高雄~上桂(京都市)京都一周トレイル⑦

 2024年5月23日

京都一周トレイルも何と7日め。12年前には3日半で歩き通したのに対して半分のペースだ。京都駅からのバスが大混雑のうえに大渋滞で大遅延。1時間半ほとんど立ちっ放し。槙ノ尾バス停をスタートしたのは11時。



清滝川の清流に沿って紅葉のトンネルを抜けるような気持ちの良い道をしばらく歩くと高雄。早くも川床は営業を開始しているようだ。もっとも今日はさほど暑くはならない予報。この先、これほど良いコンディションの日はしばらく無さそうな気がする。



実に気持ちの良い道だ。ゴールの上桂までは15㎞くらいはあると思われるけど、さほどのアップダウンもなく、京都一周トレイルでは一番歩きやすい道だったと記憶している。



紅葉のシーズンに歩きたい道だけれど、今日のバスの混みようを考えれば、紅葉シーズンにここにバスでやってくることは考えたくない。



清滝にある愛宕山の登山口までやってきた。満員バスでの疲労を抱えたままのスタートになったけれど、この辺りではまだまだ元気。



少しずつ気温は上がっているようだけれど、清滝川を通り抜ける風がとても気持ちいい。ノンビリ河原に座り込むのも良さそうだ。



川岸の狭い道を進む。良い景色に気を取られ過ぎず、しっかりと足元を確認しながら進む。絶景と危険は同居していることが多い。



水はメチャクチャ澄んでいる。後先考えずに水に飛び込みたいなんて思ってしまう。河原にしばらく座り込んで軽く昼食休憩。



河原は岩っぽくて、決して楽な道ではないけれど、楽しく歩ける。もっとも元気があればこそだ。



ところが落合を過ぎ、大したことはない、と記憶していた六丁峠への舗装道がメチャクチャしんどい。おかしいなぁ…。以前はあっさりと登れていたはずなんだけど…。



清滝川が眼下に見える。いや、亀岡から流れてくる大堰川と合流した桂川かもしれない。たぶん保津川下りの川船が通っているはずだ。結構登ってきたなぁ…。



やっとのことで六丁峠。予想以上に疲れてしまった…。実はここから京都一周トレイルを離れて、清少納言が枕草子で「山は小倉山…」とお勧めの山の筆頭にあげた小倉山を経由するつもりだったのが、疲れのせいですっかり失念してそのまま下山してしまった…



嵯峨野に下山。ここから嵐山渡月橋までは完全に観光地。周囲は海外からの観光客ばかり。日本人を見つけることが難しいくらいだ。久しぶりの嵯峨野はさらに観光地整備が加速していて、興味深いお店も多数。お土産屋さんなどに立ち寄りながらブラブラと進んでいく。



樹々の隙間から小倉山が見える。軽く立ち寄るような山でもなさそうだ。枕草子には何故「山は小倉山」なのかの記述はない。実際清少納言が登ったというのでもなく、多分先人が詠んだ歌や語感の良さで選んだのではないだろうか。



以前、大汗を掻きながら嵐山を歩いた際には、周囲の人たちから完全に浮いているようで、なんだかとても恥ずかしい気分になったものだけれど、外国人観光客の多くはリュック姿。以前ほど浮いているようには感じない。(もっとも皆、小綺麗なリュックだけど)



竹林の小径。もはや完全に観光モードになってしまう。他の観光客と一緒になって神秘的とさえ思える木漏れ日が差し込む竹林を楽しむ。




保津川下りの船や手漕ぎボートが行き交う桂川まで下ってきた。川向うの山が嵐山のはず。観光地としての嵐山に行ったという人は多数いても、嵐山に登った人の話はほとんど聞かない。どこから登るのだろうか。一度チャレンジしてみたいものだ。



渡月橋。一旦観光歩きモードになってしまうと、容易にギアチェンジできなくなっている自分を感じてしまう。日を改めて、小倉山と合わせて京都一周トレイルの続きを歩くことにしようと考え、阪急嵐山駅で終えるつもりで大休憩。



