幸村が駆け抜けた大坂スタンプラリー

2016年8月11日(祝)


「山の日」ではあるけれど、この暑さのなか、山に登る気には全くなれず、大阪市交通局が大河ドラマに便乗して開催している「幸村が駆け抜けた大坂スタンプラリー」に出掛けることとする。もっとも大河ドラマでは真田信繁で通しているのに対して、こちらは実際に名乗ったのかどうかは疑義もあるものの、広く知られている幸村という名前を用いている。



交通局の主催だけあって、駅と「幸村ゆかりの地」に設置されているスタンプの双方が必要。コンプリートのためには合計12個のスタンプが必要となる。昨年の地下鉄スタンプラリー同様、600円の1日乗車券を購入し、平野区の長吉駅からスタートする。まずはスタンプポイントではないが、真田幸村大坂夏の陣で休憩したと伝わる場所を訪問する。



続いて、これまた長吉駅近くの志紀長吉神社を訪問。真田幸村が軍旗と刀剣を奉納して、戦勝を記念したという神社だが、初めて訪れる。「勝ち」を祈願して奉納する六文銭願旗が本殿にズラリと並んでいたり、幸村に因んだ様々な御守りが販売されいたり、この後のスタンプポイントになっている安居神社や三光神社と同様、真田幸村一色の神社だ。



長吉から、次のスタンプポイントになっている平野の全興寺を目指して北東方向にテクテク歩いていく。途中、阪和貨物線跡の空地を横切る。何年か前に、杉本町から加美までの廃線跡を探訪した際には、大半が住宅街の中だけに、細長い空地が無くなるのも時間の問題と思っていたが、未だ放置されたままのところが多いようだ。



平野公園にある樋尻口門跡。かつて堺と並ぶ自治環濠集落だった平野郷に出入りするための木戸があったところだ。大切な史跡なんだけど、隣の交番の自転車置き場になっているのが、ちょっろ寂しい。



樋尻口門跡の傍にある地蔵堂。徳川家康がここに立ち寄ると読んだ幸村が爆弾を仕掛けたと伝わる場所だ。お堂の脇には、幸村縁の地「平野区」と書かれた旗が設置されている。日本全国に、真田幸村のゆかりの地を自認するところは、一体どれほどあるのだろうか。



伝承によれば、家康は爆弾の難をからくも逃れ、代わりに地蔵の首が吹っ飛んだのだそうだ。その首が飛んできたとされるのが、地蔵堂から300mは離れていると思われる全興寺。とても由緒のあるお寺のはずなんだけど、地獄体験ができる地獄堂があったり、地獄度・極楽度チェックマシンがあったりの、奇妙なお寺、珍スポットとして有名だ。



全興寺の本堂の回りには、花が落花し、実も落ちた蓮が見られる。花托というのか、花軸というのか、よくは知らないが、蓮根と同様にハチの巣状になった花の部位が残っている。「ハチの巣」が転じて「ハス」という名になったという説に、納得してしまう光景だ。



地下鉄平野駅の南にあるたこ焼き屋。以前ここを通りかかった際に、大食いの高額賞金に驚いたものだが、看板がグレードアップし、さらにチャレンジメニューが多数並んでいる。20分でたこ焼き200個とは相当な量だが、賞金200万円ともなると、チャレンジャーは少なくないはずだ。



気温は35度をゆうに超えていると思われる。近道よりも影のある道を選んで、次のスタンプポイントがある天王寺を目指す。まずは阪神高速の高架下を歩いていく。



続いては、東住吉区の今川公園。川に沿った細長い公園の緑道を2~3km歩く。



そして、近鉄南大阪線の高架。 我ながら見事な道を選択したせいか、暑さの割にあまり汗もかかない。もっとも、今年初めての短パン効果もあると思われる。
河堀口駅。こぼれぐちと読む。ここでJRと交わり、ともに天王寺に向かっていく。



