加西アルプス縦走(善防山・笠松山)

2019年11月2日(土)


近畿圏のご当地アルプスにはこれまでいくつも登ってきたが、今回は加西アルプスに挑戦だ。眺望が開けた岩稜が続く楽しい山歩きができると聞いている。



北条鉄道の法華口駅からスタートする。以前は笑顔が素敵な女性のボランティア駅長がいることで、彼女の写真を撮るためだけにこの駅を訪問する人も多かったのだけど、しばらく前に退任してしまったらしく、再び静かなローカル駅に戻ってしまった。



広がる田園の向こうに見えるのが加西アルプスのようだ。左が善防山、右が笠松山。いずれも標高300mにも満たない低山だけど、山歩きの楽しさ、恐ろしさはともに標高ばかりに比例するものではない。



駅から2kmほど歩いて、ようやく登山口にやってきた。しばらくは緩やかな林道が続くが、徐々に岩山の姿を現していく。



ゴツゴツとした岩肌を登っていく。天気も良く、体調もいい。絶好の登山日和のもと、快調に高度をあげていく。



急坂もトラロープを伝ってグングン登っていく。楽しい。飛行機雲まで登っていけるような気さえしてくる。




登ってきた岩稜を振り返ると、下里川を中心に広がる田園地帯を広く見渡すことができる。



善防山頂上までやってきた。嘉吉の乱で将軍足利義教を殺めた赤松氏の拠点のひとつ善防山城があったところだ。岩肌を滑りやすくするため油を染み込ませた竹の葉を敷き詰め、攻め寄せる幕府軍を防いだというが、逆に火責めにあったと伝わる。



善防山を制覇し、続いては笠松山を目指す。笠松山までの道の周囲は深い緑に覆われているようだが、岩がむき出しになっているところが多いことが判る。



善防山を半ば下ったところで吊り橋が現れた。二つの山の鞍部になるところだ。



吊り橋を渡ると、息をつかすことも許されず、笠松山に向けて岩稜を攀じ登っていくことになる。



非常にゴツゴツした山肌ばかりが目立つ。笠松山への登攀も楽しいものになりそうだ。



善望山と笠松山との間の谷間に古法華寺があり、その周囲が自然公園になっている。車も入れるため、ここを拠点に加西アルプスを歩く人が多いようだ。市川海老蔵が主役を演じたNHK大河「武蔵MASASHI」のロケ地になったらしく、記念碑が建っている。



古法華寺の周囲には摩崖仏も見られる。凝灰岩のようだが、あまり風化していないところを見ると比較的新しい摩崖仏だと思う。



さらに無数に並んだ石仏も見られる。大袈裟に言っているのではない。まさに無数という言葉を使いたいほどの数の石仏が並んでいるのだ。



七福神の石像も見られる。加工をしやすい岩が周囲に多くあるので、これでもか、というほどに石仏や石像を制作しているように思える。



石仏見学に思わぬ時間を掛けてしまったが、いよいよ笠松山を目指す。



予想通り、ゴツゴツとした岩が露出したところを攀じ登っていく。岩は固く、滑ることもない。



笠松山の頂上部にはおそらく平坦な場所が広くないためだろう、櫓のような展望台が組まれている。



おお、なかなかの眺望だ。ここまで歩いてきた道を振り返ることができる。向こうに見えるのは善防山だ。



さあ、あとは下山するだけなんだけど、トラブルは大概下山時に発生するものだ。道を誤り、ガレ場の急坂を進み始めた。後ろから来た二人連れのハイカーによれば間違っていないと言うけど、岩の風化が激しく踏ん張りが効かず、怖くなって戻る。



ガレ場までの途中にある休憩ベンチの近くにある道の分岐を見落としていたようだ。正しい道を見つけてからは紅葉を楽しみながら、ゆったりと坂を下っていけた。振り返ると、先ほどの二人連れも戻ってきていた。やはりあの道は無理だったようだ。



先ほど渡った吊り橋の下を潜っていく。えらく高いところに橋を作ったものだ。もし橋が無ければ、加西アルプスの縦走はもっとしんどいものになっていたはずだ。



北条鉄道の播磨下里駅から帰宅。ここも無人駅だ。



本日の歩行軌跡。歩行距離はたったの8km。しかもそのうち3kmは駅と登山口(下山口)の間の平地なので、実質的な山歩きは5kmほど。距離の短さを感じさせない、変化に富んだ面白いコースだった。