前山公園~ごろごろ岳〜ガベノ城【六甲山系】

 2023年4月13日


何かと慌ただしく、また天候や体調も悪かったりで、長らく山歩きをすることもなかったけれど、久しぶりに芦屋からごろごろ岳方面へと向かうことにする。しかし高級住宅街のなかのキツイ坂道を歩いているだけで、ひどく疲れを感じる始末。大丈夫だろうか。



芦屋の市街地の北端にある前山公園が、柿谷道男坂のスタート地点。併行する女坂と比べて岩の多い厳しい道がゴロゴロ岳まで続く。




登り始めは、気持ちの良いなだらかな尾根道が続く。しかしこんな道はほんの最初のうちだけだ。



道は徐々に荒れたものとなり、結構な急坂が続く。かなり気温が高く、体が重く感じられて仕方がない。止めるなら今のうちだよなぁ、と思いながらも進んでいく。




次第に岩だらけの道となってくる。時に手を使いながら岩を攀じ登るように進んでいかなければならないのだけれど、早くも右足の太腿が軽い痙攣を起こし始める。足を攣る前兆だ。



かつては「柿谷道男坂」と呼ばれることが多い道だけれど、いつの間にか芦屋市が「前山遊歩道」などという呑気な名前を付けてしまった。遊歩道という言葉を信じて、呑気にサンダルやパンプスでやってくる人がいなければいいのだけれど。



結構タフな道をひたすら北へ北へと進んでいく。道端にはミツバツツジが多い。ちょっとした日の当たり方の違いのせいだろうか、一斉に花が咲いているのではなく、未だ蕾のものもあれば、既に散っているものもある。



痙攣する足を騙し騙し登ってきたけれど、ウンザリするような岩だらけの道が続く。さすがにヤバそうなので、芍薬甘草湯を飲んで休憩。足が攣る原因は間違いなく運動不足だろうけれど、原因が何であろうと即効性のある芍薬甘草湯は頼りになる薬だ。



正面に見えるのが、ごろごろ岳だろうか。なだらかな山なので登って行っても山頂感が無く、何度も登っているというのに未だに山容が不明だ。



芦屋霊園への分岐以降全く案内標識は見られないけれど、枝道も無く道に迷うこともなさそうだ。久しぶりの標識板は無残に割れて吹き飛びそうな状態で岩の上にあるけれど、矢印は正しい方向を示している。ここを通るハイカー達が案内板の方向を整えているのだろう。



岩を割るために打ち込んだ楔の跡、いわゆる矢穴が残る大岩が散見される。大阪城築城の際の石垣調達のためのものだという。何かの都合で運ばれずに残されたようだけれど、そもそもこんな山の中から、どうやって大岩を持ち出したのだろうか。



女坂と合流。男坂・女坂という名称を取りやめたのは、ひょっとしてジェンダーフリーの考えからなのだろうか。2つ並んだ山や池、滝などに男女あるいは雄雌を冠することが多いのだけれど、そのうちに皆改称されるなんてことにならないだろうか。



ゴロゴロ岳もあとひと息のところに分岐がある。左側の道を進むのが一般ルートで、案内標識にもそう記されている。しかしここを敢えて直進したところに絶景ポイントがあるらしい。



地図の下部の赤線が一般ルート。地図の下部に黒い破線との分岐がある。破線は難易度が高い道だけれど、その距離200m、大したこともあるまい。ヤバそうだったら戻ってこよう。(この発想が結構危ない…)



予想を超えるタフな岩場を草臥れたロープの力を借りて攀じ登ると、そこには素晴らしい絶景が広がっている。もう少し晴れていればとも思うけれど、岩場の上からの大阪湾から阪神間を一望できる爽快感が堪らない。



ここを四ツ目岩と紹介している人もいるけれど、築城のために切り出そうとした大岩に四ツ目の刻印を打たれたものを四ツ目岩と紹介しているサイトもある。確たる名前が付いていないのが不思議なほどの絶景ポイントだ。



ごろごろ岳(565m)の山頂碑。ここが山頂らしくないのは、山頂付近の勾配が緩やかなことに加えて、西側に奥池の住宅街が広がっているからなのかもしれない。



しばらくは奥池の住宅街の東側に続く林道をのんびりと歩いていく。そういえば1週間ほど前に奥池の住宅街で脱走した体長150㎝のイグアナはどうなったのだろうか。大騒ぎだったのに、その後全く続報が聞こえてこない。



ザレた道をガベノ城方面に下山していく。眺望の良い道なんだけれど、このザレザレが厄介なんだよなぁ…。幸い登山序盤に苦しめられた足の痙攣も収まり、足の踏ん張りは効く。



「ここは、にせガベノ城」という標識がある展望台。実のところ、甲山や北山貯水池を真正面に見渡すことができるここからの眺望は、本物のガベノ城より遥かに素晴らしい。



あまり登る甲斐がないとは判ってはいるけれど、滑りやすいザレ道から本物のガベノ城にも登っていく。



ガベノ城(483m)。立木が多いせいもあって、にせガベノ城ほどのパノラマ感はない。でもこんな妙な山名なものだから、つい立ち寄ってしまう…。



ガベノ城って城跡ではない。付近には石垣が多く見られていかにも山城の様相だけれど、これらは治山のための土留めとの見方が有力らしい。



甲山を正面に見据えて下山していく。道は相変わらずザレザレの急坂。油断できない道が続く。




無事剣谷登山口へと下山。住宅街の電信柱に青い小さな標識があるだけ。知っていないと辿り着くのは困難な登山口だ。そのまま北山緑化植物園まで歩いてバスで帰宅。



久しぶりの山歩きとはいえ、結構疲れた。しばらく動いてなかったからなぁ…。それに予想以上に暑かった。距離5.5㎞、獲得標高512m、所要時間4時間12分。