が、結局再び気が変わって、京都一周トレイルの続きを歩くべく西山に入っていく。登山口には「苔寺への抜け道」と案内されている。平地の道を歩けば30分ほどのところが、ここを進むと何倍も時間が掛かるんだけど、これを抜け道と呼ぶものだろうか。



一度クールダウンした体を立て直すのに苦労する。歩きたくないよ~、足腰が訴えてくるようだ。嵐山以降は京都一周トレイルの蛇足のようなものと感じていたけれど、認識を改めねばならない。結構しんどい。



やっとのことで松尾山登頂。と思って、再び大休憩。でも良く見るとここは山頂ではなかった…。以前歩いた時もここが山頂だと思って、ここから下山したはずだ。



邪魔くせーな~と思いながらも、松尾山山頂(275m)まで登ってきた。京都の町の北側がよく見通せる。右奥に聳えるのが比叡山。これから向かう山が遠くに見えるのは辛いけれど、既に歩いて来た山々が遠くに見えるのは嬉しいものだ。



松尾山からは下る一方、と思っていたけれど、微妙なアップダウンがあるうえに長い…。さらに体は重く、足取りもフラついてくる。



軽いと思っていた西山コースだけど、今の体力ではそこそこキツかった。12年前は物足りなくて、真の京都一周を果たすべく、さらに伏見稲荷まで京都市内を突っきって歩いたものだけど、今では上桂までの道がひどく長く感じられた。



何とか7日で京都一周トレイルを完歩。12年前の倍の日数だ。でもこれが今の体力。以前のような歩き方はできないけれど、身の丈にあった山歩きを楽しみたい。今日の歩行距離は13.6km、獲得標高687m、所要時間は6時間半。




二ノ瀬~高雄(京都市)京都一周トレイル⑥

 2024年5月18日


ひょんなことから始まった京都一周トレイルも6日め。12年前と比べて2倍のノンビリぺースで進んできたものの、いよいよ二ノ瀬駅から高雄に向けての北山コースに挑む。自販機やコンビニは勿論、バス停さえなく、ただ歩き通すしかないという最難関区間なのだ。



前回は大原戸寺から夜泣峠を越えて、バス停が比較的近い山幸橋まで歩こうとしていたところが二ノ瀬駅で降雨のため無念の撤退。水不足(自販機が1台も無いとは思わなかった)に加えて道迷いも連発してヘトヘトになった前回の経験を生かして水2.5Lを担いでいく。



二ノ瀬からいきなり急坂が続く。やはり雨の中を無理に進むような道ではなかった。しかし今日の京都は今年最初の真夏日となるらしい。暑くなる前に少しでも進みたいけれど、大量の水のせいで、リュックがやけに重い。



40分ほどで夜泣峠に到着。文徳天皇の第一皇子、惟嵩親王が幼い頃に乳母とここで一晩を過ごしたというが、乳母がこの地の地蔵にお祈りしたところ親王の夜泣きが止んだことに由来するらしい。そんなことより、山中で乳母と夜を明かした不遇の皇子が不憫でならない。



夜泣峠から少し登って向山(426m)。今日のコースでは唯一のピークになる。山頂のベンチで少し休憩するが、何だか右膝に少し痛みを感じる。あまり痛めることのない部位だ。気になるけれど、進むしかない。先は長い。無理せずゆっくり進もう。



向山から杉林に囲まれた尾根道を300mほど一気に下る。山登りの常とはいえ、せっかく登ったのに、勿体ないなぁ…と思わずにはいられない。



山幸橋。賀茂川の上流となる。ここから20~30分歩いた京都産業大グランド付近までバスが来ている。このコースでは唯一とも言えるエスケープポイントで、前回のゴールに定めていたところだ。膝の具合は気になるけれど、今日はここで終わる訳にはいかない。



