2015年5月21日(木)
出張で福島県のいわき市で一泊。朝早く起きて、JR常磐線のいわき駅の北にある磐城平城跡に出掛ける。関ヶ原の戦いの前哨戦となった伏見城攻防戦で大奮戦の末に玉砕した守将鳥居元忠の戦功を賞して、嫡男忠政に与えられた城だ。
いわき駅は、50年ほど前の大規模合併によって誕生し、当時は全国一広い市となった、いわき市の中心に相応しい、立派な造りだ。もとは、平市の平駅だったのが、市町村合併により改称されたらしい。駅前にも商店やホテルなどが多く立ち並び、想像以上に繁華街も広く感じた。
正直なところ、磐城平城にさほどの興味があったわけでもないのだが、早朝の散歩に適当な目的地がここ以外に見当たらなかった。まあ、覚悟はしていたが、城址に至る道は寝起きにはキツイ坂道だ。
城址の入口にやってきたが、門が固く閉ざされている。
仕方なく、さらに坂道を上り、別の門までやってきたが、やはり閉鎖中。早朝のせいなのだろうか。中を覗くと、市内を見渡すことができそうな、展望広場や、手入れの行き届いた庭などがありそうだが、入れないものは仕方ない・・・。
この常磐線のいわき駅も、元は磐城平城の堀跡だったそうだ。
地方中核都市としては、駅付近にホテルはかなり多いように感じるのだが、震災復興や福島原発での作業のせいか、ほとんどが満室状態。予約を取るのにも苦労した。未だに仮設住宅暮らしを余儀なくされている被災者も多いせいか、建設中のマンションも目立つ。
天気も良く、行き交う人々にも活気が感じられるが、道端の放射能測定器は、4年前この地域を襲った悲劇を思い起こさせる。
昼食休憩で立ち寄った小名浜港。高台にマリンタワーという高さ約60mの格好いい展望台が設置されている。青と白の外装が青空に映えている。
マリンタワーから見た小名浜港。10ほどもの埠頭が並ぶ東北有数の巨大港でもあり、漁港でもある。
太平洋。説明書きによると、水平線と見えるのは45km先なんだそうだ。
港の北側には、砂浜が広がっているが、この砂浜に面した集落はすべて、津波に呑みこまれたそうだ。今見える建物は全て震災後に建てられたものらしい。
観光物産センターには、震災コーナーが設置され、震災・津波の発生から今日に至る記録ビデオなどを見ることができる。当時の避難所の様子も再現されている。段ボール紙で仕切られたスペースは実に窮屈で、避難所生活の大変さが思い知らされる。
ここでも放射能の測定記録が掲示されている。
福島空港から帰阪。ウルトラマンの生みの親、円谷英二がこの近くの須賀川市の出身なんだそうで、空港の中はウルトラマンだらけだ。ゲートのドアにもウルトラマンがデカデカと描かれている。
東京マラソンで銅メダルを獲得しながらも、その後の故障や周囲からのプレッシャーに苦しみ、ついには自ら命を絶った円谷幸吉も、同じ須賀川市の生まれだ。
ポストもウルトラマン仕様だ。近くの郵便局の風景印はウルトラヒーローたちがデザインされているらしい。
なんと、須賀川市は、「M78星雲光の国」と姉妹都市提携をしているそうだ・・・。