門司港&下関散策(門司港レトロスタンプラリー)

2015年7月12日(日)


長崎・熊本・門司の九州出張のついでに門司に宿泊。各地のご馳走をたらふく食べてしまったので、少しなりとも運動しなければ、と時間が許す限り、門司港と下関を散策する。門司港駅は、とてもレトロな木造駅舎。かつての九州の玄関口に相応しい風格と規模も備えている。



トイレひとつとっても、映画に出てくるような造りになっている。門司港駅は現在、大規模な保存修理工事が進められているが、どのような駅舎に生まれ変わるのか、楽しみでもあり、少々不安でもある。



駅前周辺が門司港レトロ街。かつてアジア各地などとの貿易港として栄え、商社、海運、金融などの会社にとっては極めて重要な拠点になっていた町だが、当時の豪奢な建造物が今も多く残されている。写真は旧大阪商船のビル。改装中の出光美術館が2階に仮住まいしている。



ここで思わぬ発見。門司港レトロスタンプラリー。何の賞品も無い常設のスタンプラリーのようだが、門司港駅を中心に約500m圏内にある代表的な7つのレトロポイントそれぞれにスタンプが設置されているようだ。門司港散策のモチベーションは否が応でも盛り上がる。



門司の内港の周囲には、海峡プラザなど、飲食店や土産物屋が並び、紙芝居や猿回しなどのパフォーマンスも見られる。中国などからの観光客も多いようだ。ここで目についたのは「じーも君」という門司区のマスコット。とても可愛いが、海坊主の末裔なんだそうだ。



内港に面して建てられている赤レンガ造り・瓦屋根の旧門司税関。



黒川紀章(だったかな?)がデザインした高層マンションの最上階が展望台になっている。門司港や関門橋の様子がよく見える。どうにもピンと来ないのだが、意外なことに、門司港から見て下関は「西」なのだ。地図で確かめると、関門海峡って、思いのほか複雑な地形をしていて、その狭隘さゆえに、潮の流れが変わりやすく、そして速いことも納得できる。



内港の入口にある跳ね橋。船が通過するために橋が開いているのではなく、観光客向けに1時間に1度橋が開閉するようになっている。



関門海峡ミュージアム。関門海峡を舞台にした歴史アニメの上映や、レトロな街並みが再現されている。5階まで延々と続く回廊を歩かされて、結構疲れた。



旧大連航路上屋。かつては国際航路の旅客ターミナルだったらしい。今は埋立が進んで海に面していないが、歩道には係留柱も残されていて、ここから直接、大陸への客船に乗降していたことが窺える。



門司港レトロ街巡りを少し中断して、下関に渡ることにする。海峡は狭いところで800m弱しかなく、連絡船でわずか5分の船旅だ。宮本武蔵と佐々木小次郎が決闘した巌流島にも、わずか10分で行けるようだが、そこまでの寄り道をする余裕はない。



下関を代表する神社、赤間神宮。壇ノ浦の戦いで亡くなった幼帝、安徳天皇を祀っている。



赤間神宮をさらに有名にしているのが、耳なし芳一。琵琶の名手であった芳一が、平家の怨霊に囲まれながら、平家物語の壇ノ浦の段を連日弾き語ったのが、この赤間神宮にある平家一族の墓前であったという。



赤間神宮から、わずか1km余りのところを、軟弱にもバスに乗って、関門橋の真下に程近い、御裳川公園にやってきた。みもすそがわ、とは耳慣れない地名だが、ここが安徳天皇入水の地なんだそうだ。海岸に面した公園には、八艘飛びの源義経と、碇を体に巻き付けて入水する平知盛の像が並んで建てられている。



700年近くの時が流れて、幕末にも歴史の流れを大きく変えた戦いの舞台となっている。攘夷に凝り固まった長州藩が外国船に砲撃を加えた馬関戦争だ。結局欧米諸国にコテンパンにやられてしまうが、長州藩が英国等に接近して軍事増強を図り、薩摩と同盟しての討幕へと方針大転換する契機となった訳だから、歴史は複雑ながらも面白い。



海峡に向けられている大砲のすぐ傍に、関門トンネルの「人道」がある。水曜どうでしょうや、ローカル路線バスの旅などのテレビ番組にもよく登場するところで、この海底トンネルを歩きたかったので下関までやってきたといっても過言ではない。




エレベータで地下に下り、いよいよ人道トンネルに足を踏み入れる。安治川トンネルなど、川底トンネルは経験しているが、海底トンネルは初体験。まっすぐな道が続いている。路面に大書された「門司」の文字でテンションはさらに高まる。



歩いている人の半分くらいは、観光客っぽい。トンネルに現れた県境で皆写真を撮っている。残りの半分くらいは、地元の人のようで、対岸に用事があるというより、健康のためにジョギングやウォーキングをしている人が多い。確かに、雨風も無く、車に気を付ける心配もない。もっとも、真上に車のトンネルが走っているようで、たまに車の走行音が聞こえてくる。



門司側の出口。なんと、このトンネルは国道2号線の一部になっているようだ。車道・歩道が、海峡部だけ別トンネルになっているだけなんだから、そりゃそうだ、とも思う。



下関・門司、それぞれの人道トンネル入口に半円形のスタンプがあって、両方を押印すると円い印影が完成するようになっている。



これを門司の観光案内所に持っていくと、関門TOPPA!記念証を貰えた。6つのデザインの中から、好きなものが選べるところが嬉しい。日付も記入してくれた。



門司側から見た関門橋。橋の下の流れはとても速い。当然のことながら、海峡の最も狭いところに橋を架けているのだから、海流が激しくなるのだろう。橋の向こう側が壇ノ浦。源平両軍が海流をいかに味方に付けるかに腐心したのがよく理解できる。



人道トンネル出口から少し歩いてトロッコ列車の乗り場へ。かつての工場等への引き込み線を転用したもののようだ。歩いて1.5kmほどだが、またもや楽して、わずか10分ほどの列車移動。



レトロ門司港スタンプラリーに戻って、九州鉄道記念館へ。SLをはじめ、退役した客車や寝台車などがズラリと並んでいる。



九州鉄道記念館の近くに、バナナの叩き売り発祥の地を発見。門司はかつて、台湾からの輸入バナナの輸入基地だった。そのせいか、門司の街にはバナナに関連したスイーツや人形などをいくつも見掛けることができた。



最後のスタンプポイント、三井倶楽部。もともと三井の社交場だったところのようだ。



三井倶楽部で、門司港名物の焼きカレーと、門司港駅ビールを注文。う~ん、2日続けて焼きカレーを食べてしまった。前日夜には上戸彩が絶賛する人気店に行ったのだが、どちらも美味かったが、チーズたっぷりのこのカレーは、かなりの高カロリーであることは疑う余地はない。その割にバスに乗ったり、トロッコに乗ったりで、ちっとも歩かずに終わった・・・。



門司港レトロスタンプラリーも無事コンプリート。何の賞品がある訳でもないが、デザインも美しく、結構達成感がある。



下関・門司港って、船で5分、歩いて15分。 2つの都市を一度に回るなんて無理かと思っていたが、実にコンパクトにまとまっている。台風の影響で、雨や風にもあったが、楽しい週末を過ごすことができた。