浜大津から京都北白川(山中越)

2018年7月14日(土)


京阪電車が「水の路&街道めぐりスタンプラリー」を開催している。大阪から大津に至る15ヶ所のスタンプポイントのなかには、宇治や私市など、支線の終着駅なども含まれているため、どう歩き回ればいいのかが難しい。まず今回は浜大津からスタート、近江神宮を経て、京都の下鴨神社までの山越えを敢行したい。



京阪の「びわ湖浜大津駅」からスタート。これまで浜大津駅だったものに、最近「びわ湖」が駅名の上に付けられた。琵琶湖を楽しむならJRより京阪が便利ですよ、ということをアピールしたいのだろうが、浜大津に慣れ親しんできただけに違和感は否めない。



最初のスタンプポイントは、琵琶湖遊覧船「ミシガン」乗り場。ちょうど「ミシガン」が着桟していた。つい先日ミシガン湖を訪問したばかりなので、いつもより琵琶湖が小さく見えるが、大きさばかりが値打ちではない。



このスタンプラリーのテーマは「水の路」なので、琵琶湖疎水の写真も入れておこう。もっとも、京阪沿線のどの町にも川は流れていて、その水は全て淀川に流れ込むわけだから、どこをスタンプポイントにしても「水の路」ってことになりそうだ。



大津市役所の前には、いくつもの大津絵が紹介されている。人物や動物がユーモラスに描かれてた風刺画だ。この「猫と鼠」と題する絵は、猫に喰われることも知らずに呑気に酌をしている鼠の、深く考えることもなく身を滅ぼす振る舞いを戒める教訓が隠れているらしい。



 第2スタンプポイントの近江神宮にやってきた。つい先日の米国出張での機中で、映画「ちはやふる」の最新作を見たばかり。この朱塗りの楼門の前に千葉すずや松岡茉優がいるような気分にさえなってしまう。



 かるたの聖地だけあって、境内には百人一首に関わるものがズラリと並んでいる。中学校時代、国語の授業で意味も解らず百人一首を丸覚えさせられたが、今や3割程度しか頭に残っていない・・・。



さあ、ここからが本番。山中越で京都の下鴨神社を目指す。ハイキングコースでないことは百も承知だが、京都で過ごした学生時代の思い出が多いところだけに、車ではなく、是非歩いてみたいと思っていたところだ。



それにしても、この暑さは異常としか言いようがない。山歩きをするような日ではないとは思いつつ、坂を登り始めたが、路肩にある気温表示が38℃となっているのを見て、さすがにたじろいでしまう。



車道なので急坂ではないものの、延々と上り坂が続く。さらに、ヘアピンカーブの連続で、歩きにくいこと、このうえ無い。



そもそも歩道が無いうえに車の交通量は多い。カーブの先から走行してくる車を確認するのが遅れて、道の端っこにギリギリ身を寄せて車をかわすことを繰り返す。ドライバーの「こんなトコ歩くなよ~」の声が聞こえてくるようだ。



以前、大文字山を経由して、京都から大津まで山道を歩いた際に出くわした、伊丹空港の電波塔らしきものが見える。塔の上に飛行機雲が見える。



ここが最大のヘアピンカーブ。以前と異なり木を伐採して見通しが良くなっている。大学時代、先輩が運転する車に乗っていたとき、ここでカーブを切り損ねて事故になってしまったところだ。



標高は300mくらいだろうか。大した高度でもないが、体力不足と猛暑のため、ここまでメチャクチャしんどい思いをしてきた。琵琶湖を展望できる場所で、長々と休憩する。



何度もの休憩を繰り返しながら、比叡山ドライブウェイの入口にようやく到達。料金所脇の自販機で水分を補給。幸いなことに、ここに至るまで、霊園とか工事現場とか、そこそこ自販機があったので水分補給には困らずにやってきた。



比叡山という文字が難しいことは判るが、「比ヱ山」と略するのは正しい表記なんだろうか?そもそも最近の若い世代に「ヱ」の文字が読めるのだろうか・・・。



料金所を超えると上り坂は終わり、。京都に向けて緩やかな下り坂が始まる。比叡平の住宅地のあたりは歩道もあって、随分歩きやすくなっているのだけれど、体の方はバテバテ。まるで足が動かず、そこかしこに座り込んで、水を飲むことを繰り返す。



「熱中症の危険あり、運動は原則中止」とのエリアメールが入ってくる。60歳のデブには厳しすぎる環境だ。無謀だったとは思うが、もはや進むしかない。できることは、頻繁に日陰に腰を下ろし、水分をしっかりと補給することだけだ。



山中検問所というのが現れた。京滋間をつなぐ一本道だけに、検問所が設けられているのはよく判るが、長らく使用されていないようにも見える。



旧道に入り、山中町のなかを通り抜ける。お寺、石仏、地蔵などが多く見られるところだ。門前には「蓮如上人御舊跡」の石碑がある。この石碑、全く同じものを何度も見ているように思う。本願寺で大量生産したものかもしれない。



ボロきれのように疲れきって、足を引き摺るように、薄汚れた標識がある県境を越え、ついに京都に入る。



周辺の湧き水が加勢しているのか、道の横を流れる川、京都に近づくにつれてドンドン水量を増している。木の葉にでもなって、このまま京都まで川を下っていきたいと心底思う。



右足も左足も、太腿も脹脛も、さらには肩も腰も、痙攣しはじめた。体力だけではなく、気力も既に限りなくゼロに近い。最近は驚くこともなくなったが、ここらあたりでも、熊が出没しているようだ。



ラジウム温泉がある地蔵谷。 ここまで来れば、京都盆地の東端、北白川はすぐソコのはずなんだけど、再び座り込んで長い休憩をとる。



ようやく山を下り、北白川仕伏町までやってきた。目的地の下鴨神社まではごく緩やかな下りで2km強しかないはずだが、もう一歩も歩きたくない。ここは40年前に住んでいたところだが、かつての下宿先を久しぶりに訪ねる気にさえならない。



北白川仕伏町でウォーキングは終了。マップでは17kmくらい歩いたことになっているが、途中GPS信号が不安定だったところがあり、実質は15km強くらいのはずだ。



もっとも今日は歩く距離とか、坂の昇降よりも、暑さとの戦い。しばらくは山歩きどころか、10km超のウォーキングさえ避けた方がよさそうだ。