岩湧山(河内長野市)

 2024年12月5日


久しぶりに岩湧山に登ってみる。ダイヤモンドトレイルを踏破した際に登って以来、ちょうど10年ぶりになる。その際は山焼きが行われた春の日だったけれど、晩秋は山全体を覆うススキで絶景が楽しめるはず。見頃には少々遅いようにも思うけれど、とにかく登ってみる。



ホントは河内長野駅から滝畑ダムへバスで向かい、南海紀見峠駅まで東に歩くつもりだったのだけれど、バスの時刻を間違い、やむなく紀見峠駅から西に向かって歩くことになる。紅葉が美しい渓流沿いの道で山に入っていく。



う~ん、こんな呑気な道だったっけ。以前歩いたときは紀見峠駅に向かって酷い急坂に苦しめられたように記憶しているのだけれど、ダイトレ道はここよりまだ随分と標高の高いところにあるはずだ。



標準的なルートより20分くらいは遠回りになるけれど、葛城修験第17経塚を目指す。役行者が金剛葛城の山中に法華経を埋納した28ケ所のひとつだ。これがヤマレコでは登山道に設定されていないかなりの難路。しかも急坂。序盤だというのに大きく体力が削られてしまう。



YAMAPではこれらの経塚を巡ることでバッジが貰えるイベントが開催中。これまで二上山や葛城山で意図することなくいくつかの経塚近くを通過していたようだけど、初めて経塚と対面。意識していないと、見落としてしまうようなヒッソリとした遺跡だ。



ダイトレ道に入り、しばらくは整備された杉林のなかを進んでいくけれど、こんな道が長く続くはずはない。



ほらね。こんな階段が延々と続くのだ。だから紀見峠から歩くのがイヤだったのだ。経塚までの急坂でかなり足腰に疲れが溜まったままだけど、文句を言っても始まらない。階段を正面から突き進むのではなく、なるべく足腰への負担を減らすためにも段の脇を進む。



標高650m。紀見峠駅の標高が200m、岩湧山が900mほどだから、6割くらいは登ってきたことになるはずなんだけど、未だ三合目だという。先は長い。



やめときゃいいのに、根古峰(749m)のピークを獲るために寄り道。行ったところで何も無いことは判ってはいるのだけれど…。



登山道に沿って、錦明水と書かれた湧水がある。昔は水場との表記が無くとも、沢の水だって湧水だって平気で飲んでいたものだ。最近は水場でさえ、煮沸した方が良いとか、できれば飲まない方が安全といった意見を良く見かけるけれど、有難く二口ほど戴く。



展望台跡なるところにやってきた。コンクリート造りの構築物の屋上が展望台になっていて20人以上分のスペースはあるものの、肝心の展望は無い。正面の木の樹齢から察するに閉鎖されて少なくとも30年以上は経っている。一体どんな景色が見渡せたのだろうか。



岩湧山東峰に向けて、再び長い階段が続く。階段が無ければ、きっと危なっかしい登山道のままだったのだろうから感謝しなければならないのは判っている。でも申し訳ないけれど、どうしても恨めしく思ってしまう。



岩湧山東峰(853m)。気温は3度しかない。せっせと歩いて汗ばんでいるせいか、ここまで寒いとは感じなかった。



東峰と岩湧山の鞍部に立派なトイレが設置されている。久しぶりにこの辺りの道を歩いたけれど、従来からあるダイトレの石標に加えて、判りやすい道標が立てられているし、ベンチも充実している。六甲山系よりよほど登山者のための整備が進められている。



いよいよススキで覆われた岩湧山の山頂を目指す。ここから先の茅場は滝畑自治会の管理とある。茅(おもにススキ)は日本古来の民家の屋根材や民芸品に利用されているという。



岩湧山の山頂に向かってススキが生い茂る道をゆっくりと登っていく。ススキを楽しむには遅すぎるかとも思ったけれど、今年は夏が長かったせいか、まだススキは元気いっぱいだ。



空はどんよりとしているけれど、振り返るとススキの向こうに金剛山や大和葛城山などが良く見通せる。



岩湧山頂上(897m)。大阪平野を広く見渡すことができる。もう少し空が澄んでいれば、とも思うけれど、右手前にはPLの塔、向こう側には大阪、さらには神戸の高層ビル群まで確認できる。



西に目を転じると、岩湧山から先の和泉山脈の山々が連なっている。手前のススキに始まって、山域ごとの植生の違いで、帯状に色が変わっているところが面白い。



おそらくかつて茅を麓に運んでいたと思われる索道(リフト)の跡だ。今ではもう使われていない施設が寂しそうにしている。今では索道ではなく、どこかに車が通れる道ができているのだろうか。



岩湧山頂でしばらく休憩していると急に寒さを感じ始める。一枚上着を着込んで、滝畑へ下山する。こちらは厄介な階段は少ないけれど、木の根っこだらけの歩きにくい道が続く。



滝畑からのバスは1~2時間に1本。時間調整のため、疲れてはいるけれど、扇山(762m)のピークも獲りにいく。「ダイトレ道ではありません」の注意標識を無視するように扇山へ。何もないことを確認して戻ってくる。



岩湧山までのほとんどの道では杉が植林されていたけれど、岩湧山の西側は落葉樹が多く見られる。岩湧山頂から眺めていた、山域ごとの色の違いの理由を実感しながら少しずつ薄暗くなってきたような気がする山道を進む。



16時19分発の滝畑からのバスに併せて20分前にバス停に到着。いつの間にやら平日は南海バスが撤退し、コミュニティバスに置き換わってしまった河内長野行のバスに乗り、滝畑ダムを車窓から眺めながら帰宅。



距離11.6㎞、所要時間5時間38分。獲得標高は929m。急坂だらけの序盤には、この先どうなることやらと思ったけれど、予定通りのバスに間に合うように歩けた。