音羽山(大津市・京都市)

 2025年1月2日


京都・滋賀の県境にある音羽山に初登り。縦走路通行止などで昨年2度も登頂を断念した山に、京阪の大谷駅から登ることにする。まずは駅近くの蝉丸神社にお参り。逢坂の関で物乞いをしていたとも伝わる盲目の琵琶法師で百人一首にも選ばれた歌人がお祀りされている。



大谷は旧東海道踏破の際に立ち寄って以来になる。ゴールの京都三条大橋を目前にして「日本一」と号する名物の鰻を食べたことを思い出す。もう3年も前のことになる。



かつて近江・山城の国境に設けられていた逢坂関。今では小さな石標と、関所風のトイレがあるばかり。百人一首にも蝉丸と清少納言の二首が採用された多くの人に知られる古跡だけに、もう少し観光地っぽい装いを整えてもいいのではないかとも思う。



大谷駅から音羽山への登山道を見つけるのに手間取り、随分と時間をロスしてしまう。登山口と思われた階段には立入禁止の鎖が張られており、駅の北側のちょっと危なっかしい道を経て、ようやく音羽山に通じr東海道自然歩道に出てくることができた。



いきなり延々と続く丸太階段が現れた。段差はさほどではないのに、息切れが酷く、足腰にダメージがすぐ蓄積してしまう。あらためて体力の衰えを痛感する。



この山域に足を踏み入れたのはおよそ10年ぶり。その時には石山寺から山科、さらに近江神宮までの22㎞の山道を歩いている。今では到底歩けない距離だ。当時と変わらず、栗坊やの手作りの案内標識が挫けそうになる気持ちを和ませてくれる。



長い階段を終え、なだらかな尾根道に出てきた。歩く分には楽だけれど、今度は寒くなってきた。この辺りから服を脱いだり着たりを繰り返すことになる。



しかし再び長い長い階段が始まる。汗が噴き出るような思いで登り始めるけれど、息が続かず、階段に腰を下ろして休憩する。腰を下ろすとそれまで暑く感じていたものが、一気に寒くなる。



休憩ばかりしていたせいか、予定の時間をかなりオーバーしてようやく音羽山に登頂。以前歩いた時は、音羽山(593m)の山頂に立ち寄らなかったのが悔やまれていた。絶景が評判の山だし、古来歌枕として多くの歌に詠みこまれていた名所だけに、感慨もひとしおだ。



頂上を通過する高圧電線がちょっと目障りではあるけれど、大津の市街地とその向こうに琵琶湖がよく見渡すことができる。比叡山は冠雪している。



こちらは京都。御所の緑地が街の真ん中にはっきりと見て取れる。奥に見える山で一番高いのが愛宕山に違いない。



どうやらかつては鉄塔が頂上にもあったようだ。老朽化のせいか、景観維持のせいか、理由は判らないけれど、今では少し離れたところに移設されている。しかし、当時の鉄塔の基礎部分は取り払わられることなく、頂上広場の数か所に残骸が残されている。



音羽山から続いて牛尾山へと向かう。縦走路アルアルだけれど、一旦下らなければならない。登るのは嫌いだけれど、下るのも苦手だ。なんてことを考えていたら、牛尾山(551m)の寸前で巻き道を進んでしまい、ピークを取り損ねてしまった。



10年ぶりにやってきた牛尾観音とも呼ばれる法厳寺。その際には、たまたまお目にかかったお寺の関係者(お坊さんではない)との話が弾み、お寺の縁起を詳しく聞かせていただき、滝行場などお寺の隅々まで丁寧に案内いただいたことが懐かしく思い出される。



懐かしい鐘楼。鐘の中に入って合掌しろと言われ、恐る恐る言われたとおりにすると、なんと鐘を一突きされた。体全体が鐘の衝撃波に包まれ、しばらく震えが止まらなかったのを覚えている。とんでもなく貴重な経験をさせていただいたけれど、ご利益はあったかなぁ…。



牛尾観音の門番のように金棒を片手に立つ赤鬼と青鬼。



牛尾観音から一旦下り、渓流に架かる橋を渡って高塚山を目指す。寂しげな道だけど、たぶん間違ってないはず。でも、この辺りから急に標識が少なくなる。



渓流沿いの気持ちの良い道。小さな滝もあったりする。意外に時間が掛かってしまったので、暗くなるまでに下山できるのか、少し不安になり始める。予定を変えて醍醐ではなく、椥辻に下山することも考え始める。でも下山してから地下鉄の駅まで遠いんだよなぁ…



通りかかったハイカーに椥辻あたりの交通事情を教えていただいたけれど、やはり頑張って高塚山経由で醍醐まで歩いた方が無難そう。急ぎたいけれど、既に足腰の疲れもひどく、石ゴロゴロの枯れ沢道はとても歩きにくい。



どこでどう間違ったのか、舗装道に出てきてしまった。このまま舗装道を下山しちゃおうかとも思ったけれど、道は下山方向へと続いていない。ここに来ての道間違いは痛い。



来た道を戻り、間違った分岐点に戻ってきた。右側の谷道を登ってきたのだけれど、ほぼ360度の方向転換をして左の尾根道へと進むのが正解。歩いていたときは分岐点であることさえ気づいていなかった。



高塚山(484m)。あまり期待はしていなかったけれど、やはり眺望も何も無い。落ち葉で三角点がほぼ埋もれかかっている。



ほぼ目の高さに太陽がある。16時を過ぎてもまだ明るいのは、山の西側斜面だからだろう。東側なら既に暗くなっているはずだ。



無事醍醐の街に下山。醍醐寺の白壁に沿って地下鉄醍醐駅へと向かう。



距離11km、獲得標高760m。所要時間は6時間40分。YAMAPによれば辛うじて標準コースタイム(休憩時間含まず)どおりだけれど、休憩時間が1時間20分もあるのが情けない。階段でへこたれて何度も座り込んでいたからなぁ…。