2015年10月25日(日)
大阪マラソン絡みの用事を済ませた後、高槻市が毎年開催している「高槻ええとこクイズラリー」に参加すべく、阪急上牧駅に出掛ける。対象エリアを毎年変えながら今年が第7弾。現地を訪れないと解けないクイズが10問用意されている。参加するのは5回目となり、宇治十帖スタンプラリーや比叡山スタンプラリーと同様、これまた年中行事化している。
おそらく阪急上牧駅に降り立つのは初めてだと思うけど、阪急電車と新幹線が並んで走っていることで有名なところだ。14時45分と、随分遅いスタートになったが、駅前のコンビニで台紙をゲットし、早速歩き始める。
最初のクイズポイントは、駅の西側にある「神南備の杜跡」。今は子供たちがボール遊びをする公園になっている。神南備とは「神が宿る」という意味だと、案内板に説明がある。南京都や飛鳥などで見られる甘南備や神奈備という地名も、同様の意味なのだろう。
JRを潜る煉瓦造りのトンネル。頭を打たないように、屈みながら歩かなければならないが、とても楽しい。トンネルや鉄橋に興奮するのは、50年前から変っていない。もっとも、正確にはこれはトンネルではなく、アーチ橋と呼ばれる橋の一種になるようだ。弓なりに煉瓦を組合せることで荷重を支えている。
JRに沿って、旧西国街道を西に向かう。5年ほど前に、三宮から京都までの西国街道を4日に分けて歩い時に通っているはずだが、全く記憶に残っていない道だ・・・。
次なるクイズは、西国街道に面した一乗寺の境内にある立派な楠に関する出題。この楠に馬を繋いだと言われる歴史上の人物を問うものだ。馬繋ぎの松、とか、腰掛け石の類は、アチコチで見られるが、大多数は根拠のない伝承だと思われるのだが、ここでは「確たる資料は無い」と説明板に正直に書いてあるところが逆に好感が持てる。
台紙のマップでは、「木洩れ日の隠れ道」と名付けられた地道。隠れ道というだけあって、探すのに苦労した。ウォーキングコースでは珍しくもない、ただ細いだけの田舎道なんだけど、こんな洒落た名前がつくと、特別なものに感じてしまう。
梶原寺跡。今は畑山神社になっている。 ちょうど名神高速の梶原トンネルの西出口にほど近いところだ。
再び、アーチ橋を潜ってJRの南側へ。 ここのレンガ積みはヒネリが加えられている。とても狭く、低いが、車両の通行は認められているようだ。個人的には、認められている・いないとは関係なく、進入したくはないところだ。
高槻第二ジャンクションだろうか。随分先のことと感じていたが、新名神の工事が着々と進み、高槻までの開通が楽しみだ。
JRと阪急の間には、長閑な田園地帯が広がる。電車の乗客に向けた広告設置用の構造物が多数設置されているが、その殆どは使われていない。JR・阪急の双方に向けて、裏表の2面が利用できる好立地だったとはいえ、ネット全盛・景観重視となって、巨大立て看板による広告は、徐々に姿を消しつつあるようだ。
左が阪急電車、右側が新幹線。阪急はここから高度をあげ、新幹線と同じ高さの高架路線となる。2つの鉄道は徐々に近づき、上牧駅手前で、完全に接する。
関西電力の淀川変電所。府内では2番目の規模になるそうだ。鉄塔や電気機器が広大な敷地にギッシリ詰まっている。それにしても、1番はどこなんだろう。
淀川河畔の鵜殿の葦原にやってきた。ここの葦は、雅楽の篳篥(ひちりき)に欠かせないもので、長らく朝廷にも納められていたものらしい。江戸時代に幕府が洪水対策として、この地の葦を刈ることを禁じたことがあるらしいが、村人は朝廷御用達を盾に伐採権を確保したといった説明が、石碑に刻まれている。
まるで原野と見間違うばかりの広大な葦原だ。淀川の水域は葦原の先になる。この中に入って探検できるのだろうか。向こうに枚方の樟葉の街並みが見えなければ、完全に出口を見失うことになりそうだ。
葦原に沿った土手の道を歩く。とても気持ちいい道だ。天気はいいのだが、遮るものが何もないせいか、風はひどく強い。
200mおきにある淀川距離標が、土手に2m四方ほど草を刈ってコンクリートで固めて埋め込まれている。ジョギングやウォーキングの目印にしては、立派すぎるぞ、と思っていたが、これって、河川管理のための高さや位置を図る重要な基準点なんだそうだ。
1kmおきには、さらに立派な石柱が建てられている。此花区にある0km地点に到達すると、区役所で訪問証明書なるものを発行してもらえるらしい。しばしば近くまで行く用事はあるのだが、未だ写真には収めることができていない。
春日神社。菅原道真を祀る神社というだけあって、天満宮でも良くみかける牛の像がここにもある。それにしても何故、牛が神使なのかについては、「道真が丑年」、「道真は牛好きだった」、「牛が道真を刺客から護った」、「牛で大宰府に行った」などなど、テンでバラバラの諸説が入り乱れているらしい。
本澄寺。室町時代に創建された日蓮宗の古刹だ。ここに「測量船」などの著作で知られる三好達治の墓と記念館がある。
上牧・五領エリアをグルッと巡り、再び上牧駅近くに戻ってきた。最後のクイズは、タイガース橋と名付けられた橋の名前の由来について。とても面白い出題だし、ちょっとした名所になりそうな所なんだけど、橋の表示が読み取りづらいのが難点。うまく改修してもらいたいものだ。
しかし、タイガース橋の傍には、高槻市による説明板が設置されている。「高槻まちかど遺産」と題する説明板は、他でもいくつか見かけられた。何気ない建物や風景のなかに埋もれた歴史や伝承を紹介する活動は、地味ではあるけど、とても有意義で効果的な町起こしだと感じる。
上牧駅の南側の鉄道高架。右が新幹線、左が阪急だ。走行する列車のスピードには大きな差があるが、素人目には、高架橋のスペックに大きな違いは無いように感じられる。
歩行軌跡マップ。7km、1万歩、2時間という、お手軽なウォーキングだったが、興味深いものに沢山出会えた。
(おまけ)
高槻市が最近強力にプッシュしている、マスコットキャラクター「はにたん」。ゆるキャラグランプリに出馬中なんだそうで、投票を呼び掛けるポスターが駅などに貼られている。こんなことに税金を使うのもどうかと感じる一方、「くまモン」のように人気が出れば稼ぎまくる訳だから、一概に否定もできない・・・。