伏見五福めぐり(2020)

2020年1月4日(土)


今年で11年連続となる伏見五福めぐりに出かける。昨日は芦屋の六社詣はさほどの参拝客でもなかったが、正月4日とはいえ、おそらく伏見は大混雑が予想される。



伏見の五社寺を回るルートは毎年色々と変えているのだけど、今年はJRの桃山駅からスタートすることにしよう。



桃山駅から最初の御朱印ポイントとなる乃木神社まで登り道が続く。駅からさほど遠いところではないけれど、茅葺のお宅が残されているなど鄙びた集落のようだな佇まいだ。



乃木神社。乃木希典を祀る乃木神社は創建100年余り。古社が犇めき合う京都では最も歴史が浅い神社のひとつだろう。多数の戦死者を出した旅順攻撃や明治天皇崩御における殉死など、乃木希典の事績に対して、現在では前近代的なものと否定する人が多いと思うだけど、多くの参拝客を集めている。少し不思議な気持ちもする。



乃木神社というのは、京都、東京、栃木、山口と4ヶ所にあり、摂社も含めれば全国で10ほどもあるという。陸軍大将だった乃木希典だけど、結構海軍関連のモニュメントも多い。乃木希典ともなると陸軍も海軍も超越した存在なのだろう。



乃木神社から桓武天皇陵の参道を通って伏見の市中へと向かう。雪で歩きにくい年もあったけど、今年は例年に比べ随分と温かい。



御香宮神社。初詣の参拝をする人が長い列をなして並んでいる。このように行儀よく並ぶようになったのはいつの頃からだろうか。昔は皆が拝殿を取り囲んで、遠くからでもお賽銭を放り込んでいたのだが…。鈴を鳴らさないとご利益が無いと考えているようだ。鈴が増えたのは戦後と聞く。今でも伊勢神宮や出雲大社には鈴がない。



大手筋商店街を通って、伏見の中心部を抜けるように中書島方面に向かう。鳥せい本店の横にある伏見の名水「白菊水」を汲むために並ぶ人は相変わらず多い。



月桂冠や黄桜など、名だたる酒蔵が並ぶ。おそらく今年も4月には伏見名水めぐりスタンプラリーでここにやってくる。酒蔵見学はその時にしよう。



灘の白鶴酒造でも見かけたが、月桂冠の駐車場のソフトドリンクの自販機にも自社の甘酒が入っている。それもホットとクールの2種類だ。



十石舟。冬季は営業をしていない。営業開始は川岸に並ぶ桜の花が綻び始める3月下旬だ。4ヶ月の休みの間、船頭さんたちは何をしているのだろうか。



十石舟乗り場の傍にある長建寺。弁財天と書いた赤旗で境内が埋め尽くされている。竜宮造の山門だとか、宝貝のお守りだとか、いろいろと異彩を放つ神社だ。



御朱印授与もユニークな方法をとっている。書き溜めした御朱印の紙片を勝手に持っていく(1枚500円を投入したうえで)方式を採用している。御朱印帳にはこの紙を貼り付けるんだろうか。おみくじもセルフサービス方式だ。



月桂冠大倉記念館の裏手、宇治川派流に沿いはまだ赤く熟した柿が見られる。今年は暖かい冬のため、柿も落ち時を見失ったのだろうか。



薩摩藩志士粛清や坂本龍馬襲撃で、幕末の大舞台となった船宿、寺田屋。毎年2度、これまで何十回とこの前を通っているけど、未だ入館したことがない…。人が少ないときに、と思うのだけど、いつだって混雑している。



庭には自由に入ることができる。龍馬像があることは当然知っていたけど、お登勢明神なるものがあるとは今日初めて気づいた。幕末の志士たちの面倒を見てきた寺田屋の女将だ。龍馬の妻お龍はお登勢の養女だから、龍馬の義母ともいえる人だ。



京都市水道局の南部営業所。酒蔵でもないのに、杉玉が吊られている。全くの誤解・邪推かもしれないが、今や直接伏水を使用した酒造は限定的で、多くは水道経由で伏水を使用しているのではなかろうか。水道局も、間接的に酒造を支えているという責任感とプライドを持って杉玉を掲げているのかもしれない。



大黒寺。薩摩藩ゆかりの寺で、島津の丸に十字が寺紋にも用いられている。寺田屋で粛清された薩摩志士の墓もここにある。



最後は藤森神社。このブログを始めたときの1枚目の写真はここで撮った。それ以来定点観測のように、伏見に来るたびに同じアングルでの写真を撮り続けている。



ここでも参拝者の長い行列ができていたけど、時間もあるし、暖かいので、珍しく行儀よく並んで参拝する。



藤森神社から10分ほど西に歩いて、JR藤森駅から帰路につく。



今年も無事5つの御朱印を頂戴し、ネズミの絵馬が完成した。



記念品には、干支の土鈴。毎年頂戴し続けてきて、これで11体になった。来年丑年にウシの土鈴を貰えば十二支が勢ぞろいすることになる。



本日の歩行距離は7km強。駅をスタート・ゴールにするなら、どこをどう歩いても7kmを下回るルートは無さそうだ。