2017年7月1日(土)
6月末からの3週間の米国出張の間に、ピッツバーグ、ワシントンDC、ニューヨークで結構な距離のウォーキングを楽しむことができたので、帰国後まとめてアップする。ガイドブックや地図が手元になく、靴やリュックなどの装備も十分でないうえに、治安の状況や交通ルールも判らず、トイレや飲料自販機も少ないなど、リスクは少なくない。そして言葉の面でも苦労はあるのだが、見知らぬ街を歩きまわることのワクワク感は、日本も海外も変わりはない。
さて、今回はペンシルバニア州のピッツバーグ。街には、星条旗とともに、青地のペンシルバニア州旗、黒と黄色のピッツバーグ市旗が並んでいる。
市の人口は30万強とはいえ、ピッツバーグ都市圏域の人口は240万を数える。市内中心部にはUSスチールの本社ビルが聳え立つものの、鉄鋼の町のイメージはない。想像とは異なり、保険や金融関連のビルが目立ち、清潔感ある街並みが印象的だ。
水運の重要拠点として、古くは英仏両国間で領有が争われたところと聞くが、町には近代的な高層ビルが立ち並ぶ一方で、古い建物が多く見られる。
古い映画に出てきそうなビルが立ち並んでいるが、退廃感や不潔感のようなネガティブなイメージは無い。
ピッツバーグの町は、北からのアレゲニー川と南からのモノンガビラ川が合流し、オハイオ川となる地点、いわゆる「ゴールデン・トライアングル」と呼ばれる川に挟まれた立地だ。そのオハイオ川の行き先は、遠く離れたミシシッピ川なのだ。
モノンガビラ川に架かる鉄橋を渡り、ダウンタウンを離れ、市の南部に向かう。前方に見えるのはマウントワシントン。元は鉄鋼の町を支える炭鉱だったというが、市の発展に伴い、山の上まで市街地が広がっている。
大西洋岸から鉄道でアパラチア山脈を超えて、ピッツバーグまで来れば、ロッキー山脈以西の大半の地域にミシシッピ水系が繋がる。幹線道路が縦横無尽に張り巡らされた今なお、他の町と異なり、ピッツバーグには鉄道や船舶の施設が多数見られる。
マウントワシントンに繋がるインクライン(ケーブルカー)。随分小ぶりの可愛いものだ。何だか観光用のようだが、山の上に広がる住宅街に住む人たちの貴重な足になっているようだ。
川沿いをさらに東に進むと、別のインクラインがある。駅舎も大変お洒落で、可愛い。
インクラインの駅舎の前に、ポツンと置かれた巨大な糸巻きのようなもの。何の説明もないが、おそらくインクラインを引き上げるケーブルを巻き付けるものに違いない。
かつて歩いたヒューストンなどと異なり、歩行者にかなりの配慮のある道になっているピッツバーグだが、歩道がいつもあるとは限らない。こんな道の路肩を歩いていいものか、とビクビクしながら進む。
川の合流地点を超えたところで、ウェストエンドブリッジでオハイオ川を渡る。鉄道、水運、高層ビルのダウンタウン・・・、いかにもピッツバーグらしい風景だ。川の合流地点には噴水が高く上がっているのが見える。
調子よく歩いてきたが、橋を渡り切ったところで、黒い雲が頭上を覆い、大雨が降ってきた。正面に見える建物はカジノだが、そこまで歩いていくことさえできない。
仕方なく、今渡ってきたばかりの橋の下に緊急避難。いかにも危なっかしいところだが、止むを得ない。30分以上、ここで雨宿りをする羽目になった。
長い雨宿りの後、ウォーキングを再開。川の北岸には、NFLのスティーラーズの本拠地、ピッツバーグに本社を置く、ケチャップメーカーの名前を冠したハインツフィールドがある。
ハインツフィールドの少し東には、MLBのパイレーツのスタジアム、PNCフィールドがある。これまたピッツバーグに本社を置く保険会社からのネーミングだ。
市の北部を流れるアレゲニー川。空は未だドンヨリと曇っていて、いつまた雨が降り出すか判らない状況だ。
アレゲニー川を南に渡って、ダウンタウンに戻ってきた。ピッツバーグを訪れる旅行者も多いようで、様々に週末を楽しんでいる。一体何という乗り物だろうか、10人ほどがテーブルを囲んで食べたり飲んだりしつつ、ペダルを踏んで道を進んでいる。とても愉快そうだ。
何だかよく判らないのだが、この週末、ピッツバーグでは、着ぐるみ大会のようなものが開催されていて、各地から着ぐるみマニアが集まっていた。日本のゆるキャラとは少々雰囲気が違って、どうやら、モコモコ・毛むくじゃらで、尻尾が付いていることが条件になっているようだ。
ハインツ歴史博物館。ケチャップの博物館というより、移民時代からのピッツバーグの歴史を取り扱っているようで、見学を楽しみにしていたところなんだけど、雨のせいで時間が無く、パスせざるを得なくなった。ピッツバーグを再訪する機会はありそうなので、次回是非とも訪問したい。
歴史博物館の向こうに見える高い煙突が、ハインツの本社工場らしい。
市の西部、ストリップ地区にやってきた。野菜、魚、ソーセージ、小物など、イタリア風のマーケットが歩道にはみ出して立ち並んでいる。米国ではあまり見かけない街並みで、観光客も随分多い。
最後に、ピッツバーグ大学やカーネギーメロン大学などのアカデミックゾーンになっているイーストエンド地区に向かうつもりだったが、ストリップ地区との間には小高い山が・・・。ウォーキング終盤になっての山登りは辛い・・・。
結局、坂を上ったり下りたりでヘトヘト。次の訪問地ヒューストンに向かうためのタイムリミットが近づくなか、大学構内に深く入り込むこともできず、ダウンタウンに戻っていく。
この日の歩行経路。ピッツバーグに行ったことのない人には、さっぱり判らない地図なのだろうけど・・・。とても印象に残る19km、5時間余りのウォーキングだった。
ピッツバーグって、いい街だ。町のサイズも大きからず、小さからずで、市内交通機関も様々に充実している。オフィス、住宅、大学、商業、工業、スポーツなど様々な顔があり、落書きやゴミも少なく、川や山などの自然もいい感じ。次回の訪問が楽しみだ。