東六甲縦走路(宝塚〜奥池)【六甲山系】

 2023年2月17日


宝塚歌劇の洒落た銅像が立つ阪急宝塚駅から六甲山最高峰を目指す。といっても既に10時半。下山のことを考えると8時くらいには出発したかったのだけれど…。まあ行けるトコまで行ってみよう。



昨年の夏に同じように六甲山を目指した時は、猛暑に挫けて敢え無く塩尾寺でギブアップしたのだけれど、今日はひどく肌寒い。もう少し暖かい恰好で来れば良かったと後悔しながら、塩谷川に沿って住宅街の坂道を登っていく。



いつもは住宅街のなかの舗装道を進むんだけれど、今日は以前から気になっていた山道を突っ切ることにする。地図を見る限り200mほどのショートカットになるはずだけれど、なかなかの難路。大した時間短縮にはならなかったように思う。



駅から50分で塩尾寺。つい先ほどまで肌寒さを感じていたのに、標高350mまで一気に登ったので汗が噴き出している。それでも何度も休憩しながら1時間半ほど掛かった昨夏と比べれば、随分と楽に登ってこれたように思う。



塩尾寺からいよいよ本格的な登山道が始まる。アウターを一枚脱いで気合を入れて進んでいく。もっともこの後は宝塚駅~塩尾寺ほどの急勾配は現れないはずだ。



岩谷山(488m)。六甲全山縦走の東側の山々のほとんどは縦走路上に山頂が無いのだけれど、どうしてもピークに立ち寄りたくなってしまう。「神が座す磐座」に由来すると言われる岩谷山の山頂には石積みの祠が立っている。



縦走路から北へと分岐する道が多いけれど、歩いたことが無い道ばかりだ。以前ひどく苦労させられた蓬莱峡の悪いイメージが強すぎて、縦走路より北に下る気にはなれない。



譲葉山には4つのピークがあり譲葉山連山とも呼ばれる。北峰以外は縦走路を歩いているだけでYAMAPはピーク獲得判定してくれるのだけれど、この際とばかりに全ピークまで登ってみることにする。まあ判っていたことだけれど、眺望もなく、小さな山頂札があるだけだ。



なぜか主峰扱いの東峰が513mなのに、北峰が526m、南峰が528m、そして西峰が一番高くて555mある。その西峰への登り口が判らず、道無き道の斜面を攀じ登る。こんな苦労して登っても頂上には山頂札が1枚あるだけで眺望もない。



岩倉山、譲葉山の4峰、そして宝塚市の最高峰、岩谷山(573m)と寄り道をしながら丁寧にピークを踏んでいくが、こんな歩き方をしていては時間は掛かるし、疲れも溜まるばかり。登頂の達成感もないというのに合計1時間ほどはロスしているはずだ。



もう寄り道している余裕はない。曲がった木ばかりで平衡感覚を失いそうな道を少し急ぎ足で進んでいく。



大谷乗越という鞍部で市道を越えると、再び急坂が始まる。大きな花崗岩が道に転がっているが、大谷乗越を境に地質が変化しているように感じる。



東六甲縦走路を通じて眺望が広がるところはほとんど無い。そのせいで西六甲と比べて東六甲を歩く人は圧倒的に少ないようだ。大平山(681m)の手前にある甲山や阪神競馬場などを見渡すことができる展望所が唯一の眺望ポイントだ。



少しずつ標高が上がっているのだろう。少しずつ路上に白い物が目だつようになってきた。幸い歩き続けているせいか寒さは感じない。



時折り道が抉れたところが現れる。しかし2年前に歩いた時はもっと小さな抉れが多かったように記憶している。最近土を入れるなどの整備をしたのだろうか。覚悟していたほどの歩きにくさは感じない。



船坂峠を過ぎ、標高も800m近くまで登ってくると道はさらに白くなってきた。標高が上がると寒い、という当たり前のことを体感するのがいつになっても楽しい。



いつも頂上に気付かず通り過ぎてしまう水無山(806m)。確実にピークを確認しようと、慎重に進んできたけれど、山頂碑らしきものが見当たらない。木の幹に擦れた水無山という文字があるばかりだ。



六甲山上道路(兵庫県道16号)に近づくと、いよいよ道は真っ白になってきた。もっともチェーンスパイクを付けるほどの積雪でもなく、滑る心配もなく歩ける。雪景色のなかとはいえ呑気に歩いていく。



いよいよ六甲山上道路に出てきた。六甲山頂まではもう少しだけれど、既に16時。譲葉連山でウロウロしすぎたせいか、随分と時間が掛かったものだ。六甲山頂は諦めて芦屋へのバスが発車する奥池へと下山することにする。



鉢巻山。県道を歩いているだけでYAMAPではピーク獲得判定(山頂から50m位以内)されている。一度実際にピークを踏んでみたいと思って周囲を見渡すけれど、断崖と落石防止柵に囲まれて取りつくことさえできそうにない。



県道のガードブロックに隠れるように、熊笹峠から奥池に下る道がある。笹に覆われているので容易には見つからない秘密めいた道だけれど、YAMAPではしっかりと赤の実線扱いだ。



熊笹峠の名前どおり、道は笹に覆われている。人の気配も感じられない寂しい道で、少し急な下りもあるけれど、さほどの難所はない。



芦有自動車道を横目に見下ろしながら進んでいく。自動車道と違って、笹深い道をアップダウンを繰り返しながら進んでいく。



無事奥池に到着。芦屋市民のための重要な貯水池があるとともに、豪邸や別荘が立つ高級住宅街だ。100戸や200戸はあるように見えるんだけれど、条例で規制されているのか、飲食店も小売店もない。でも30分に1本、芦屋までのバスが走っている。



本日の歩行距離14.4㎞、所用時間7時間。山頂を9つも踏んだせいでアップダウンが多かったのか、意外にも獲得標高は1400mを超えた。