2015年10月24日(土)
恒例の宇治十帖スタンプラリーが始まった。今年で第25回の開催となる、ウォーキングスタンプラリーの老舗中の老舗。山あり川あり、そして歴史や文化も満喫できるうえに、多くのボランティアさんによるホスピタリティ溢れる運営には毎年感服させられている。
今年は趣向を変えて、京阪宇治駅ではなく、JR宇治駅に下り立ち、逆回りで健脚コース13.5kmに挑む。距離的には少し長めに歩くことになるだろうが、それより、逆にコースを歩くことで、いつもと異なる発見ができるのではないかと期待して、全スタンプポイント22ヶ所のうち、第20番「茶壺ポスト」から、いざ出発だ。
ところが、第21番「代官所跡」がある宇治橋通り商店街では、わんさかフェスタなるイベントの真最中。とんでもない人混みに圧倒され、遠回りになるが、先に第19番「県神社」に向かうことにする。
商店街から東に歩いて「県神社」へ。ここまで来るとフェスタの喧騒が嘘のような静かな雰囲気だ。京阪宇治駅から第1番スタンプポイントから出発した場合、いかに早朝に出発し、健脚であったとしても、ここまでは未だ辿りつかないので、人影も疎らだ。
宇治橋商店街を大きく迂回し、「橋姫」でもスタンプをゲットした後、宇治橋商店街の北端にやってきたら、さらに凄い混雑になっている。あまりの人の多さに圧倒され、この人混みの向こうにある「代官所跡」のことはすっかり頭から消えてしまった。
「代官所跡」でのスタンプのことはすっかり失念したまま、宇治橋南詰の「夢浮橋」でスタンプをゲットし、次なるポイント「平等院」に向かう。皇室や将軍家御用達、さらにはローマ法王献上などを誇る宇治茶の老舗が並び、お茶の良い香りが充満した参道を進む。
昨年は入場料を支払って平等院を拝観したが、今年はパス。もっとも、あまり知られてはいないのだろうが、宇治川の畔のとあるところから、茂みを通して鳳凰堂が遠目に拝める。
宇治川の夏の風物、鵜飼の鵜が散歩?に連れ出されているのに出くわす。散歩ではなく、魚を獲る訓練のようなものかもしれない。
宇治川南岸を東にどんどん進み、「宿木」のスタンプポイントに続き、「白山神社」に向かう。この辺りが、スタンプポイント間の距離が一番長いところ。いつもなら、モチベーションも下がり、溜まった疲れが噴き出すところなんだけど、今日は逆回りのため、まだ序盤戦。元気いっぱいに上り坂を進んでいく。
「白山神社」には、舗装道を行って帰る順路がパンフレットに示されているが、もみじ谷を通って下山する。何年か前までは、もみじ谷が公式ルートだったのだが、渓流沿いの狭い道なので、このスタンプラリーの参加者が増加したことに伴ってルート変更されたのだろう。万一事故などあっては、イベントの存亡に関わるのだから主催者の判断はもっともだ。しかし、そのお蔭で、歩く人も少ない美しい山道をノンビリと歩くことができるようになった。
天ヶ瀬吊橋で、宇治川北岸に渡る。高所は得意ではないが、吊橋を渡るのはとても楽しい。ましてや、美しい山々に囲まれ、緑色に濃く染まった宇治川の流れを渡る吊橋となれば、さらにテンションがあがる。
以前は天ヶ瀬ダムまで歩かなければならなかったが、何かの工事のためにルートが短縮されている。天ヶ瀬ダムは、この橋からは未だ見通せなかったはずなので、クレーンが立っている工事エリアのまだ大分先にあるはずだ。
スタンプポイントにもなっている「興聖寺」の参道から、このスタンプラリーの最高峰(といっても2標高は130mほど)の大吉山(またの名を仏徳山)に登る。このあたりが、このコースの中間点。 おそらく同じような時刻に京阪宇治駅からスタートした順行ルートを行く参加者が道幅一杯に拡がって前から押し寄せてくる。逆行ルートって、なかなか歩きにくいものだ。
