広く扱うショップとともに、豆腐や蕎麦などが美味しい、洒落たレストランが併設されている。どちらも大勢の人で賑わっている。
次のスタンプポイントの甲南漬の本拠地、「こうべ甲南武庫の郷」の傍に、電車の立体車庫がある。 下部は駐車場や店舗に利用されている。阪急OASISがあるが、この車両は阪神のもの。いつもぼんやりと車窓を眺めながら、ここに大きな車庫があることは知っていたが、このような広大な立体施設とは気づかなかった。
神戸製鋼の巨大な製鉄所(今や半分は発電所になっているが)の横を歩き、神戸製鋼からの温排水を利用した温浴施設「灘浜ガーデンバーデン」で、本日7つめのスタンプをゲット。
8つめのスタンプポイントは、神戸製鋼所が運営・一般開放している灘浜サイエンススクエア。鉄の科学館だ。
灘浜サイエンススクエアに通じる道には、枕木の跡のようなものが見られる。おそらく、かつて神戸港方面と製鉄所を繋いでいた鉄道引き込み線の名残ではなかろうか。
都賀川河口。海の香りが強い。釣りを楽しむ人が多数見られる。
呑気に歩いて来た灘五郷酒蔵巡りもいよいよゴールが近い。大石駅はすぐそこだ。
その前に最後のスタンプポイント、沢の鶴資料館にやってきた。が、何と閉館している。時刻は16時09分。案内板を見ると16時に閉館とある。ええっ、16時とは早すぎはしないか・・・と、ぼやいても仕方ない。
スタンプラリーで、現地まで足を運びながらも時間切れ等のために、全てのスタンプが押せず半端ない悔しい思いをしたことは数知れずある。でも、酒蔵巡りスタンプラリーは、3つのスタンプを集めれば賞品に応募できるし、毎年同じスタンプ。今年は、沢の鶴ひとつを押せなかったものの、ショックは小さい。
酒蔵めぐりスタンプラリーと併行して、沿線散歩スタンプラリーも無事ゴール。大石駅の駅スタンプを押してもらう。これが電鉄会社の公印のようなものだとは理解しているが、なんとも愛想がない。スタンプラリー期間中だけでも特別スタンプを押してくれるなどしてくれれば、さらに張り合いが出るんだけどねぇ・・・。
いつの間にか、酒蔵めぐりのスタンプポイントが減っている。小規模で、土産物店などが充実していない酒蔵にとって、この種のイベントへの参加意義が見当たらないのかもしれないが、見学の値打ちがあるのは、むしろ昔ながらの酒造を今も続けている酒蔵。ちょっと残念なことだ。