2017年7月16日(日)
マンハッタンから列車で30分ほど北にある、ホワイトプレインズという街で約1週間ほど滞在。週末を利用して、ブロンクス川沿いのウォーキングに出かけることにした。この出張中に歩き回ったピッツバーグやワシントンDCとは異なり、実に大雑把なものとはいえ、ウェストチェスター郡が発行しているハイキングマップに掲載されている道なので、安心感は高い。
しかも、この道沿いには、メトロノース鉄道が走っているので、万一の途中リタイアにもエスケープルートが確保されていることになる。ウェストチェスター郡の南端、即ちニューヨーク市との境となるウェイクフィールド駅で列車を下車する。
ウェイクフィールドはウェストチェスター郡とニューヨーク市ブロンクス地区の境目。ブロンクスといえば、治安の悪さで知られる地域だが、サウスブロンクスほどではないはずと、この駅で下車したが、雰囲気の悪いところではなさそうだ。
が、一体どこを歩けばいいのか。ブロンクス川の傍には、車がビュンビュン走る自動車道しか見当たらない。
あちこち歩いて、ウェイクフィールドの次の駅を超えたあたりで、ようやく自動車道の横に遊歩道が出現した。
いい感じの緑地のなかを、とても歩きやすい道が通っている。このまま、White Plainsまで、ドンドン歩けるのだと、思っていたが・・・
どこかで道を誤ったのか、いつの間にやら遊歩道が無くなり、自動車道の脇を歩く羽目になってしまった。後退やむなしとも思ったが、樹々を掻き分けながら、進めるだけ進んでいく。
怪しげな、鉄橋の下に潜り込み、脱出を図るが、道は繋がらない・・・。
自動車道の出口から、ようやく住宅街に出て、さらに進んでいくと、トレイルルートの標識がようやく現れた。走っている人、歩いている人も、たくさん見られる。やっと安心して歩けるようだ。
川に沿った緑地帯のなかだけに、風がとても爽やかだ。深い緑と、水のせせらぎからのエネルギーが身体に沁み込むようにさえ感じられる。
遊歩道のアチコチには、いい感じのベンチなどもある。気のせいかもしれないが、ここのベンチは、敢えて日影にならないところにばかり設置しているように思える。今日のような暑い日より、秋以降、日光を浴びることを中心に考えて設置されているのかもしれない。
電話ボックスも、いくつも見られる。公衆電話ではなく、何かの非常時に警察などに連絡するためのもののようだ。
一見、民家のようだが、これは公衆トイレ。テロ警戒のせいか、マンハッタンでは、ほとんど公衆トイレを見かけなくなってしまった。アメリカで最も困るのがトイレといっても過言ではないくらいだ。日本では当然のことだが、アメリカのトレイルルートに公衆トイレがあるのは実に凄いことのように感じてしまう。
ワシントンDCを歩いていた際にも感じたことだが、こちらの人たちは、自転車も歩行者も、右側通行を徹底している。ルールにルーズな国民性と思っていただけに少々驚きだ。つい、日本での癖で、道の幅いっぱいに、右を歩いたり左を歩いたりしてしまって、後ろから来る自転車に迷惑を掛けてしまったりする。
遊歩道の回りには、ガチョウの類が、ウロウロしている。近づいても逃げることもなく、呑気に餌を啄んでいる。なんだかホッコリした気分にしてくれる。
川に架かった木橋を渡って、東岸と西岸を行き来しながら、北に進んでいく。
川の水嵩は結構高く、水を手に取って掬えるようなところも多い。もっとも、水は澄んではいなくて、深い緑色だ。
その後も、小さな滝の傍の川を渡り、
せせらぎを楽しみながら、林道を進み、
このままホワイトプレインズまで行くものと思っていたら、突如普通の道に出てきてしまった。道を間違えたのかもしれないが、手元のマップは、細かな道まで記載していないので確かめようがない。
そのまま進んで、ハーツデールの駅へ。この辺りは高級住宅街で知られたところ。マンハッタンに勤務する日本人ビジネスマンの多くが住んでいるところだ。駅舎もどことなく、お洒落だ。
この鉄道は、列車内で検札する仕組みなので改札口はない。そこで駅舎内を通って、ホームにやってきた。この列車に乗っていた際、とても可愛い鉄板でできた鉄道工夫の人形がいくつも並んでいるのを車窓から見て気になっていたのだ。
いつの間にか、川とは随分離れてしまったようだ。ハーツデールの住宅街を抜けて、最終目的地のホワイトプレインズを目指す。
ホワイトプレインズ駅。デパートやらホテルやらが、そこそこのレベルで揃っていて、地代の高いマンハッタンから、ここにオフィスを移す企業も少なくないようだ。トランプのビルもできたりして、最近では地価が高騰しているらしい。
歩行軌跡は、実に単純なもの。しかし実際には、ガイドマップの道が判らず、アチコチ道に迷いながらゴールに到達した。歩行距離はおよそ19km。
この川沿いの道は、さらに北に続いている。ホワイトプレインズの町には、これからもしばしば滞在することになるので、探索してみたい。さらに隣のコネチカット州は十分歩いて到達できそうな距離だ。歩いて州境を超えることにも、いずれ挑戦してみたいものだ。