観音山~ごろごろ岳【六甲山系】

 2022年11月21日


西宮市の観音山への未踏ルート「せせらぎコース」と「南コース」を歩いたのは、つい一ヶ月前のこと。今日はあとひとつ残された未踏ルートである「ベルナールコース」に挑戦すべく鷲林寺バス停からスタートする。



修道院を通り抜けた奥に佇む鷲林寺の境内は紅葉のピーク。色とりどりに染まった樹々はまさに山の麓の裾模様だ。写真の撮影のためにここまでやってきたと思われる人の姿が多い。



無事の登山を願って本堂にお参りした後、荒神堂の脇に掛かったかなり危なっかしい丸太橋を渡ってベルナールコースに入る。マイナーコースのせいか、道案内の類は一切見られない。



いきなり堰堤に突き当たり、進むべき道を見失ってしまう。あまり整備されていない道なのは覚悟してやってきたけれど、ちょっと不安になってしまう。



それっぽい方向に進んで行くと、はっきりとした道が現れた。比較的緩やかとされているパノラマコースでさえ結構な急坂が続くのに、このベルナールコースは観音山への直登なのだ。予想通りしていたとおり、かなり厳しい坂が続く。



息を切らして坂を攀じ登り、ようやく少し平坦なところにやってきたというのに、今度は細かな枝に塞がれたような道を進むことになる。



続いては岩がゴロゴロと転がる道を進んで行くことになる。背後で正午の鐘が聞こえる。鷲林寺に隣接した修道院のチャペルだ。ここで不意に閃いた…。ベルナールって、フランス人?の名前が由来かと思っていたけれど、ひょっとして「ベル鳴〜る」ではないだろうか?



岩だらけの道はさらに険しくなってきた。ロープの助けを借りながら、上に上にと進んで行く。直登ルートらしく、ひたすら登りが続く。早朝まで雨が降っていたせいで、道は少しぬかるんでいるけれど、岩は乾いているので座って休憩する場所には困らない。



不意に視界が開け、頭上に空が広がる。鷲林寺から歩き始めて1時間ほども掛かってようやく観音山の展望台までやってきた。



雲が立ちこめてはいるけれど、相変わらずの眺望。大阪平野を広く、遠く見渡すことができる。



大岩に書かれた「観」「音」「山」の三文字。来るたびに文字が擦れてきているように感じるけれど、これくらいの擦れ具合が風格と渋みがあって丁度いい。



誰かが取り付けた観音山(523m)の山頂札が架かっている。でも実はここが山頂ではないんだよなぁ…(つい最近知ったことだけれど)



実際の山頂は、展望台から100mほど西。ごろごろ岳に向かうこの辺りの登山道を写真左側に攀じ登っていったところにある。展望台よりたぶん1~2mほど高いだけだし、道もなければ眺望もないところなので、二度と行くことは無いだろう。



せせらぎコースとの分岐点。1ヶ月前は左側の道から登ってきた。今日はこのまま正面の岩場を超えてごろごろ岳方面へと向かうことにしよう。



パノラマコースとせせらぎコースの合流点の岩場を過ぎてしまえば、アップダウンがほとんどない快適な山道が続く。



ごろごろ岳の山頂付近になっても大した登りにはならない。何度もごろごろ岳には来ているけれど、山頂感は全く感じられない。



もっともごろごろ岳(565m)の山頂碑は立派だ。標高565.6mだったものが阪神大震災で565.3mになってしまったそうだけれど、ひょっとしたらさらに昔はさらに高かったのかもしれない。



ごろごろ岳から苦楽園尾根へ。たくさんの大きな岩が道を塞ぐように居座っている。迷いようのない一本道のはずなのに、岩の右を通るか左を通るかなど、小さなバリエーションが無数にあり、来る度に「こんなトコあったかなぁ」と感じてしまう不思議な道だ。



芦屋市の立派な案内看板が適所に設置されている。しかし苦楽園方面に進むと西宮市となるためこれ以上の看板は出てこなくなる。多くの登山道に共通していえることだけれど、各市町村が連携して下山口まで一貫した案内標識を整備してもらいたいものだ。



山道は市境など関係なく、相変わらず岩がゴロゴロした同じような光景が続く。急に看板が出てこなくなると不安に感じる人は少なくないと思う。



少しずつ高度を下げ、苦楽園の街並み、さらにその向こうには海まで見通せるようになってきた。



最後は雨により浸食されて形成されたと思われる狭い溝を進んで行く。高級住宅街である六麓荘や苦楽園がそぐ傍まで迫った尾根道は、アクセス至便なのだけれど、意外にもここを歩く人は少ない。今日も誰にも会わない。



苦楽園に下山。ここから大阪湾が眺望できる高級住宅街のなかを抜け、ダラダラと舗装された坂道を下って阪急バスのバス停に向かう。



距離5.3㎞、獲得標高380m。所要時間は3時間半。軽い山歩きのはずだけれど、最近はこれくらいでもそこそこ疲れてしまう…。