2024年12月12日
六甲茶屋巡りスタンプラリーも残るところ2つ。丹生山、帝釈山の麓にあるつくはらキャビンにやってきた。ハイカー用のシャワー室まで備えた施設で、この機会にアピールしたい神戸市の気持ちは判らなくもないけれど、自販機さえ無いこの施設は茶屋とは言えないぞ。
スタンプラリーは予想外の人気で、コンプリートの記念品どころか台紙まで払底している。それでも自称スタンプラリーストのプライドを賭けて、全スタンプゲットしたいものだ。
スタンプの押印を早々に済ませ、帝釈山に向けて登山開始。今回はじめて丹生神社裏参道で登ってみることにする。源義経が一の谷に向けて進軍したことから義経道とも呼ばれる表参道はかなりの急坂。裏街道ともなれば更なる難路も覚悟しなければならない。
と用心して登り始めたけれど、拍子抜けするほどに歩きやすい道が続く。作業車なども通れるように整備されている。落ち葉をサクサクと踏みしめながら気持ちよく歩いていく。でもこんな道がいつまでも続くはずがない。
参道だけあって、道の脇には丁石標や地蔵などが見られる。しかし50分ほど歩いてきたもの、相変わらず良い道が続く。こんな簡単に帝釈山に登れるはずはないのだ。
丹生山方面に続く裏参道から外れ、北に向かう谷道に入った途端に、道の様相は一変。岩はゴロゴロして歩きにくく、すぐ息切れしてしまいそうな急峻で薄暗い道となる。
大きな檻が設置されている。サイズから見て、クマを捕獲するための罠のようだ。今年は六甲山系でも目撃されているというから、丹生山系にクマが棲息していても何の不思議もない。大きな檻は空だけど、その隣にある小さな檻に何かいることに気付く。
アライグマのようだ。既に息絶えているようだけれど、捕獲後長い時間が経ってはいないようだ。アニメの影響で一時ペットにする人も多かったのに、今では生態系や農作物を荒らす外来害獣に指定されている。人間の気儘に翻弄されたアライグマに罪は無いのだけれど…。
アライグマの屍を見て気分も陰鬱、さらに道は暗く険しく、そして不明瞭だ。
いつまでも平坦な道が続くはずもなく、そのうちに厳しい道が現れるに違いないとは覚悟していたものの、荒れた路面と急坂には辟易とさせられる。一刻も早く尾根に出たい気分だけれど、ゆっくりとしか登っていけない。
ようやく丹生山~帝釈山の尾根に出てきて、一気に歩きやすい道なる。ここまで出て来れば勝手知ったところ。帝釈山の手前に急坂があることは知っているけれど、危なっかしいところはないはずだ。
丹生山系の案内標識は総じて黒地に白字。落ち着いた配色とも言えるけれど、字体も相まってちょっと危なっかしさも感じさせる。でも山の標識というのは、危なっかしさを感じさせるくらいで丁度いいのだろう。
帝釈山まであと少し。ほとんど葉を落としたコナラ?の樹林を抜けて山頂に向けて登っていく。
帝釈山(585m)。丹生山にあった明要寺の奥の院があったところだ。今では石の祠がいくつか並んでいるばかりだ。
古い歴史を持つ帝釈山だけれど、今ではそんなことより山頂からの眺望で有名な山になっている。樹林が切り倒されている南側。遠くに見えるのは箕谷~鈴蘭台あたりの住宅街ではなかろうか。
圧巻は明石海峡と淡路島。折しも海が太陽で光り、逆光の効果で幻想的な雰囲気になっている。
太陽と緑の道の真新しいテープがある。太陽と緑の道って、神戸市が50年以上も前に整備された自然道なんだけれど、荒れた道や通行止めやらも多く、標識類も老朽化したものが多かったのを、最近協力者を募集して再整備に掛かっているはずだ。
西帝釈山(537m)。ベンチはあるけれど山頂標識が見当たらない。最近、どうしたことかあるはずの山頂標識を見つけることができないことが多い。
丹生山(515m)。山頂には丹生神社がある。今では丹生山のシンボルのような存在だけれど、もともとはこの地にあった明要寺の鎮守社であったらしい。6世紀に百済の王子により創建されたという明要寺は、平清盛が再建したものの、秀吉に破壊されて今では跡形もない。
無住のように見える丹生神社で、不思議なものといえば、ミツバチの巣箱だ。本殿の周囲を含め、何ヶ所もの巣箱がある。1~2年に1度程度登ってはいるけれど、蜂にお目にかかったという記憶はなく、実際に今でも養蜂が行われているのかは不明だ。
境内に少々こんもりとしたところがある。相撲の土俵だったところだ。近隣の子供たちによる奉納相撲が毎年開催されていると聞いたけれど、最近では来る度に土俵が崩れ、草に覆われ、今では土俵だと気づかない人が殆どではなかろうか。奉納相撲はどうなったのだろう。
かつでの明要寺、丹生山城の跡。今では石垣が残るだけだ。三木城の別所長治に兵糧を送っていることを咎められ、秀吉によって焼き討ちにされ、その後再建することもなく今に至っているという。
こんなトコに進入するオートバイがあるらしい。これも最近太陽と緑の道が設置した警告板だ。もともと太陽と緑の道は、神戸市が歩いて楽しい自然道を厳選して整備したもの。宅地化が進み元通りとはならないまでも、市民が誇れる再整備を進めてもらいたいものだ。
義経も歩いたという表参道の急坂を下って、衝原へと下山する。
距離7.8㎞、獲得標高607m、所要時間は3時間59分。残るスタンプはカミカ茶屋のみ。最もアクセス容易な茶屋だけど、追加発注中と聞く記念品の準備が整うのを待って出掛けることにしよう。