2018年6月9日(土)
のせでん(能勢電鉄)ハイキングのバックナンバーから、「吉川峠・旧余野街道・吉田街道コース」に出掛ける。豊能町西部から、箕面市、池田市、川西市に渡って、おもに農村部・山間部を歩くようだが、ほぼ未踏のルートだけに何が登場するのかは歩いてみなければわからない。
能勢電の終着駅、妙見口駅からスタートする。ここから東の妙見山、西の知明湖、北の野間の方面には歩いたことがあるが、南方向に歩いていくのは初めてのことになる。
山々の合間にある、さほど広くもない平地を目いっぱい利用して稲作がおこなわれている。駅からしばらくは日本の原風景のような農村地帯が続く。
しばらくは妙見山への登山路のひとつ、天台山コースと同じ林道を登っていく。が、途中でコースを外れて、ニュータウン「ときわ台」に入っていく。
実はこの「ときわ台」のなかに、以前から気になっているものがある。「桜谷軽便鉄道」という全長150mの鉄道があるというのだ。個人が所有し、法的には鉄道模型になるらしいが、相当本格的なものらしい。が、事前調査が不足していて、鉄道に辿りつくことなくギブアップ。後日、なんとか訪問したいものだ。
ときわ台を出て、豊能町と箕面市の境界を超える。豊能町って、最近は高山右近の生誕地であることをアピールしている。豊能町といえば妙見山と思っていたが、山頂は豊能、能勢、川西の3町村の境界上になるようだ。
箕面森町の造成地までやってきた。バブルが崩壊し、人口減少時代に突入したというのに、こんな山奥にニュータウンなんてムチャだと思っていたが、計画は縮小されつつも徐々に町の開発が進み、人口も増えてきている。
とはいえ、まだまだ広大な未利用地が残っているし、振り返れば奥深い山々が連なっている。この後、どうなっていくのだろうか。いずれにしても、ここが大阪府最後の大型ニュータウンになると思われるのだが・・・。
既に多くの人がここに居を構えている。山深いところで、電車の駅まではバスで30分近くかかるというが、都会の雑踏を離れて自然豊かな町で暮らしたいという気持ちも理解できる。
それにしても、山を切り開いた宅地には付き物とはいえ、階段の凄さには驚かされてしまう。
しばらく行くと、止々呂美の集落が見えてきた。谷合の渓流に沿った小さな集落で、炭焼きなど、古くからの伝統や風習が受け継がれてきたところだと聞く。こうした村落の古い世代とニュータウンの若い世代が良い形で共存・同化していくことは素晴らしいことだと感じる。
止々呂美を流れる渓流、余野川。実は、どこが街道なのかが良く判らないまま歩いているのだが、おそらくはこの余野川に沿った道が余野街道なんだろう。
静かな止々呂美の集落は、箕面森町の造成に加えて、新名神高速道路の開通により、風景がさらに大きく変化している。箕面市内や千里中央に続く箕面有料道路との合流点にもなる複雑なインターチェンジが出来上がっている。
箕面有料道路。全長7kmとはいえ、トンネル1本を通過するのに普通車620円というのは高すぎる、という声をよく聞いたが、箕面森町の分譲促進のためか、今は社会実験という名目で420円に値下げされている。
ハイキングマップのなかで数少ないランドマークとなっている中政園。椎茸狩りや栗拾いなどの農業体験やバーベキューができる施設らしいが、シーズンオフなのか、立入禁止、入園不可といった看板ばかりで、人の気配は無い。
枇杷は止々呂美の名産品だ。山道に入ると、大切に紙袋で覆われた枇杷が、アチコチで栽培されている。
止々呂美から山に入っていくと、なんとなく旧街道の雰囲気が出てきた。ノンビリと気持ちよく歩けそうなところなんだけど、山中からしきりに聞こえる鉄砲?の音のため、緊張が解けない。
不動明王なのに、動くための翼を持っている。他に例のない珍しい石仏がある。
暫く進んでいくと、どこが道なのか不明瞭になってくる。偶然通りかかった地元の方に道を教えていただいた。
しかし、さらに進むと、どこが道なのかが益々わからなくなってきた。急な下り坂に春落葉が積もり、ひどく危ない。9年前に滑落した状況と酷似している。慎重にも慎重を重ねて、木にしがみ付きながら山を下っていく。
どこかで道を間違ったのかもしれない。とても街道とは思えない坂を、ずり落ちるように下り、なんとか無事麓まで辿り着いたところに、余野街道の説明板とお地蔵様があった。方向は誤ることなく目標地点に到達した訳だから、結果オーライということにしておこう。
牡丹や紫陽花などが美しく、花の寺と呼ばれている久安寺。奈良時代に建立された古刹だというが、なんとも雅な楼門だ。
池田市伏尾温泉不死王閣の近くに、何故か明石市のマンホールを発見。近隣市のマンホールが何かの誤りで嵌め込まれている例は知っているが、池田と明石って、まるで離れているし、マンホールのデザインも全く異なる。こんな手間のかかる悪戯をする人がいるとも思えない。
伏尾から、盆栽や造園業者が多く見られる小山を越えて、川西市に入る。本日4つめの市町村となる。
鼓滝駅でゴール。古風な駅名の割には、駅舎はシンプルかつ現代的なものだ。能勢電は、鼓滝、鶯の森、滝山、絹延橋と、優雅な駅名が続く。古い地名なのか、あるいは地域ブランド向上のためのネーミングなのか。阪急の小林一三が、麻田藩の所在地を麻田駅ではなく蛍池駅にしたのと似たものを感じるのだが・・・。
本日の歩行軌跡。出発地点の妙見口駅でアプリを起動することを忘れていた。ときわ台でグルグル歩き回って桜谷軽便鉄道訪問を諦めるまで3kmくらいは歩いたはずだ。ウォーキング序盤のルートは適当に描画したものだが、歩行距離は15kmを超えていると思われる。
近いうちに、今回見逃した桜谷軽便鉄道と、止々呂美・箕面間に聳える鉢伏山登山を組み合わせて歩いてみたいものだ。