山幸橋を過ぎ、氷室に向かっての登り道が続く。あまり険しい急坂と記憶していなかったところだけれど結構キツイし、気温も上がってきたようだ。水をガブ飲みして進む。



二ノ瀬から山幸橋までの道と比べるとあまり整備されていないところも多く、ベンチなども見当たらない。座り込むところばかり探しながら歩いていく。明らかに歩くペースが落ちてきた。



薄暗い山中から少し開けたところに出ると、日射しの強さに目まいを感じる。何やら大きな箱のようなものをいくつも出して作業をされておられる。どうも養蜂をされているようで、周囲には蜂が飛び交っている。



王子社有林との標識がある。マークを見ると王子製紙のようだ。調べてみると、王子製紙は大阪府の面積にも匹敵する森林を所有しているそうだ。先日は有馬富士の傍で大昭和製紙の社有林を見たけれど、今更ながら製紙会社は森林資源保護に力を入れていることに気付く。



小さな渡渉や、倒木の多い道が続く。この辺りは盗人谷という強烈なインパクトを持つ地名だったはずだけれど、その表示が見当たらない。実際、かつては盗賊が跋扈していたとも聞くけれど、あまりに聞こえが悪いので地名を変えたのだろうか。



盗人谷に架けられている丸木橋。いかにも危なっかしそうだけれど、かなりしっかりした造りだ。多分何年かに一度は架け替えているのではなかろうか。



何本もの道が交差する小峠。設置されていたベンチで長々と休憩。もう歩きたくない、との気持ちが沸き上がってくる。歩き始めて3時間も経つというのに、まだ5㎞余りしか進んでいないことに愕然とさせられる。まだ全行程の三分の一しか歩けていない。



標高400mほどもある氷室の里は田植えの真っ最中。京都市内では30度を超す予報だったけれど、ここは多少は涼しいのだろうか。日射しが強くて涼しいという実感がない。



氷室神社にも立ち寄ってみる。アイススケートの神様のようになって華やかさのある神戸の氷室神社と違って、鬱蒼とした森の中に簡素な祠が立つ。でも氷室は神社の境内から離れた山の中にあったらしい。



氷室からは舗装道を歩くところが増える。楽と言えば楽なんだけど、これがダレる。それに意外に坂がきつくて足腰にも堪える。今日のコースは史蹟や名所が少なく、この先はひたすら頑張って歩くしかない道が続くのだ。



京見峠から再び山の中へ。秋になると松茸山への入山が禁止されるので、大きな迂回を余儀なくされるとの警告がある。冬は雪だし、夏は猛暑、秋は松茸、とこの道を歩くのに適した季節は春でしかない。



京都の町が眼下に広がる。しかし良くみると、見えているのは京都駅の南側だ。京都の中心部は手前の山々に遮られて確かめることができない。



前半の夜泣峠などと比べると大した勾配でもないはずなんだけど、上ノ水峠への登りが辛い。この辺りでようやく10㎞…。今日は全長20㎞近く歩くと考えていただけにだんだん不安になる。あらためて高雄までの残り距離を調べるとあと5~6㎞くらいのようだ。



沢ノ池。どこからか自動車道が通じているようで、何人もの人がキャンプや水遊びをしている。まだ標高は400mくらい。ここから高雄に向かって一気に下っていくことになる。



下りだからといって決して楽な道ではない。随分と細くて暗い激坂が続く。足腰に疲れが溜まっているだけに、転ばないよう、用心して進む。どうしたことか、最近、足腰の衰えをとみに自覚するようになってから、あまり転ばないようになった。



激坂を下り終えて、ようやく歩きやすい林道になる。念のためと2.5リットルも担いできた水も全て飲みつくしてしまったけれど、ゴールは近い。最後の力を振り絞るように歩いていく。



栂ノ尾のバス停で今日は終了。よく歩いてこれたものだ。あわよくば前回同様に清滝まで歩こうと思っていたけど、既にヘトヘト。もう歩く気になれない。



本日の歩行距離15.4㎞。たった一つのピークを取っただけだというのに、獲得標高は1000m
超。所要時間は8時間。開聞岳に匹敵する疲労を感じた。