スタンプポイントになっている地下鉄谷町線の天王寺駅の駅長室。この駅は、いつものことだが、かなり気合の入ったデコレーションが施されている。浴衣を着た女性は、茶臼山幸子。地下鉄のPR大使なんだそうだ。この駅には、茶臼山天、茶臼山王子、という男女のマスコットキャラクターがいたはずなんだけど、幸子と天と王子の関係はどうなっているのだろう。



茶臼山。天王寺公園の改装で、入場料を払わなくても行けるようになったのは有難い。大坂冬の陣で家康の本陣になったところだが、このように写真を撮ると、ここが古墳であることがよく判る。前方後円墳なんだそうだ。



大阪5低山のひとつとも数えられる標高26mの茶臼山の頂上。登ることは容易だが、残念ながら、頂上を示す標識類は何も見当たらない。



安居神社。「真田幸村終焉の地」と書かれた石碑の横に、幸村の銅像がある。持てる力の全てを出し切って家康に挑んだ幸村の疲労困憊の様がよく判る。社務所でスタンプを押したが、ここがスタンプポイントになっているスタンプラリーが、他にいくつもあることを知る。どうやら近いうちに再訪することになりそうだ。



天王寺公園の茶臼山エントランス付近のファミリーマートもスタンプポイントになっている。ここでは、ハルカスグッズとともに、多数の真田幸村グッズも販売されている。地方の観光地では、コンビニにお土産類が置かれているのをよく見かけるが、大阪市内でこのようなコンビニは珍しいように思う。



谷町線をテクテクと北上していると、四天王寺あたりに金剛組と書かれたビルがあるのを発見。578年創業の現存する世界最古の企業と言われている宮大工の会社だ。ウンチクのひとつとして覚えてはいたが、こうして実際の本社ビルを目の当たりにすると、ちょっと感動してしまう。



玉造の近くにある三光神社。真田丸があったところだ。ここの銅像は大坂夏の陣のものだろう。安居神社のものより遥かに精悍だ。後方には真田の抜け穴と呼ばれる洞窟や、砦の復元のようなものもあって、いい感じの写真が撮れるようになっている。



さほど人が集まる神社ではなかったはずだが、さすがに大河人気で人出は多い。さらに、このスタンプラリーは長期間開催にも関わらず、各スタンプポイントに必ずといっていいほど、スタンプ台紙を持った人たちが大勢見られるという人気ぶりだ。参道には真田グッズを販売する出店まで見られた。



地下鉄玉造駅にも、相当気合が入った幸村コーナーが設営されていた。真っ赤な鎧兜で十文字槍を繰り出す幸村が格好いい。



最後のスタンプポイント、谷町四丁目の大阪歴史博物館を目指す。もう一息だ。途中、関ヶ原の戦いの直前、細川越中守忠興の妻ガラシャが非業の死を遂げた屋敷の井戸(越中井)の前を通りかかる。キリシタンのガラシャらしからぬ、仏教色の濃い史跡だ。



大阪歴史博物館、そして谷町四丁目駅でスタンプをゲットして、全制覇完了。銭を形どったものが「ゆかりの地」スタンプ、その右下の四角いものが駅スタンプだ。6つのゆかりの地スタンプで、六文銭になるようにデザインされている。



谷町4丁目の駅長室で、スタンプコンプリートのご褒美を頂戴する。 六文銭をあしらったフェイスタオルだ。この季節に相応しい品物だが、赤いタオルはちょっと目立ちすぎるかも・・・。



今日の歩行軌跡。え~っ、29kmも歩いたことになっている。よく見ると、スタート直後の長原駅前のファミレスで超早い昼ごはんを食べた際、GPS信号が不安定だったのか、歩きもせずに4kmほど歩いたことになっている。さらに天王寺駅や平野駅でも地下にいる間に、現在地が飛んでしまっていることが判る。おそらく実距離は20kmちょっとではなかろうか。



4ヶ月半のロングランというのに、このスタンプラリーに挑戦している人が異様なほどに大勢見られた。制覇賞のタオルは10000枚用意しているようだが、かなり早い時期に払底してしまうのではなかろうか。