2018年10月14日(日)
東大阪市石切で開催されている石切ラリーなるものに出掛ける。どうやらスタンプラリーとキーワードラリーを組み合わせたもののようだが、石切剣箭(つるぎや)神社の参道付近を巡るお手軽なもののようだ。
実は、この日は久しぶりに比叡山に登るつもりだったのだが、朝から身体も怠く、気分はさらに重く、朝になって行き先を変更。新石切駅から比叡山より200m以上も低い生駒山を見上げるが、あの山頂まで登る体力も気力も無いことを改めて痛感する。
石切の商店街を歩くのも何年か振りのことになる。以前は、「おどろおどろしさ」と「珍妙さ」で溢れかえっていた大阪を代表するB級珍スポットだったものだが、商店街もイメージチェンジを図っているのか、随分と明るくなったような気がする。
石切剣箭神社の本殿前は、以前よりもずっと賑わっているように思える。「でんぼ」の神様として昔から名高いところだが、お百度参りに勤しむ人が以前より随分と多いように感じられる。
石切剣箭神社付近でようやく石切ラリーの台紙をゲット。あらためて新石切駅付近まで戻って、全ポイントの制覇を目指す。本殿近くにある衛士詰所で最初のスタンプを押印。それにしても「衛士」って、伊勢神宮以外にもあるんだ。
本殿衛士詰め所ではスタンプをゲットしたが、計30あるポイントのうち24ヶ所はキーワードポイントになっているようだ。お店の名前のうえに2つの文字を書き込む空欄が用意されている。
本殿の前に鳥居があり、さらにその前に楼門のようなものがある。門ではなく、絵馬殿というらしい。屋根の上に剣箭(剣と矢)が見える。
新石切駅から、あらためてポイント1番からキーワードを集める。店頭に2文字のキーワードが掲示されているのはいいが、店を探すのが一苦労。台紙に記載されている、例えば「ソネット」という店が何屋さんなのか判らないのだ。意図的にラリーを難しくしているのかもしれない。
キーワードを集めながら、参道商店街にあるユニークなお店を楽しく見て回る。以前ほどの奇天烈さや不気味さは無くなったものの、依然、他所ではなかなかお目にかかることのできないユニークな店が並ぶ商店街だ。
煎餅屋さん、漢方薬屋さん、七味唐辛子屋さん、刀剣屋さん・・・。レトロな雰囲気が漂う専門店が軒を連ねている。
道幅が狭いうえに、双方の店の商品棚がせり出し、さらに垂れ幕やテント類が道を覆いかぶさっている。
ご老人向けのお店が多い。東の巣鴨、西の石切と、聞いたこともあるが、巣鴨はもっと垢抜けていたように思う。写真は左上から、玩具、洋服、杖、数珠を扱うお店だ。普通の商店街ではまず見かけることの無いほど、特定の品物だけを扱っている。
ずば抜けて多いのが、占いの店。大小の店がアチコチに店を開いている。驚いたことに、どの店も大繁盛している。
何人もの占い師が常駐して、いくつもの部屋がある大規模な占いの店も少なくない。占いなんて以前は馬鹿にしていたものだが、最近では「悩みを解き幸福を呼ぶ」という言葉に縋りたくなる気持ちも判るようになってきた。
東大阪市の物産観光まちづくりセンターが商店街のなかにある。市域の広さの割に観光名所の少ない東大阪が石切に力を入れているのかもしれない。近大卵にも驚かされたが、その横にいるイシキリンなる石切のマスコットキャラクターが気になる。キリンというより、昔テレビ漫画になっていた怪獣ブースカに激似なのだ。
石切大仏。「日本で三番目」との説明があるが、何が3番目なのだろうか。どうやら、奈良・鎌倉に次ぐ三大大仏のひとつだと言いたいようなのだが、大きさ的にも歴史的にも無理がある・・・。
この石切大仏を建立したのが、石切の珍妙さの大立役者、赤マムシドリンクで有名な阪本昌胤氏だ。記念館とか蝮塚とか大天狗とか、阪本氏が関わる珍スポットは石切に数多いのだが、何やら廃れているところが多い。赤マムシの阪本になにかあったのか?気になるぞ。
商店街を抜けると、一気に厳しくなる坂を登り、スタンプポイントになっている石切温泉ホテルセイリュウにやってきた。10年ほど前に研修で宿泊したことがあるが、露天風呂の真ん前を近鉄電車が走っていて驚かされたことを思い出す。
さらに坂を登り、スタンプポイントになっている石切剣箭神社の上之社を目指して坂を登っていくが、ドンドン山道になり終には行き止まりになってしまった。一本道を間違えてしまったようだ。
一旦坂を下りて、あらためて上之社への長い石段を登る。気楽な街歩きのつもりだったが、予想以上に歩かされる・・・。
近鉄奈良線の石切駅は、新生駒トンネルの坑口のすぐ手前にある。おそらく、写真左側に分岐し途切れてているレールは、旧生駒トンネルに向かう旧線の名残りではなかろうか。
石切ラリーとは関係ないが、旧生駒トンネルとその手前にあった旧孔舎衛坂駅まで足を延ばす。久しぶりに訪問した旧生駒トンネルだが、いつの間にか孔舎衛坂駅のホームも含めて、鉄条網で囲われていて近付くことができない。
この辺りまで来ると、東大阪市の向こう、大阪市内の高層ビル群も一望できる。
旧孔舎衛坂駅から再び石切剣箭神社に戻り、石切ラリーコンプリートのご褒美をいただく。ラグビーの町、東大阪のマスコット、トライくんのノートや、無料公開中の宝物殿で見せていただいた刀剣類の絵葉書などだ。
お気楽なウォーキングのつもりだったが、結局ちょっとした山歩きも含めて9kmほども歩くことになってしまった。今の体力・気力では、この程度でちょうどいい。
かつて石切神社参道の一番の見どころであった高木薬房は既に無く、お洒落なイタリアンレストランが建っている。壁土を食べる子供など種々の病状が描かれた壁画や、異様な人体模型など、あまりに怪奇な世界観に足が竦む思いをしたものだ。赤マムシの阪本関連の施設も近く姿を消してしまいそうに感じる。仕方ないとは思うが、昭和が消えていく寂寥感は禁じ得ない・・・。