宇治の市街地を展望できる「大吉山」。山の険しさでは比較にならないが、先日参加した関ヶ原陣跡制覇ウォークでの、小早川秀秋が陣取った松尾山に相当すると思い至る。京阪宇治駅から三室戸にかけての平地部が東軍陣跡、白山神社を中心とした高地が西軍陣跡、と、高低差も方角も符合する。もっとも関ヶ原同様、宇治川も歴史上、数々の戦いが繰り広げられたところなので、探せば共通点はまだまだ見つかりそうだ。
「大吉山」を下ると、そこからは楽な平地歩き。スタンプポイントも密集している。宇治上神社は、京都の世界遺産として登録されている17の社寺のひとつ。清水寺・金閣寺・銀閣寺・二条城・延暦寺・東寺・平等院・・・など錚々たる社寺のなかで、間違いなく宇治上神社の知名度はダントツに低いが、この宇治上神社こそ、現存する最古の神社建築なのだ。
宇治神社の階段を下り、再び宇治川岸の道に戻る。「総角」、「早蕨」、「宇治上神社」と一気にスタンプの数を増やしていく。ここに至ってようやく「代官所跡」のスタンプを取り忘れたことに気付く・・・。ショックだ。余計にあるかなければならない、ということより、百戦錬磨を自称するスタンプラリーストとしてあるまじき失態に愕然どする。
逆行のせいで、勝手が違って、誤った道を進んだりもしたが、「恵心院」、「橘寺」、「蜻蛉」、「浮舟」、「厳島神社」、「手習」、「椎本」とスタンプポイントを一気に踏破し、ついに京阪宇治駅前の「東屋」のスタンプをゲット。これまで宇治十帖スタンプラリーのスタンプって、毎年絵柄が変わっていると信じていたのだが、この絵柄には見覚えがある。帰宅して調べると一昨年のものと同じだった。
スタンプにも描かれている東屋石仏。本当はこれでゴールの「塔の島」を目指すだけのはずだったが、撮り損ねた「代官所跡」に向かって、再び宇治橋通りに戻らなければならない。
京阪宇治駅から見た宇治橋。何度も再建を繰り返し現在の姿になったのだろうが、橋脚の多さをはじめ、古来のイメージをなるべく忠実に再現したものだと思う。
3時間ほど前にスタンプをゲットした「夢浮橋」に戻ってきた。紫式部の像の向こうに、先ほど登ったばかりの「大吉山」が見える。
混雑を掻き分けて、商店街の中にある「代官所跡」に辿りつき、最後のスタンプをゲット。あとは宇治川の中州、「塔の島」を目指すばかりだ。
河川改修工事のため、塔の島にある源平宇治川合戦の先陣の碑が撤去されている。しばらくどこかに保管されているらしい。宇治には見どころが盛り沢山で手が回らないのかもしれないが、宇治川の戦いは、もっとフィーチャーされても良いと思うんだけど・・・。
今年もスタンプ欄はキレイに埋めることができた。
宇治のゆるキャラも、このスタンプラリーに動員されていたらしい。スタンプだけは押したものの、結局会えず終い。 おそらく宇治橋通り商店街の大混雑のなかにいたのだろう。
10年ほど前に初めて参加して以来、完歩賞の抽選では、おそらく末等と思われる絵葉書しか貰ったことがないように記憶している。ところが、今日、くじを引いたところ、係の方が「やったぁ」と大声を上げる。当たったのは早蕨賞。黄檗山萬福寺のペア招待券。期限は年末まで。う~ん、どうしたものか・・・。
市内のアチコチで見かけた「響け!ユーフォニアム」のポスター。京阪宇治駅には、主人公と思しき、ユーフォニアムを抱えた黄前久美子の立て看板が設置されていた。宇治を舞台にしたアニメのようで、ご他聞に漏れず「ゆかりの地」を案内するマップなんかも配布されていた。
同じ道を行ったり来たりしたものだから、歩行軌跡はとても見づらいものになってしまった。
JR宇治駅を出て、京阪宇治駅から帰宅するまで約16km。パンフレットに記載されている健脚コース13.5kmをかなり上回ってしまったが、所要時間は4時間強、歩数23500歩と、まずまずのペースで歩きとおすことができた。