2019年9月11日(水)
仕事の合間に、ニューヨークの国際連合本部の見学ツアーに参加する。30年ほど前にチョコっと訪問したことがあるのだけど、さっぱり覚えていない・・・。
事前に見学ツアーに申し込んでいたので、スムーズに入館。いきなり本会議場に案内される。きれいなお姉さんがガイドをしてくれる。
あいにく電気系統の整備のため、会議場は薄暗い。来週火曜日から国連総会が始まるだけに、最後の点検を徹底しているところなのだろう。日本からは安倍総理が総会に出席し、あの檀上で一般討論演説を行うはずだ。
長崎浦上天主堂で被爆した聖アグネス像が展示されている。右肘から先が無くなり、体には焼け跡が残る。第二次世界大戦の反省を踏まえて設立された国際連合の原点を忘れないようとのことだろう。
地雷の数々。今も世界中に放置されている対人地雷の数は1億個とさえ言われるそうだ。爆発力は即死ではなく重症相当となるようにしているという。人道的見地ではなく、敵の戦闘力削減のため最も効果的なのが介抱が必要になる重症狙いなんだそうだ。厄介なことにこの残酷な対人地雷の除去のためには設置するコストの百倍以上もかかるという。
国連本部中庭にある平和の鐘。加盟国メンバーから募った各国のコインを鋳潰して制作されたという梵鐘だ。日本が国連未加盟だった頃に平和の象徴として贈ったものなんだそうだ。
大きな絵だ。スペインのザネッティのものなんだそうだ。各国から平和を願った様々な美術品が寄贈されていて、ちょっとした美術館の様相でもある。
安全保障理事会が開催される議場にやってきた。ここまで見せてもらえるの?と、正直なところ驚いてしまった。
中央の円卓が常任理事国5ヶ国、非常任理事国10ヶ国の計15ヶ国の代表が座るところ。代表の後ろの水色の席は随員席のようで、各国に4席ずつ割り当てられているようだ。
椅子には同時翻訳のための機器が設置されているのだけど、これが意外なまでにレトロ。イヤホンは耳の上に被せる方式だし、言語を選ぶスイッチも明らかに1980年ころの製品ではなかろうかと感じさせる。
PKO活動についても様々な展示がある。当然米国をはじめとした大国が予算と同様に要員についても多くを負担しているものと思っていたのだけど、インド・パキスタン・バングラディシュが圧倒的多数、続いてアフリカ諸国なんだそうだ。紛争地の当事国や近隣国の関与度が高いということだろうか。あるいはお金は出さない代わりに人を出すということなのか、
おお、ノーベル賞のメダルだ。本物は初めて見たぞ。国連に賞を授与できる団体なんて、ノーベル財団以外にはないのではなかろうか。
信託統治理事会の議場。もっともかつて多数存在した国連信託統治地域もすべて独立国となってしまったので、理事会の活動も停止している。
安全保障理事会に比べると随分影が薄い感のある経済社会理事会だけど、議決を行う分野は、貿易、経済、人権、食糧、教育など多岐にわたる。理事国も54ヶ国あるため、議場も大きい。
経済社会理事会には日本も理事として名を連ねているようだ。
国連本部の地下にはお土産屋さんがある。国連のロゴやマークがついた帽子やシャツなどとともに、各国から出品された民芸品のようなものも売られている。
国連本部がニューヨークの真ん中にあることに、長らく違和感を持ってきた。国連が米国の影響下にあるように(少なくとも外形からは)見えてしまう。しかし実際に見学してみると、対人地雷全面禁止条約への対応など、米国を暗に批判するような内容の展示も見られるなど、国連の独立性を再認識できた。