2022年10月26日
六甲山系でも屈指の人気コースだったトゥエンティクロス。崩落のため長らく熟練ハイカーのみが自己責任で利用している…と思っていたのだけれど、神戸市が運営しているサイトに堂々と紹介されていることに気付く。ポンコツハイカーが太刀打ちできるものかどうかは不安だけれど、久しぶりにトゥエンティクロスに挑んでみよう。
神戸市経済観光局が運営する「アクセス!神戸六甲山」というサイトにある「おすすめルート」に従って、新神戸駅からスタート。駅高架下の日本最大(と勝手に思っている)の登山ルート案内標識に従って、まずは布引の滝に向かう。
確かに布引の滝までは駅から400mなんだろうけれど、旅行者が列車の待ち時間を利用して気軽に訪れることができるほどには楽な道ではない。雄滝へと向かう階段はなかなかに険しくそして長い。市ケ原までの最大の難所は間違いなくこの階段なのだ。
駅から10分ほどで布引の滝(雄滝)に到着。那智・華厳と並ぶ日本三大神滝のひとつだという。近くに神社も無いし、神滝の意味がさっぱり判らないけれど、何度見ても見事な滝だと感じ入る。苦労して登ってくるだけの価値は十分にあると思う。
布引の滝から生田川沿いの遊歩道を北上し、布引貯水池の堰堤までやってきた。紅葉が少しずつ色づいてきているのが判る。
新神戸駅を出発して1時間ほどで市ケ原に到着。平日なので櫻茶屋はシャッターが下りているけれど、主要ハイキング道の交差点のようなところだけに結構な数のハイカーがベンチに腰を下ろして休憩している。
市ヶ原の掲示板には、この数年変わることなく「トゥエンティクロスは崩落により道が消滅しているので、迂回路を利用してください」の貼り紙がある。示された迂回路は遠く高雄山の西側まで迂回する道で、神戸市のサイトに記載「斜面崩落のため迂回路が整備されています」にある迂回路とは違うもののようだ。
実際のところ、どのようになっているのか、行ってみなければ判らない。多くのハイカーが摩耶山へと向かう天狗道との分岐も、そのまま直進し、トゥエンティクロスへと向かう。
しばらく進むと地蔵谷への分岐。これまた摩耶山へと続く道だけれど、これもスルー。北へ北へと進む。
最後の分岐が、やはり摩耶山への登山道となる黒岩尾根。なんとトゥエンティクロスへと続く道にはバリケードが設置されていて「大変キケンです!!」との貼り紙がある。通行禁止ではないのだけれど、さすがにこの柵を超えていってよいものなのか…躊躇してしまう。
行けるところまで行ってみよう。危ないとなれば、迷わず引き返す、と決心して進む。幸い、生田川の上流となる渓流に沿った気持ちの良い道が続く。
しばらく整備されたハイキング道を進んできたけれど、突如ハイキング道を見失う。そんなに難しい道ではないはずなのに…。実は既に崩落場所に差し掛かっていたのに、それに気づかず、左岸(写真右側)にあるはずと思った道を探す。
無理やり川沿いに進んで行くが、どんどん危なっかしくなってくる。ついには足を置く場所も無くなり、退却を余儀なくされる。
川沿いから山側へと攀じ登っていくけれど、間もなくズルズルと足場が崩れるばかり。こんなトコを進んで行ったら滑落必至だ。
こりゃあかん。危なくなったら引き返す、と決めていたはずではないか。トボトボと市ケ原へと戻ろうとしたところで、渡渉できそうなところがあるではないか。案内表示もなく、トゥエンティクロスにありそうな整備されたものではないけれど、明らかなトレースもある。
思い込みとは恐ろしいものだ。右岸に渡って、まだ先だと思っていた崩落個所に既に到達していたことにようやく気付く。幸い、さほど危なっかしい道ではない。左岸で道を探していた時の方が遥かにヤバかった…。
かなり厳しい登りもあるけれど、ロープも張られている。もともとのハイキング道がどこにあったのか、思い出せないけれど、今進んでいるのが、崩落後に設置された迂回路のようだ。
ロープに縋りついて坂を登り切ると、見覚えのある「あじさい広場」。やれやれ崩落個所は無事通り抜けることができたようだ。渡渉個所さえ見つけることができたなら、どうってことはない道だったはずだけれど、左岸でウロウロ迷っていた疲れがここにきて噴き出した。
最近作り直された河童橋。上高地を訪れたのはもう随分と前のことで、オリジナルの河童橋をよく思い出せない…。
あじさい広場から北は元々のトゥエンティクロスのハイキング道のまま。元々はこんな感じに渡渉個所も整備されていたはずだ。
20ヶ所ほどの渡渉を繰り返して登っていくことからトゥエンティクロスと呼ばれてきた道だけれど、文字数が長く二十渉と漢字で表されることもある。上手い当て字だと感心していたけれど、なんと比較的最近建設された堰堤が公式に「二十渉堰堤」と名付けられていた。
黄蓮谷から、この夏、蚊の大群に襲われた炭谷道を経て、谷上駅に向かうつもりで歩きいはじめたけれど、このままでは下山までに日が暮れてしまいそうだ。やむなく森林植物園へと戻ることにする。
ケチらずに入場料を払って東門から森林植物園を通過すれば良かったなぁ…。又ヶ谷から森林植物園正門に向かう道は、結構な登りが続く。大した距離を歩いている訳でもないのに、かなり足腰にきている。
西六甲ドライブウェイまで登ってきたときには、まだ4時を少し過ぎたばかりだというのに太陽はまさに沈む寸前に見える。もっとも、ここまで来れば、市街地は近い。森林植物園正門から北鈴蘭台駅へと向かう。
ゆっくりとはいえ、そこそこ歩いたような気になっていたけれど実際には休憩込み4時間で7㎞ほど。獲得標高は620m。危なっかしい道に進んでしまう悪癖が出るなど、反省の多い山歩きだった。