大和三山~畝傍山・天香久山・耳成山~(橿原市、明日香村)

 2024年5月7日


京都も兵庫も雨予報なんだけど、大阪南部や奈良なら天気は持ちそう。ということで、雨が降っても対応容易な大和三山(畝傍山、天香久山、耳成山)に出掛けることにしよう。以前近鉄のハイキングマップ片手に歩いたことはあるけれど、もう15年ほども前のことだ。



近鉄橿原神宮前駅をスタート。新歌舞伎座や都ホテルなどを手掛けた村野藤吾の設計による大和棟と言われる奈良の古民家によく見られる急勾配の屋根を持つ駅舎だ。駅前には黄色いポストが設置されている。神武天皇にゆかりのある地に立てられているらしい。



玉砂利を踏み、巨大な鳥居が立つ橿原神宮に向かう。神武天皇をご祭神とするこの神社は、創建は1890年とはいえ、数ある神社のなかでも特別な存在だ。それにしても、玉砂利って、とても歩きにくくて疲れる…。



いくつかの鳥居を潜りながら、玉砂利の参道を進むこと5分ほどで拝殿に到着。新年など、大勢の参拝客を受け入れることができる大きな拝殿だけれど、今日は人の姿も疎ら。拝殿の右奥にはこれから向かう畝傍山が少し見える。



拝殿を過ぎ、北参道を進むと、畝傍山登山口が現れる。散歩気分で登っていく参拝客も多いのではないだろうか。何の注意もないけれど、見た目ほど簡単な山ではないのだ。



結構な急坂があるとは知ってはいたけれど、つい軽装でやってきてしまったことを後悔させられる。ロープを使って攀じ登るようなところもあるし、雨上がりのため、随分と滑りやすい。



記憶していた以上にしんどい思いをして畝傍山(198m)の山頂に到着。とはいえ、地元のシニアが何人もヒョイヒョイと登ってこられ、山頂で楽しそうにお喋りをしている。畝傍山で疲れている訳にはいかない。まだまだ先は長いのだ。



が、下りがまたまた大変。とにかく滑る滑る。トレッキングシューズの有難さを思い知らされる。しばらく出番のなかった安物のスニーカーでやってきたことが悔やまれる。少なくともトレッキングポールは持ってくるべきだった。



アザミ。どこにでも見られるような花だけれど、奈良で見ると、アザミはとても奈良らしい花だ…、なんてことを感じてしまう。



畝傍山に続き、天香久山を目指す。藤原京を取り囲む大和三山は、それぞれに2~3㎞ほども離れている。3つの山登り以外は延々と平地を歩くことになる。空は相変わらずドンヨリとしているけれど、降りそうで降らない。



天香久山の南麓にある天岩戸神社。全国に何十もあると思われる天岩戸のひとつだ。本殿は無く、竹林のなかにある巨石がご神体だ。天照大御神がお隠れになったというにはちょっと小さいようにも感じるけれど、場所が場所だけにそれっぽく感じたりもする。



天岩戸神社から西に回り込んで、名勝大和三山の標識や観光案内板がある比較的無難そうな登山道を進む。



が、これまた滑る滑る。畝傍山が死火山のせいか、そこそこ岩っぽかったのに対して、天香久山は雨が降ると泥濘だらけ。粘土が多いせいか、かなり大きく滑ってしまう。



天香久山(152m)の山頂。小さな祠があるばかり。藤原京と飛鳥で世界遺産登録を目指しているというけれど、大和三山も対象になっているらしい。飛鳥はともかく、藤原京や大和三山は、アピールが難しいように感じる。



山頂からは畝傍山が良く見える。橿原神宮から見上げていたときと比べて、随分と高く聳えているように感じる。



絶対転ぶ、と覚悟しながら急坂を下って天香久山を北麓に下山。危機感と緊張感を絶やさなければ、意外と転ばないものだ。



あとひとつ。耳成山へと向かう。周囲は田畑と原っぱばかり。建物などが少ないせいか、いまいち距離感が掴みにくい。



橿原の古い町並みを縫うように細い路地を進んでいくんだけど、何か靴の様子がおかしい。どうやら長らく履かずに保管していたスニーカーのソールが剥げ落ちかけているようだ。確認したところでどうにもできないので、そのまま歩いていく。



見渡す限りクローバーで埋め尽くされた藤原宮。本邦初めての本格的な都城だとはいえ、その期間は僅か16年。平城京に遷都して以降1300年ほども田畑の下に隠されていた幻の都だ。朱色の柱が立っているところは、何か重要な建造物があったところらしい。



この辺りには大極殿があったらしい。といっても畝傍山を背に、礎石の上に立つ朱色の柱は2mほどしかない。もう10年以上はこんな感じで、何も手が付けられていないし、発掘調査をしているところにも出会わない。これで世界遺産なんて申請できるのだろうか。



靴の底が無視できない状態になってきた。ただでも薄いソールが続々と剥がれていく。一部が剥がれると連鎖的に剥がれていくようだ。剥がれかかったところを毟り取りながら歩ききるしかなさそうだ。



耳成山。石灯籠の立つ参道をらせん状に登っていく。この山も死火山らしいけれど、さほど岩っぽさは感じられない。靴に不安があるけれど、泥濘はあるけれど、幸い滑りやすいところはあまりない。



山頂の手前、8合目あたりにある山口神社。安産にご利益があるところらしい。安産→暗算とシャレでもなかろうが、本殿には和算の額が奉納されている。



山口神社から先、案内板もあまり見当たらない道を登って、耳成山(139m)山頂に到達。山頂は特に整備されている訳でもなく、小さな山頂標があるだけ。独立峰だけに、遠くからでも存在が確認できる山だけど、山頂からの眺望はほぼ皆無だ。



大和八木駅まで戻って本日の散策を完了。歩行距離は12.2㎞、獲得標高305m、所用時間は5時間。



標高グラフ。3つのピークがあるものの、大半は平地歩き。これを山登りと呼んでよいものやら…。でも結構疲れた。