六甲山系スタンプウォーク(炭ヶ谷道から穂高湖)

 2022年7月15日


都合の良い日に限って天候が悪く、全く歩けない日が続く。さらに海外とのリモート会議で未明に就寝するような生活リズムになってしまった。雨の可能性はあるけれど、敢えて山歩きで時差ボケを解消しようと、谷上駅から炭ヶ谷道でェール槍、穂高湖を目指す。



ほとんど寝ない状態で山に出掛けるのもどうかとは思うけれど、既に標高200mを超える谷上からであれば六甲山系へのハイキングもかなり楽なはずだ。比較的メジャーな登山道の割には心細い登山口から山に入っていく。



最近降り続いた雨のせいで道はかなりぬかるんでいる。この先には沢を登るようなところもあるけれど、大丈夫だろうか…。まあ、慌てずゆっくりと登っていこう。



先日摩耶山に登ったときと違って、この季節にしてはかなり涼しい。ただ湿度は相当高いようで、ひどくムシムシする。さほどの勾配でもないはずだけれど、発汗がひどい。睡眠不足のせいかもしれない。



えらく息があがる。心拍数もすぐレッドゾーンに突入してしまう。こんなはずでは、とは思うけれど、心拍数が落ち着くまで立ち止まることを何度も繰り返す。それにリュックがひどく重く感じられる。こんなしんどい道ではなかったはずなのに…。



炭ヶ谷というだけに、おそらくは炭焼小屋の跡と思われる石の遺構が見られる。周囲にもクヌギのような炭焼に適した木が多く見られる。かつて生活ゾーンに近い六甲山系は乱伐のためにほとんどハゲ山だったと聞く。



登山道に入ったときから顔や腕を狙ってくる蚊に悩み続けてきたけれど、進めば進むほどその数が夥しいものになってきた。あまりのことにカッパを着込んで露出した腕などを守ろうとしたけれど、蚊たちは服やズボンの上からでも針を突き立ててくる。



座り込もうものなら直ちに寝落ちしそうなほど眠いのに、襲撃してくる蚊の羽音と、体のアチコチで感じるチクっとした痛みのせいで、眠るに眠れない。急いだところで蚊を振り切れるはずもない。迂闊なことにオニヤンマ君もハッカ油も携帯蚊取線香も持ってきていない。



ただでも睡眠不足で体が辛いうえに、あまりの大量の蚊のために何度も撤退を考えたけれど少しずつ進んでいく。幸いなことに増水しているのではないかと恐れていた沢ゾーンにはさほどの水は流れていない。



双子山にも烏帽子岩にもまるで立ち寄る気にもならず、まっすぐシェール道を目指して獺(かわうそ)池までやってきた。ニホンカワウソは何十年も前に絶滅したと言われるけれど、かつてはこの辺りにも棲息していたのだろうか。



なんとも鬱陶しい笹漕ぎを余儀なくされる。ところが、獺池を過ぎたあたりから蚊がほとんどいなくなったことに気付く。蚊に比べれば笹をかき分けで進むことなど、どれほど楽なことか。



マムシ谷という危なそうな名を持つ渓流沿いの道で座りこんで休憩していたところ、ついに寝落ちしてしまった。40分ほどは眠っていたようだ。雪山なら凍死だろうけれど、夏山だとしても、かなり危ないことをしているような気がしてきたぞ。



シェール道と合流。予想していたとおり、結構水量は多い。渡渉にはかなり面倒なことになりそうだ。眠いうえに体が重くて仕方ない。いつもと重さは変わらないはずのリュックが肩に食い込むように痛い。



シェール道というのに頁岩が見当たらないと長らく勘違いしていたけれど、シェールとは人名だそうだ。ドボン覚悟で生田川の源流を何度か渡渉して進んで行くが、休憩で座り込むたびに寝落ちすることを繰り返す。時間が経過する割には全然前に進まない。



ようやく穂高堰堤が現れた。堰堤の向こうは穂高湖。その先にはバス停があるはずだ。もうひと息のところまで来ているのだけれど、ベンチで再び居眠り。



この辺りにいくつか見られる謎めいた標識。おそらくオリエンテーリング用のものだと思うのだけれど、40° 180mとは何を意味するのだろう。すごく興味があるのだけれど、この種のイベントに参加する機会がない。



シェール槍の登山口。山頂はすぐそこだけれど、岩を攀じ登っていく元気などあろうはずがない。またの機会にしよう。



やっと穂高湖が現れた。ここまで誰とも出会うことなく、フラフラの半遭難状態のような山歩きだったけれど、ここまで来ると近くにある「自然の家」で大騒ぎしている子供たちの声も聞こえてくる。



YAMASTAのスタンプも無事ゲット。北六甲からなら簡単に登ってこれると思っていたのに随分苦労した。先日の摩耶山登山でもひどく疲れたけれど、暑さや睡眠不足のせいばかりではないのではないだろうか。なんだか急激に体力が衰えているような気がしてならない。



シェール槍を真正面に臨む穂高湖のベンチで再び休憩&居眠りして、ようやく少し体がシャキッとしてきたようだ。



ちょっとだけ、次のスタンプポイントの記念碑台に向けて進んで行く。大した坂もない道なんだけれど、サウスロードへの階段を登っていく気になれずギブアップ。バスで掬星台に向かう。



情けないことではあるけれど掬星台から摩耶山ロープウェイで下山。摩耶山には何度も来ているけれど、ロープウェイに乗るのは初めてだ。



先日訪問した旧摩耶観光ホテル(マヤカン)がロープウェイからなら容易に見下ろすことができる。空中から見てもかなり大規模な廃墟だ。



歩行距離7㎞、獲得標高700m。疲れた。それに体のアチコチが痒い。ひどい山歩きだった…。