ポンポン山(高槻市)

2022年11月24日


約10年振りにポンポン山に向かう。神峰山寺からポンポン山を経由して善峰寺までの縦走は北摂屈指の定番コースだが、10年前にはポンポン山山頂で道を誤り180度真逆の方向に進んでしまい出灰に下山してしまったのだ。今回こそ府境を越えて縦走を達成したいものだ。



JR高槻駅からの高槻市営バスは中高年ハイカーで大混雑。そのうち20人以上が神峰山口で下車する。みんなポンポン山に向かうのだろうか。



登山口の獣除けフェンスに高槻市の貼り紙がある。なんと土砂崩れのため通行可能なのは神峰山~ポンポン山〜善峰寺だけだという。山頂での体調次第では釈迦岳に立ち寄るなども考えていたのだが…。まあ善峰寺までのメインルートが歩けるのならヨシとしよう。



自然に20人ほどを引き連れて一番先頭を歩く恰好になってしまった。さして早いスピードで歩いている訳でもないのだけれど、どんどん後続を引き離してしまう。どうやらバスで下りた人たちの大半はポンポン山に登るのではなく、神峰山寺まで歩くだけのようだ。



新名神高速道路が神峰山寺のすぐ南側を走り抜けている。10年前には未だ工事も始まっていなかったのではなかろうか。



15分ほど歩いて神峰山寺の山門(仁王門)までやってきた。仁王門前には狛犬が座っていて、神仏習合のカオスな雰囲気も感じられるけれど、役行者により国内で最初に毘沙門天が祀られたと伝わる古刹だ。



神峰山寺は山門からの遥拝で失礼し、ポンポン山を目指して紅葉に彩られた道を進んで行く。神峰山寺の広い寺域を巡り、紅葉を愛でるだけでも半日は楽しめそうなところだ。



しばらくは舗装道が続く。判ってはいたけれど、こんなに長かったかなぁ…。しかも神峰山寺の奥の院にあたる本山寺に近づけば近づくほど、勾配は急なものになってくる。路面はいいけれど、早くも右のお尻のあたりに軽い痛みを感じ始める。



ポンポン山周辺の登山路の状態が張り出されているが、通行止め(赤いところ)だらけではないか。高槻市が貼りだしたと思われる地図はもののようで、府境となるポンポン山の東側となる京都府側の道は記載されていない。不安だけれどまずは登っていくしかない。



この10年の間に地道の一部が舗装されたのでは、とさえ思うほどに長い舗装道を歩き続けて、ようやく本山寺の寺域までやってきた。東海道自然歩道にもなっているというのにこれほど舗装道が続くとは…。誤って道路脇の獣道に入ってしまう人も多いに違いない。



本山寺の山門。勧進掛と呼ばれる12本の注連縄が吊り下げられている。この注連縄の長短が翌年の農作物の豊凶が示されるらしい。さらに、この門が聖域と俗域の境となるらしい。



本山寺への長く急な階段。まだ道半ばだというのに、既にかなり足腰に疲れが溜まっていることを思い知らされる。



本山寺を過ぎると、ようやく樹林に囲まれた本格的な登山道が始まる。もっとも本山寺より先は比較的勾配が緩やかな山稜づたいの道になるはずだ。山はあまり岩っぽくなく、植生も六甲や播磨の山々とは雰囲気を異にする。



天狗杉と呼ばれる古い杉の木が立っている。樹齢800年だという。北摂の山々を駆け回っていた天狗の休息地と伝わる場所のようで、木の足元には石の祠が見られる。



天狗杉を超えると杉の樹林帯のなかを進む。最近多く見られる放置林ではなく、しっかりと枝打ちも施されている。ここまで登ってくる間にも、チェーンソーで伐採する林業関係者の姿があった。



登山路のあちこちに「クマ注意」。大都市近郊だというのに、最近クマの出没が相次いでいるらしい。特に朝夕は要注意だという。どこまで効果があるのかは不明だけれど、リュックの熊鈴をあらためて確かめて登っていく。



歩くとポンポンと音がする、ということからポンポン山と呼ばれ始めたと伝わる。元来は加茂勢山という厳めしい名前だったそうだ。それにしても「ポンポン」という音のイメージがまるで想像できない。実際歩けばサクサクという枯葉が発する音しか聞こえてこない。



3時間ほどかかってようやくポンポン山(678m)に登頂。記憶していたよりもかなり疲れた。この10年間での体力低下を思い知らされる。



何人もの人が眺望を楽しみながら休憩しているが、昔は眺望が無い山だったのに10数年前に誰かが勝手に個人所有であるこの山の木を伐採したということを知っているのだろうか。京都から高槻にかけて広く遠く見渡せる眺望は素晴らしいとはいえ、何とも複雑な気分だ。



ポンポン山山頂で少し休憩した後、善峰寺方面に向かうと、「通行できません」との注意の貼り紙が現れる。大阪府の森林課のものだが、どの道が通行できないのかが判らない。釈迦岳や川久保には行けないということだろうか。



不親切でぶっきらぼうな貼り紙に少々腹立たしく感じつつ、登山道途中には善峰寺までは行けるとあったので、そのまま進んで行く。倒木で塞がれたようなところもあるけれど、さほど問題もなく進んで行ける。



しかし川久保への分岐を過ぎ、杉谷(善峰寺までの中間点)に向かう道に同じ貼り紙が現れた。杉谷には行けない、と言っているとしか見えない。YAMAPには最近善峰寺まで歩いたという活動日記も見られたし、大阪府が京都府の道の通行止めを告知しているのも不自然だ。



府境に深く考えずに貼ったのだろう。とは思うものの、もし通行不可だったら再びポンポン山に登り直して神峰寺に戻らなければならず、日没やクマが気になる時間になってしまう。安全を期して2㎞ほどの善峰寺への下山を諦め、7㎞先の神峰山寺に足取り重く戻っていく。



結局、予定していた縦走は今回も達成できず。ポンポン山への単純ピストンに終わってしまった。歩行距離15.1km、獲得標高930m、所要時間5時間40分。途中でゴールが5㎞も遠ざかったせいか、肉体的にも精神的にも随分と疲れた。



最近ようやく自分なりの歩行ペースが守れるようになってきたようだ。心拍数がレッドゾーンにはほとんどなっていない。グリーンゾーンだけで歩くのが理想的と聞くがとてもムリだ。それにしても購入して半年だというのにヘビーユースのせいで時計は傷だらけだ。